32 / 58
第32話 身請け
しおりを挟む
しばらく抱きしめ合っていた二人だったが、文吉はミツに食事を勧めた。
「主人に料理を買いに行かせたんだ。いい料理だろう? 旨いぞぅ」
そこには上等な料理ばかり。鯛の尾頭付きの塩焼き、刺し身や煮付け。鮹の酢の物、天ぷらに焼き豆腐や油揚げを焼いたものに味噌田楽。
「こ、こんなに食べきれないでありんすゥ」
「なぁに。だったら残せばいいんだ。酒も一緒に飲もう。それからありんす言葉はやめるんだ」
文吉はミツを横に侍らせたりしなかった。遊女として扱わないのだ。対面に置いて、一人の人間とした。そして紀文自ら酒を注いでやったのだった。
しかしミツにはよく分からない。格好を見ると、ただの手代。それが座敷をとったり、豪華な料理を頼んだり出来るはずもないのだ。
「ぶんきっつぁん?」
「どうしたい」
「どうしてこんな贅沢を?」
「なぁに。貯めたのよ」
そういって照りのいい刺し身を口の中に放り込む。だが遊女は男を転がす商売だ。手代の身分で貯めれる金額などたかが知れているのは知っていた。
「そんな。吉原でこんな贅沢が出来るほど、奉公で貯めれるわけないでしょう。それにどうして私がここにいることを知ったの?」
文吉は、自分で作ったストーリーを語って聞かせた。
「店のご主人が豪毅なかたでね、この前吉原に連れて来てもらった時におみっちゃんを見つけたんだ。旦那に話すと、それは良かった。今日遊ぶ分の金はやるから後日、彼女を迎えに行ってやりなさい、とこう言われてな」
「へ、へぇ~……。む、迎え?」
「そうだ。おミツ。お前を身請けしたい」
すると、ミツはホロリと涙をこぼす。
「無理だよ……」
「どうして?」
「身請けなんて、10両や20両じゃないもの……」
哀しげな表情のミツの前に、文吉は懐から取り出した紙の包みを突き出した。それは小判を包んだものと分かったが、明らかに100両は包まれている高さだった。
「こ、これは?」
「仲間と富を買ってね。それが当たってみんなで分けたものだ。これで身請けできるだろう?」
富とは今でいう宝くじのことだ。当時の江戸は火事が多かった。そのために、神社仏閣まで焼けてしまった。それを再建するために、寺社奉行が立ち合って富くじを発行したのだ。木札に番号が記されており、それを民間に購入してもらう。当選は大きな箱に番号が記された札を入れ、長い桐のようなもので突く。そのために“富つき”とも言われた。
文吉はそれに当たって大金を得たと言うことにしたのだ。
身請けの金額は、吉兵衛が汐凪を身請けした際に50両といっていたので、100両ならばお釣りが来ると分かっていた。
ミツはそれを胸に抱いて、涙を流した。
「ああ、まさかそんな──」
「夢じゃないさ。なぁ、おみっちゃん。小さい頃に約束したことを覚えているかい? 夫婦になって一緒に畑を耕しながら暮らすって言ったことを。おらはおみっちゃんさえいてくれれば、小さな小屋でも贅沢は言わねェ。ずっとずっと一緒に暮らすんだ」
ミツは文吉のそばによって、その胸に背中を預けた。
「なぁこちらを向いておくれ」
「いや」
「どうして?」
「こんなに幸せなのに、涙を流しているところを見せたくないもの」
「その涙が哀しいものでないのならいいんだよ。これからも、幸せだったら泣き、楽しかったら泣いて、子どもが産まれたら嬉しくて泣いて──」
その言葉にミツは袖を上げて顔を隠して涙を拭った。そして振り向いて文吉の唇を奪う。
「へへ……。信じていいんだね。今までたくさんの人に騙されたから……。生んだ両親はもちろん、里親にも。さらには女衒にも騙され、売られ売られて……。男にも何度も騙された。もう人の心なんてなくなるくらいに」
それはミツの今までの人生が不幸であったことを感じさせる言葉だった。
「だけど──。これからは違うさ」
「……うん。ありがと」
小さく笑うミツを文吉はまた強く抱きしめた。ミツは文吉の手を取り、寝床へと誘う。
それは文吉が初めて味わう甘い甘い蜜の味であった。
その晩は二人は互いに抱き合って決して離れようとはしなかった。
次の日は二人での初めての朝だった。互いに微笑み合い、文吉は手代の服を纏った。
「なぁおミツ。それでは三日後に迎えに来るよ。旦那がおらのためにのれんを分けてくれるんだ。そしたら一緒に店をやろう」
「そういえば、ぶんきっつぁんは、どこのお店で奉公しているの?」
「材木問屋だ。紀伊国屋だよ」
「へぇ! あの紀伊国屋さん!」
「知ってるのかい?」
「そりゃ吉原では知らない人はいないよゥ。といっても、ウチの格子から遠目に見ただけだけどね。すごく大きな旦那さんと、小さい旦那さん。お二人でご商売なすってるんだろ? あの小さい人好き。とっても優しそう」
そういってからミツは自分の口を押さえた。文吉も呆れた顔をする。
「おいおい。おらがいるのに旦那を好きとはそりゃねェだろ?」
「うふふ。ごめんなさい」
そんな昔のように軽口も言えるようになった。そして、紀伊国屋の小さいほうが好き。それは自分のことだが、今は違う。文吉はなんとなく甘いような酸っぱいような。痒いようなくすぐったいような気持ちになった。
