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クインスロメン王国
第48話 グレイブ重婚
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やがて、クインスロメン国の王都が見えて来た。
一行を迎えるのは溢れんばかりの熱狂。
どうやらグレイブが棘の魔女を討ち取ったことを分かっているらしかった。
紙吹雪が舞い、飾り物が貼付けられ、祝砲が何度も打たれていた。
グレイブはレモーネに姫の入ったバケツを託した。
そしてみんなに作戦を伝え、自分は大剣の代わりに細身の剣を佩き、貴族の服を着用しハーツを伴って王宮の中に入って行った。
王宮の中も熱狂の渦であった。
それはこの英雄にまさに襲いかからんばかり。
ハーツの背中に冷たい汗が流れた。
「大丈夫だ。落ち着け将軍の息子」
「いやだなぁ。アニキ。それは言いっこ無しでやす」
いよいよ玉座の間に到着。
女王アンディスは玉座より降りてグレイブの手を取って歓待した。
もしもグレイブが暗殺者であれば女王を簡単に殺せる。殺させられる。
そのくらい警戒心がないという最上級の礼儀をとったのだ。
「グレイブよ。そなたのお陰で我が国は死せずにすんだ」
「お褒めの言葉ありがたき幸せに存じます。そうそうに仰せられました1000万ケラマンの授与と、国外に出るお許しをお願いしたいです」
「もちろんだとも。それに合わせて我が国最高の栄誉である黄金宝冠章を贈りたい」
「ありがたいことであります」
「誰かある! そうそうにここに彼が求める品を持て!」
女王の一声で大勢の家臣たちが金袋と許可証、そして勲章を携えて女王に渡した。
「ではそなたに黄金宝冠章を贈る」
「ありがたき幸せ」
「ついで1000万ケラマンを与える」
「ありがたき幸せ」
「続いて国外退出の許可証だ。仲間たちが全員出られる」
「ありがたき幸せ。それさえ頂ければ結構にございます」
「それから銀毛の馬だ。国内でこれ以上よい馬はないというものだ。城内の馬止めにとめてある」
「なんとも至れり尽くせりでございます。ありがとう存じます」
グレイブは倉庫の精霊ステイルを呼び出し、金袋や許可証を押し込むと、すぐさまボトルにしまいハーツに託した。
「では、我々はこれで」
しかし、玉座の間の出口には兵士たちが待っていた。
女兵士たちは片手に槍を持ち、大きな盾を構えている。
「ほほう。物々しい出で立ちで。このグレイブに褒美として剣の舞でも見せて頂けるので?」
「いやさ騎士殿。そなたには余の夫となっていただきたい」
「はてさてどういうことでございましょう。私には既に妻がおります。神に祝福を受けた以上重婚はできませぬ」
「いいえ。これは運命でございます。神が私達二人をこうして妻合わせたのです」
女王が指をならすと、ハーツは女兵士たちに囲まれてしまった。
すぐさまハーツは両手を上げて攻撃の意思がないことを示した。
「実は外のものも囲んでおります。騎士殿の返事一つです。中にはあなた様の奥様だった王女様もおられるのでしょう。私の命令一つです。良き返事をお聞かせ願いたいものです」
「なんとも猛烈なプロポーズですな。こうなってはグレイブ先に進めませぬ。お受けする以上ございません」
そう言うと、ハーツの囲みがパッととれた。
「ハーツ。私の旅はここまでだ。君たちは国境に向かいたまえ。道中、姫を頼む」
「がってん承知でやす!」
ハーツはグレイブからの言葉を受け取って外にかけていった。
残されたグレイブの周りに侍女が駆け込む。
「女王陛下様の夫君。お召し物をお着替え願います」
「左様か。結構、結構。まずは剣をお渡ししよう」
グレイブは剣すら渡してしまった。
彼にはすでに武器はない。寸鉄も帯びず控え室につれていかれ、女王の夫にふさわしい金糸銀糸の煌びやか衣裳を用意された。
その前に浴室に連れて行かれ、係のものに体の隅々まで洗われた。
いや、洗わせたのだ。足を投げ出し侍女たちに恥ずかしがることもなく洗わせ、香油をふりまいた浴槽に入った。
「なんと見事な。女王様もお気に召すことでしょう」
「左様か。女王の為に渾身を尽くすとお伝え下され」
