月夜の晩、猫のような彼女を拾った ──突然始まる同棲生活!!

家紋武範

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第44話 二度目の挑戦

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柿沢と交わる。
それには難点があった。

麗や畑中さんとのセックスに慣れてしまったオレは、相手からも愛撫を受けないとなかなかその気になれない。
そうしてもらえると思うだけでも興奮するのに、柿沢からはそれが望めない。
これでは柿沢自身がその気になっても、オレ自身が柿沢の中に入り込めないかもしれないのだ。

だが名案が浮かび、会社帰りに一人でドラッグストアに寄った。
避妊具とそれからラブローション。
これならローション独特の感触でうなだれたりしないんじゃないだろうか?
汚れてもシーツを変えれば済む話だし。

それを柿沢が料理をしている間に小さな柿沢のベッドの下に置いた。
やがてその時間がやってくる。
柿沢はどうやら構えているようだが、オレは終始笑顔を絶やさなかった。

そしてベッドに入り込む彼女の後にベッドに入り込む。
抵抗はしないもの、体を震わせて背中を向けてしまった。

体に少し触れるだけで、緊張しているのが分かる。
こういうのもうな垂れる原因なんだよなぁと思いながら、優しくキス。
そして徐々に熱く、激しくする。

触れる胸。それの先端。
執拗にその果実を吸い込む。
彼女は大きくのけぞるが攻撃の手を緩めるつもりはない。

やがて秘所に手を伸ばし、キスをしながら絶頂に追い込む。
彼女の緊張は完全に緩んでいた。
オレは自分の下着も完全に脱ぎ去った。

「……た、泰志さん」
「うん。何も心配することはないんだよ。一度目は痛くても、その後は次第に楽になる。大丈夫。オレはユイの初めての男になりたいんだ」

恥じらって小さくうなずく彼女を大きく抱しめた。
抱きしめて安心感を与えてやる。
いいものだと思って貰いたい。
ずっと一緒にいるんだから。
それから痛いと上に逃げるのも押さえつけられる。
この形なら、安心をしたまま胸の中で処女を喪失出来るのでは無いだろうか?

だが自分自身の反応が薄い。避妊具をつける頃には下を向いてしまうかもしれない。
やはりローションに頼るしかないと、ベッドの下に手を下ろした。

キスをしながら避妊具のパッケージを剥く。
彼女も自分からキスをし始め、互いの心が一致し始めた。
そう今がその時だ。
半身を起こして避妊具をつけ、ラブローションを塗って少ししごいた時──。

「な、な、な、なにそれー!」
「ローションだよ。スムーズになるように」

「やだやだ怖い。薬でしょ?」
「違うよ。海藻成分で口に入っても安心安全」

「やだ。どいて下さい」
「……え?」

「ダメダメ。今日は終わり」
「はぁ?」

柿沢はオレに背を向けて毛布を顔までかけてしまった。

なぜだこの変貌。
オレのものが完全に下を向いてしまった。
こんな好機なんてなかったのに。
イラツキがハンパ無い。

彼女はこのまま眠れるのだろうか?
そしてオレは?
この情けない姿のままどうすればいいのか?

「……ユイ?」
「別に……」

「ん?」
「セックスなんてなくてもよくないですか?」

「は、はぁ?」
「そう言う夫婦もいるし」

「なんだそりゃ。子どもはどうするの?」
「…………」

「どうするんだよ」
「それは……体外受精とか……」

「何言ってんだ。出産だって痛いのに」
「言わないでよ~」

「そんなにセックスを恐れてどうするんだよ」

彼女は黙ってしまった。
いい加減にして欲しい。
今楽しければそれでいいなんて、浅はかだ。浅慮過ぎる。

「……なんか、泰志さんってそればっかり」
「は、はいぃ!?」

「私は元カノから助けたのに。もっともっと、優しくしてくれたって……」

疲れる。悩まなくてもいい悩み。
優しくして欲しい。それってなんだろうな。

柿沢は結局、最初から同棲なんて無理な体質だったのかも知れない。一緒にいれば嫌なところだって見えてくる。
それがお互いにすぐに出てしまった。

最初にデートにデートを重ね、時間をかけて恋心を重ねて抱き合うなんて感じだったのかも知れない。

ベッドから離れて、ソファーの上に寝転んでどうすればいいのか考えた。
懐かしい顔が浮かぶ。


麗──。

麗、何してる?
今ごろ他の男に抱かれて、家族になれてるだろうか?

「……はぁ。帰るかな?」

麗も帰ってるかも知れない。
あの二人のダンボール箱。
でもそれはない。合鍵は置いていった。
オレが中にいないと麗は入れない。
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