「それじゃ、三日後に。大門まで荷物をまとめて来ておくれ。もう働かなくていいんだ。ささやかだが駕籠を用意して迎えに行くよ」
「うん。ありがとう」
ミツは文吉を店の先まで見送った。文吉もそれに手を振る。文吉はこれからの幸せな生活を想像しながら大門を後にした。
「主人に料理を買いに行かせたんだ。いい料理だろう? 旨いぞぅ」
そこには上等な料理ばかり。鯛の尾頭付きの塩焼き、刺し身や煮付け。鮹の酢の物、天ぷらに焼き豆腐や油揚げを焼いたものに味噌田楽。
「こ、こんなに食べきれないでありんすゥ」
「なぁに。だったら残せばいいんだ。酒も一緒に飲もう。それからありんす言葉はやめるんだ」
文吉はミツを横に侍らせたりしなかった。遊女として扱わないのだ。対面に置いて、一人の人間とした。そして紀文自ら酒を注いでやったのだった。
しかしミツにはよく分からない。格好を見ると、ただの手代。それが座敷をとったり、豪華な料理を頼んだり出来るはずもないのだ。
「ぶんきっつぁん?」
「どうしたい」
「どうしてこんな贅沢を?」
「なぁに。貯めたのよ」
そういって照りのいい刺し身を口の中に放り込む。だが遊女は男を転がす商売だ。手代の身分で貯めれる金額などたかが知れているのは知っていた。
「そんな。吉原でこんな贅沢が出来るほど、奉公で貯めれるわけないでしょう。それにどうして私がここにいることを知ったの?」
文吉は、自分で作ったストーリーを語って聞かせた。
「店のご主人が豪毅なかたでね、この前吉原に連れて来てもらった時におみっちゃんを見つけたんだ。旦那に話すと、それは良かった。今日遊ぶ分の金はやるから後日、彼女を迎えに行ってやりなさい、とこう言われてな」
「へ、へぇ~……。む、迎え?」
「そうだ。おミツ。お前を身請けしたい」
すると、ミツはホロリと涙をこぼす。
「無理だよ……」
「どうして?」
「身請けなんて、10両や20両じゃないもの……」
哀しげな表情のミツの前に、文吉は懐から取り出した紙の包みを突き出した。それは小判を包んだものと分かったが、明らかに100両は包まれている高さだった。
「こ、これは?」
「仲間と富を買ってね。それが当たってみんなで分けたものだ。これで身請けできるだろう?」
富とは今でいう宝くじのことだ。当時の江戸は火事が多かった。そのために、神社仏閣まで焼けてしまった。それを再建するために、寺社奉行が立ち合って富くじを発行したのだ。木札に番号が記されており、それを民間に購入してもらう。当選は大きな箱に番号が記された札を入れ、長い桐のようなもので突く。そのために“富つき”とも言われた。
文吉はそれに当たって大金を得たと言うことにしたのだ。
身請けの金額は、吉兵衛が汐凪を身請けした際に50両といっていたので、100両ならばお釣りが来ると分かっていた。
ミツはそれを胸に抱いて、涙を流した。
「ああ、まさかそんな──」
「夢じゃないさ。なぁ、おみっちゃん。小さい頃に約束したことを覚えているかい? 夫婦になって一緒に畑を耕しながら暮らすって言ったことを。おらはおみっちゃんさえいてくれれば、小さな小屋でも贅沢は言わねェ。ずっとずっと一緒に暮らすんだ」
ミツは文吉のそばによって、その胸に背中を預けた。
「なぁこちらを向いておくれ」
「いや」
「どうして?」
「こんなに幸せなのに、涙を流しているところを見せたくないもの」
「その涙が哀しいものでないのならいいんだよ。これからも、幸せだったら泣き、楽しかったら泣いて、子どもが産まれたら嬉しくて泣いて──」
その言葉にミツは袖を上げて顔を隠して涙を拭った。そして振り向いて文吉の唇を奪う。
「へへ……。信じていいんだね。今までたくさんの人に騙されたから……。生んだ両親はもちろん、里親にも。さらには女衒にも騙され、売られ売られて……。男にも何度も騙された。もう人の心なんてなくなるくらいに」
それはミツの今までの人生が不幸であったことを感じさせる言葉だった。
「だけど──。これからは違うさ」
「……うん。ありがと」
小さく笑うミツを文吉はまた強く抱きしめた。ミツは文吉の手を取り、寝床へと誘う。
それは文吉が初めて味わう甘い甘い蜜の味であった。
その晩は二人は互いに抱き合って決して離れようとはしなかった。
次の日は二人での初めての朝だった。互いに微笑み合い、文吉は手代の服を纏った。
「なぁおミツ。それでは三日後に迎えに来るよ。旦那がおらのためにのれんを分けてくれるんだ。そしたら一緒に店をやろう」
「そういえば、ぶんきっつぁんは、どこのお店で奉公しているの?」
「材木問屋だ。紀伊国屋だよ」
「へぇ! あの紀伊国屋さん!」
「知ってるのかい?」
「そりゃ吉原では知らない人はいないよゥ。といっても、ウチの格子から遠目に見ただけだけどね。すごく大きな旦那さんと、小さい旦那さん。お二人でご商売なすってるんだろ? あの小さい人好き。とっても優しそう」
そういってからミツは自分の口を押さえた。文吉も呆れた顔をする。
「おいおい。おらがいるのに旦那を好きとはそりゃねェだろ?」
「うふふ。ごめんなさい」