やがて会食となり、女王と二人だけのテーブル。
旅の話などを聞かせると女王は楽しそうに聞き入っていた。
一行を迎えるのは溢れんばかりの熱狂。
どうやらグレイブが棘の魔女を討ち取ったことを分かっているらしかった。
紙吹雪が舞い、飾り物が貼付けられ、祝砲が何度も打たれていた。
グレイブはレモーネに姫の入ったバケツを託した。
そしてみんなに作戦を伝え、自分は大剣の代わりに細身の剣を佩き、貴族の服を着用しハーツを伴って王宮の中に入って行った。
王宮の中も熱狂の渦であった。
それはこの英雄にまさに襲いかからんばかり。
ハーツの背中に冷たい汗が流れた。
「大丈夫だ。落ち着け将軍の息子」
「いやだなぁ。アニキ。それは言いっこ無しでやす」
いよいよ玉座の間に到着。
女王アンディスは玉座より降りてグレイブの手を取って歓待した。
もしもグレイブが暗殺者であれば女王を簡単に殺せる。殺させられる。
そのくらい警戒心がないという最上級の礼儀をとったのだ。
「グレイブよ。そなたのお陰で我が国は死せずにすんだ」
「お褒めの言葉ありがたき幸せに存じます。そうそうに仰せられました1000万ケラマンの授与と、国外に出るお許しをお願いしたいです」
「もちろんだとも。それに合わせて我が国最高の栄誉である黄金宝冠章を贈りたい」
「ありがたいことであります」
「誰かある! そうそうにここに彼が求める品を持て!」
女王の一声で大勢の家臣たちが金袋と許可証、そして勲章を携えて女王に渡した。
「ではそなたに黄金宝冠章を贈る」
「ありがたき幸せ」
「ついで1000万ケラマンを与える」
「ありがたき幸せ」
「続いて国外退出の許可証だ。仲間たちが全員出られる」
「ありがたき幸せ。それさえ頂ければ結構にございます」
「それから銀毛の馬だ。国内でこれ以上よい馬はないというものだ。城内の馬止めにとめてある」
「なんとも至れり尽くせりでございます。ありがとう存じます」
グレイブは倉庫の精霊ステイルを呼び出し、金袋や許可証を押し込むと、すぐさまボトルにしまいハーツに託した。
「では、我々はこれで」
しかし、玉座の間の出口には兵士たちが待っていた。
女兵士たちは片手に槍を持ち、大きな盾を構えている。
「ほほう。物々しい出で立ちで。このグレイブに褒美として剣の舞でも見せて頂けるので?」
「いやさ騎士殿。そなたには余の夫となっていただきたい」
「はてさてどういうことでございましょう。私には既に妻がおります。神に祝福を受けた以上重婚はできませぬ」
「いいえ。これは運命でございます。神が私達二人をこうして妻合わせたのです」
女王が指をならすと、ハーツは女兵士たちに囲まれてしまった。
すぐさまハーツは両手を上げて攻撃の意思がないことを示した。
「実は外のものも囲んでおります。騎士殿の返事一つです。中にはあなた様の奥様だった王女様もおられるのでしょう。私の命令一つです。良き返事をお聞かせ願いたいものです」
「なんとも猛烈なプロポーズですな。こうなってはグレイブ先に進めませぬ。お受けする以上ございません」
そう言うと、ハーツの囲みがパッととれた。
「ハーツ。私の旅はここまでだ。君たちは国境に向かいたまえ。道中、姫を頼む」
「がってん承知でやす!」
ハーツはグレイブからの言葉を受け取って外にかけていった。
残されたグレイブの周りに侍女が駆け込む。
「女王陛下様の夫君。お召し物をお着替え願います」
「左様か。結構、結構。まずは剣をお渡ししよう」
グレイブは剣すら渡してしまった。
彼にはすでに武器はない。寸鉄も帯びず控え室につれていかれ、女王の夫にふさわしい金糸銀糸の煌びやか衣裳を用意された。
その前に浴室に連れて行かれ、係のものに体の隅々まで洗われた。
いや、洗わせたのだ。足を投げ出し侍女たちに恥ずかしがることもなく洗わせ、香油をふりまいた浴槽に入った。
「なんと見事な。女王様もお気に召すことでしょう」
「左様か。女王の為に渾身を尽くすとお伝え下され」
やがて会食となり、女王と二人だけのテーブル。
旅の話などを聞かせると女王は楽しそうに聞き入っていた。
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