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第1話 幼馴染みと結婚するしかないのかなぁ
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私もいい歳だ。恋人の翔とは中一の時、周りに囃されて付き合いだして、それからずるずると12年。はぁ何年だか言えちゃう自分が悲しい。
共通の友人同士がカップルになって、ソイツらの結婚式。見事に先越されました~。
新郎の隼人に言われた。
「次はお前らだな」
って、そんなこと言われたのはひと組やふた組じゃないけどさ。
翔は友人代表をつとめた後、二次会、三次会まで私を小間使いにしながら取り仕切り、散々盛り上げていた。他の友だちは「彼氏が迎えに来てる」「旦那が待ってる」「子供の面倒見なきゃ」って帰っちゃって。
終盤は売れ残りの男女だけ。はしゃぎ屋のアイツに接客に任せて、私はカウンターで一息ついてた。
その隣りに人影。見ると、えーと、誰だ? あ。隼人の大学時代の先輩さんか。
「一人ですか?」
ひ、一人て。たしかに翔と離れたから一人ではあるけど、今まで翔の隣で動いてましたけど?
……はは。何を構えてるの私。口説かれるわけないか。この人も疲れたから話し相手が欲しいだけかな?
「お友だち元気がいいですね。でも私はこうして美人と二人で呑むほうが好きかな?」
と、友だち? あ、まともには紹介してないか。知ってる連中ばかりだから別に紹介とかしてないし。友だちはみんな帰っちゃったし。
そしてなんですか? 美人ですと? いやーん。お上手。そんなこと言われたの……。え? 初めて? ウソだろ。翔なんてそんなこと言ったことないぞ?
そーか、そーか、私、美人だったか。いや自覚はあった! ありましたけど言われたことなかった! 翔のヤツの飼い殺しは私に男を近づけなかったもんね。いや居心地よすぎて、私も離れなかったところはあったけどさ……。
「これ、私の名刺です」
「鳥飼さんですか──。え? しゃ、社長さん?」
「小さい会社ですけどね。もしよかったら今度夕食でも。そちらのお名前は?」
「は、はい! 詩織です!」
「詩織さんですか。今日お会いできて良かったです」
「うぉ~……。そうですか」
私はなぜか唸りながら、その鳥飼さんの名刺をバッグにしまった。
それから翔の仕切りによって、無事三次会も終了。翔ははしゃいで、招待客を見送った。私はちょっとドキドキしながら鳥飼さんの背中を見送っていた。
その帰り道、翔は縁石に登って楽しそうにキャッキャ言ってたけど、立ち止まってため息をついた。
「はぁ~。シオ」
シオは翔が私の名前、詩織を略して呼ぶときの愛称だ。私はそれに振り向く。ため息をついた後、いつものように歯を見せてニカッと笑う。
「俺らも結婚すっか?」
はぁ!?
なに、そのヒマだから「コンビニ行ってくるわ」的な感覚! 翔にとってプロポーズってそんなレベルなの? さんざん人を待たしといて!