そんな昔のように軽口も言えるようになった。そして、紀伊国屋の小さいほうが好き。それは自分のことだが、今は違う。文吉はなんとなく甘いような酸っぱいような。痒いようなくすぐったいような気持ちになった。
「それじゃ、三日後に。大門まで荷物をまとめて来ておくれ。もう働かなくていいんだ。ささやかだが駕籠を用意して迎えに行くよ」
「うん。ありがとう」
ミツは文吉を店の先まで見送った。文吉もそれに手を振る。文吉はこれからの幸せな生活を想像しながら大門を後にした。
0
あなたにおすすめの小説
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
【時代小説】 黄昏夫婦
蔵屋
歴史・時代
江戸時代、東北地方の秋田藩は貧かった。
そんな中、真面目なひとりの武士がいた。同僚からは馬鹿にされていたが真面目な男であった。俸禄は低く貧しい。娘二人と実母との4人暮らし。
秋田藩での仕事は勘定方である。
仕事が終わると真っ直ぐ帰宅する。
ただひたすら日中は城中では勘定方の仕事をまじめにして、帰宅すれば論語を読んで知識を習得する。
そんな毎日であった。彼の名前は立花清左衛門。年齢は35歳。
娘は二人いて、一人はとめ15歳。もう一人は梅、8歳。
さて|黄昏《たそがれ》は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯のことを言う。「|黄昏時《たそがれどき)」。 「黄昏れる《たそがれる》」という動詞形もある。
「たそがれ」は、江戸時代になるまでは「たそかれ」といい、「たそかれどき」の略でよく知られていた。夕暮れの人の顔の識別がつかない暗さになると誰かれとなく、「そこにいるのは誰ですか」「誰そ彼(誰ですかあなたは)」とたずねる頃合いという意味で日常会話でよく使われた。
今回の私の小説のテーマはこの黄昏である。
この風習は広く日本で行われている。
「おはようさんです」「これからですか」「お晩でございます。いまお帰りですか」と尋ねられれば相手も答えざるを得ず、互いに誰であるかチェックすることでヨソ者を排除する意図があったとされている。
「たそかれ」という言葉は『万葉集』に
誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」
— 『万葉集』第10巻2240番
と登場するが、これは文字通り「誰ですかあなたは」という意味である。
「平安時代には『うつほ物語』に「たそかれどき」の用例が現れ、さらに『源氏物語』に
「寄りてこそ それかとも見め たそかれに ほのぼの見つる 夕顔の花」
— 『源氏物語』「夕顔」光源氏
と、現在のように「たそかれ」で時間帯を表す用例が現れる。
なおこの歌は、帖と登場人物の名「夕顔」の由来になった夕顔の歌への返歌である。
またこの言葉の比喩として、「最盛期は過ぎたが、多少は余力があり、滅亡するにはまだ早い状態」をという語句の用い方をする。
漢語「|黄昏《コウコン》」は日没後のまだ完全に暗くなっていない時刻を指す。「初昏」とも呼んでいた。十二時辰では「戌時」(午後7時から9時)に相当する。
「たそがれ」の動詞化の用法。日暮れの薄暗くなり始めるころを指して「空が黄昏れる」や、人生の盛りを過ぎ衰えるさまを表現して「黄昏た人」などのように使用されることがある。
この物語はフィクションです。登場人物、団体等実際に同じであっても一切関係ありません。
それでは、小説「黄昏夫婦」をお楽しみ下さい。
読者の皆様の何かにお役に立てれば幸いです。
作家 蔵屋日唱
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)
三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。
佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。
幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。
ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。
又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。
海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。
一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。
事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。
果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。
シロの鼻が真実を追い詰める!
別サイトで発表した作品のR15版です。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる