ゆうれい探偵 死んだ姉ちゃんが幽霊になっても過保護すぎる

ケチャップかみ

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『優ちゃん大変、私この家には入れない』


音坂に引きずられ、家にねじ込まれそうとした瞬間、姉の動きが止まった。
どういうことだよ姉ちゃん。


『バリア、それとも結界? 何かそんな感じのものがあって、入れそうにないのよ』


見えない壁をノックする姉。

金持ちの家だからお札でもいっぱい張ってるのだろうか。
この現代社会でそんな非科学的な事をするなよ、今時幽霊なんて…幽霊なんて…姉ちゃんがいたわ。

むしろ幽霊の姉がいるのだから、音坂の家にも幽霊と戦う魔術師みたいな存在がいるのかも知れん。
恐ろしい、そんなのいたら俺の姉ちゃん浄化させられるかも知れないし、近寄りたくない。

幽霊の姉の存在が、何が存在してもおかしくないという証拠になっているとは思わなかった。
そうだよな、俺の所にだけ幽霊がいるって考える方がおかしいよな。

これだけ世界は広いんだ。
俺の知らない所で、吸血鬼がいてもおかしくないし、それと戦うヴァンパイアハンターとかいてもおかしくないよな。

つまり音坂の家は危険地帯。
侵入したら何が起きるかわからないから逃げるに限る。
よっしゃ理論武装できたから逃げるぞ。


『いやいや、ちょっと待って!優ちゃん、逃げたらダメよ!』


だって姉ちゃん。
これが罠だったら俺達姉弟二人とも死ぬんだぜ。


『罠ってなによ、私達殺されるような悪い事してないから大丈夫よ』


いいや、幽霊を絶対に滅することに命賭けてる霊媒師とかがいる可能性があるから、姉の言う事でも聞けないね。
俺は絶対に家に入らないし、逃げる。
あとやっぱり姉ちゃん、俺の心読めてるよね。返答なかったら帰るよ。


『………』


よっしゃ帰るぞ。
泣いてもうーうー唸っても怒っても俺は絶対帰るからな。


「二階堂くん、いきなり立ち止まってどうしたん?」


立ち止まった俺の腕を引きちぎりそうな力で引っ張る音坂。
だから滅茶苦茶痛いんだよ、もっと考えて行動してくれ。猫飼ってるならそれぐらいわかるだろ。


「あー…すまん音坂、俺達次の仕事があって早く行かないとダメなんだ」

『次の仕事なんて無いわよ』


姉がやさぐれている。けど見なかったことにして帰ろう、だから手を放せ音坂。


「ふふふふふ…ウチを騙そうたってそうはいかんで!「にゃおー」くんの言葉に意義ありや」

「そう、これは誰にでも解ける簡単な「にゃーおー」二階堂くんアンタは「みゃーおー」のに、次の「にゃにゃにゃ」これはあきらかおかしい、普通「み゛ゃお゛お゛お゛お゛」いんや!」


なるほどさっぱりわからん。
音坂の頭の上のサトーちゃんが空腹なのかじたばた鳴き始めたせいで全然聞き取れなかった。
なのに、音坂は俺の腕を掴みながら、もう片方の手でビシッと俺の顔を指を指したまま止まっている。


えっ、訂正する気は無いの?
サトーちゃんの鳴き声でまったく伝わって来なかったよ。


『完璧な推理、これは優ちゃんの負けよ、諦めなさい』


えっ?俺負けたの?
帰りたくないから勝手に言ってるだけじゃないの?


「ほらほら、反論無いなら、はよウチの部屋まで行くで」

「いやちょっと待て、待って、止まれぇ!アァー!」

『いってらっしゃーい、お姉ちゃんはこの辺りで待っとくからねー』







薄暗い廊下を見ただけでわかる。
ここは魔王城だ、序盤のボスがザコ敵として現れる最終決戦直前で、魔王が待ち構えてるに違いねぇ。

なんか紫色の燭台や、不気味な鎧が並んでいるが、これは絶対、モンスターがいる。
やっぱりここは敵がいる危険地帯だった、俺はここで死ぬのかもしれない。

「なぁ音坂」

「みゃーおー」


もしかしたら、俺の手を引く音坂は人間では無くモンスターかも知れない。
そんな気はしてたのだ、力が強すぎるしきっと鬼とか、オーガなんだ。

というか言葉に反応してくれよ。
何でサトーちゃんの反応だけなんだよ。


「な、なぁ音坂」

「にゃにゃにゃ!」


俺の腕を握りしめたまま無言で歩き続ける音坂。
やっべぇ、絶対やっべぇ、これやっべぇよ、絶対、とにかくやっべえ。

壁も変な柄が入った紫色の壁だし、変な魔法陣とか書かれてるし、絶対やっべえ。
振りほどいて逃げようにも、振りほどける気がせんぞ。

サトーちゃんの鳴き声がBGMみたいになっててすっげえ怖い。


「な、な、なあ」

「よっしゃ、決心付いたから言わせて貰うで。二階堂くん、いきなりで悪いんやけどな。実はウチ「みゃーおー」でな、今回の「にゃーおー」はアンタの「みゃーみゃー」やったんや」


お、おう。
何が?


「びっくりしたやろ。でもなアンタの「にゃぎゃー!」なんや、二階堂君も「みゃみゃみゃ!」やし「みゃぎゃー」やろ?」

「全然わからねえよ」


いやまじでサトーちゃんうるさすぎだろ。
昔はこんなにうるさくなかっただろ、いやあれは一代目だから違うのか。


「そうか、残念やな。「にゃぎゃー」二階堂くんならウチのこの「にゃにゃ」わかってくれると思ったんやけどな…」

「なあ音坂、お前は勘違いしてるぞ」

「へっ?」

「俺は何も理解してない、何も聞こえなかったからな」


鳴き声がうるさすぎなんだよ。
まじでさっぱりわからねえよ。


「アハハハ、そうかそうか、ほんと二階堂くんって優しいな、依頼した通りや…じゃあちょっと吸わせて貰うで」


吸うって何。


「いただきます」


だから吸うって何、あっちょっと腕に噛みつかないで、痛…くないな。
なんか頭ふわふわしてきた。なんか気持ちいいし…
あっあっ吸われてる、血吸われてる、依頼通りって何、姉ちゃんヘルプ!これダメなやつ!

助けて助けて!

アァーッ!










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