他の人ならなんていうだろ? ──鳥飼さんなら……。
「なんなの? その言い方」
「う? い、いや、もうそろそろかなと思って」
「そろそろなんてとっくに通り過ぎましたけど? 私を何歳だと思ってんの?」
「それは~、えーと……25?」
「まだ誕生日来てない! 24!」
「24だ。24。知ってた。知ってた」
「いっつも自分のことばっかり! 自分が25だから安易に25って言った!」
「どうした。今日はおかしいぞ?」
「私は美人ですか!?」
「は? 何言ってんの?」
「どうなの? 私美人?」
「うわ~。必死だなお前」
ブッチーン。キレた。いくら居心地がよかったからって、こんな男にいつまでもくっついているべきじゃなかった。
「帰る」
「帰るって同じ道じゃねーか」
「タクシー!」
「お。いいねぇ」
私はちょうど来たタクシーを呼び止めた。すぐに中央に乗り込むと、翔がさも当然のように乗り込もうとするので、歩道側に突き飛ばした。
「運転手さん。行っちゃって」
「あの。お連れ様は?」
「行って」
「はい……」
家に帰ると翔からすごい着信があった。どっちが必死よ。アンタなんて、こっちから願い下げ。
◇
それから数日のこと。私は高級ホテルのレストランでキョロキョロしていた。
「まさかご連絡頂けるなんて」
「い、いえ。でもこんな高そうなところ……逃げるときには合図をくださいね?」
「プッ。面白いかたですね。詩織さんは」
いやマジ、翔とはファミレスばっかだったから。ボーナス時は食べ放題の焼き肉とか食べに行くのが通例となってたけど、こんな本格レストランなんて初めて。
当然、鳥飼さんが迎えに来てくれた。ヘビのロゴマークの真っ赤な外車。カッコいい!
いや、居酒屋とかかなと思ってたよ。フルコースなんて食べたことないし、テーブルマナーなんて知らないんですけど。見たことない料理だなぁ。基本好き嫌いないからいいけど。
「誤解して欲しくないのですが……」
「はひ?」
しまった。口に入れたまま返事してしまった! ちょっと! 私は鳥飼さんの前では美人なのよ? はしたない真似はしないようにしないと。
「私、普段こんなことしません。詩織さんだからお誘いしたんです。詩織さんを見て感じました。これが運命なんだって」
う、運命ですと?
何言ってんのこの人~! いや私は美人です。美人ですけれども!
翔のバカに付き合って公立三流高校出で、スキルもなにもないですよ? 大学ももちろんFランです。翔と同じの。
くぉい! 翔よ! さっきから人の回想にちょろちょろ出てくんじゃねーよ! お前なんて虫ケラが及びもつかねぇような人と食事してんだからよ!
「そんな。買い被りすぎですよ」
「いえ。そんなことはありません」
「私、何の取り柄もないバカですし」
「あなたは──。ただ私についてきてくれればいいんです。なんの心配もさせませんよ」
すっげぇ自信。イケメンだし、金あるし、こりゃ運が回ってきたぞぅ!
共通の友人同士がカップルになって、ソイツらの結婚式。見事に先越されました~。
新郎の隼人に言われた。
「次はお前らだな」
って、そんなこと言われたのはひと組やふた組じゃないけどさ。
翔は友人代表をつとめた後、二次会、三次会まで私を小間使いにしながら取り仕切り、散々盛り上げていた。他の友だちは「彼氏が迎えに来てる」「旦那が待ってる」「子供の面倒見なきゃ」って帰っちゃって。
終盤は売れ残りの男女だけ。はしゃぎ屋のアイツに接客に任せて、私はカウンターで一息ついてた。
その隣りに人影。見ると、えーと、誰だ? あ。隼人の大学時代の先輩さんか。
「一人ですか?」
ひ、一人て。たしかに翔と離れたから一人ではあるけど、今まで翔の隣で動いてましたけど?
……はは。何を構えてるの私。口説かれるわけないか。この人も疲れたから話し相手が欲しいだけかな?
「お友だち元気がいいですね。でも私はこうして美人と二人で呑むほうが好きかな?」
と、友だち? あ、まともには紹介してないか。知ってる連中ばかりだから別に紹介とかしてないし。友だちはみんな帰っちゃったし。
そしてなんですか? 美人ですと? いやーん。お上手。そんなこと言われたの……。え? 初めて? ウソだろ。翔なんてそんなこと言ったことないぞ?
