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プロローグ

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「お前のような弱き者に勇者の称号はふさわしくない」


これは私の人生全てを賭けて得た
この世で唯一勇者と名乗れる権利を得ていた彼女の仲間であった私の自慢話です。

いやー照れますね、彼女のエピソードを他人に語るのは初めて何ですよ。
あの人ってば、皆様からしたら無口で孤高の剣士ってイメージだと思うんですけど

実際は、暴君って感じなんですよね。

私の事は犬呼ばわりでしたし、敵を滅ぼす事第一で
周りの目なんてまったく気にせず、好きなように動いていました。

自身の歩みを止める事なく走って、走って。
私が追い付こうとしてもペースを変えることなく、こっちが転んだら容赦なく置いていこうとしますしね。
いやーあの頃は追いかけるだけでいっぱいいっぱいでしたよ。
こっちに振り向いてはくれませんからね。
置いていかれたら、そのまま終わりだったと思いますよ。


…後悔はしてくれそうなんですけどね。


あー、何でもないです、独り言です、気にしちゃだめです。
話を戻しましょうか。


勇者と言えば、吟遊詩人が歌ってる数々の戦いの物語がありますよね。
一番有名なのが魔王との闘いで、それを筆頭に町を救ったり、ドラゴン退治をしたり、山賊討伐だの、色々ありますけど。

あれかなり間違ってるんですよ。
だって、あの物語、勇者がほとんど剣で戦った事になってるじゃないですか。
彼女、剣なんてほとんど使った事無いですよ、ずっと一緒だった私ですら剣を持った彼女なんて数える程しか見たことが無い。

では、何を使っていたかというと
魔法に、爆薬、鉄砲に、クナイに、毒に、電気。

戦いに使えそうなら、どんな物でも取り入れて戦ってましたしね。
むしろ剣で戦ってる時間のほうが少なかったですし…。


彼女が一番使ってた武器ですか?
クナイですよ。

軽くて、火力は十分。
先の先を取れて、魔法も込めれるし、飛び道具にも暗器として奇襲にも使えるからって愛用してましたね。
色々な戦いを後ろで見ましたが、クナイを使ってた時期の彼女が一番美しく、強く、勇者だった。

四天王との戦いも、魔王との戦いも、ドラゴンとの戦いも、全てクナイで敵を切り裂きましたしね。
なんでか、聞いたことも無い聖剣で戦ったことになってましたけど。


で。
そんな彼女に剣で勝負挑んで勇者の称号を奪った騎士団長様が、今更彼女に何の用ですか。











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