そーか、そーか、私、美人だったか。いや自覚はあった! ありましたけど言われたことなかった! 翔のヤツの飼い殺しは私に男を近づけなかったもんね。いや居心地よすぎて、私も離れなかったところはあったけどさ……。
「これ、私の名刺です」
「鳥飼さんですか──。え? しゃ、社長さん?」
「小さい会社ですけどね。もしよかったら今度夕食でも。そちらのお名前は?」
「は、はい! 詩織です!」
「詩織さんですか。今日お会いできて良かったです」
「うぉ~……。そうですか」
私はなぜか唸りながら、その鳥飼さんの名刺をバッグにしまった。
それから翔の仕切りによって、無事三次会も終了。翔ははしゃいで、招待客を見送った。私はちょっとドキドキしながら鳥飼さんの背中を見送っていた。
その帰り道、翔は縁石に登って楽しそうにキャッキャ言ってたけど、立ち止まってため息をついた。
「はぁ~。シオ」
シオは翔が私の名前、詩織を略して呼ぶときの愛称だ。私はそれに振り向く。ため息をついた後、いつものように歯を見せてニカッと笑う。
「俺らも結婚すっか?」
はぁ!?
なに、そのヒマだから「コンビニ行ってくるわ」的な感覚! 翔にとってプロポーズってそんなレベルなの? さんざん人を待たしといて!
他の人ならなんていうだろ? ──鳥飼さんなら……。
「なんなの? その言い方」
「う? い、いや、もうそろそろかなと思って」
「そろそろなんてとっくに通り過ぎましたけど? 私を何歳だと思ってんの?」
「それは~、えーと……25?」
「まだ誕生日来てない! 24!」
「24だ。24。知ってた。知ってた」
「いっつも自分のことばっかり! 自分が25だから安易に25って言った!」
「どうした。今日はおかしいぞ?」
「私は美人ですか!?」
「は? 何言ってんの?」
「どうなの? 私美人?」
「うわ~。必死だなお前」
ブッチーン。キレた。いくら居心地がよかったからって、こんな男にいつまでもくっついているべきじゃなかった。
「帰る」
「帰るって同じ道じゃねーか」
「タクシー!」
「お。いいねぇ」
私はちょうど来たタクシーを呼び止めた。すぐに中央に乗り込むと、翔がさも当然のように乗り込もうとするので、歩道側に突き飛ばした。
「運転手さん。行っちゃって」
「あの。お連れ様は?」
「行って」
「はい……」
家に帰ると翔からすごい着信があった。どっちが必死よ。アンタなんて、こっちから願い下げ。
◇
それから数日のこと。私は高級ホテルのレストランでキョロキョロしていた。
「まさかご連絡頂けるなんて」
「い、いえ。でもこんな高そうなところ……逃げるときには合図をくださいね?」
「プッ。面白いかたですね。詩織さんは」
いやマジ、翔とはファミレスばっかだったから。ボーナス時は食べ放題の焼き肉とか食べに行くのが通例となってたけど、こんな本格レストランなんて初めて。
当然、鳥飼さんが迎えに来てくれた。ヘビのロゴマークの真っ赤な外車。カッコいい!
いや、居酒屋とかかなと思ってたよ。フルコースなんて食べたことないし、テーブルマナーなんて知らないんですけど。見たことない料理だなぁ。基本好き嫌いないからいいけど。
「誤解して欲しくないのですが……」
「はひ?」
しまった。口に入れたまま返事してしまった! ちょっと! 私は鳥飼さんの前では美人なのよ? はしたない真似はしないようにしないと。
「私、普段こんなことしません。詩織さんだからお誘いしたんです。詩織さんを見て感じました。これが運命なんだって」
う、運命ですと?
何言ってんのこの人~! いや私は美人です。美人ですけれども!
翔のバカに付き合って公立三流高校出で、スキルもなにもないですよ? 大学ももちろんFランです。翔と同じの。
くぉい! 翔よ! さっきから人の回想にちょろちょろ出てくんじゃねーよ! お前なんて虫ケラが及びもつかねぇような人と食事してんだからよ!
「そんな。買い被りすぎですよ」
「いえ。そんなことはありません」
「私、何の取り柄もないバカですし」
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