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俺、裏切るわ(2)

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で、師匠。
俺の精気の味ってどうでした?

めっちゃ美味そうに吸ってたから、不味くはないと思うんですけど。
ていうか涎でベトベトだからふいてあげますね。

そうすると嬉しそうにえへえへと笑うサキュバスと真顔に戻る師匠が混在してて、なんか面白い。


「おにーちゃんのせーき、すっごい、おいしかっ…リスター、聞かないでくれ…」


羞恥心のせいか、座り込み真っ赤になった顔を隠し、嫌々と首を振る師匠。
なんとなく、羽と尻尾もしょんぼりしている。

しかし、その全く肌が隠せてない上着と、フリフリの水色スカート、どこから持ってきたんだろう。
この家には間違いなくなかった。

近隣にもこんな衣服を売るような店は無い、というより田舎の村だから衣服屋すら無い。

魔法か何かだろうか。
生憎、魔法には疎くてさっぱりわからないが、サキュバスは危険ランクSとか言われるぐらいだし衣服を作る魔法ぐらい持ってるのだろう。

そらこの可愛さはS級だし、金貨10万ぐらいださないと討伐するやついねーわ。
…というか本当にサキュバスは討伐されてるのか?

時折、サキュバスは討伐命令は下るが、実際に討伐したというニュースを見た記憶が無いのだが。
金貨10万とやらを受け取った人間も聞いたことが無い。
もしかしたら、発見した奴らが匿ったり、攫って逃げてるのではなかろうか。

まあそんなこと俺が考える必要性も無い。
今考えるべきは…何考えたら良いんだ?


「なあ、リスター…」


あっ師匠はちょっと黙っといてください、今考え事してるんで。


「うん…」


師匠がサキュバス化した原因は、別にどうでもいい。
サキュバスになっちゃったもんはしゃーない。
原因わかったところでどうでもいいから、これは考えなくて良い。

師匠の食事は、指だけでアレだ吸い取られるし、ヤッたら下手すりゃ死ぬ可能性すらある。
ていうより、師匠とヤルのはダメでしょ、何がダメかと言われたらわからないがダメでしょ。
絶対入らないし、何なら裂けるわ。

どこから精気吸ってもかわらない可能性はあるが、試して死ぬのも嫌だし…。
一応、俺は魔王を倒した勇者なんだから、最低限の死に方のイメージぐらいはある。

やっぱり、男なら有終の美を飾りたい。
いや具体的に説明しろと言われても、有終の美がどういう状況かさっぱりわからないが。


「おにーちゃんまだー?」


サキュバスもちょっと黙っててください、まだ考え事してるんで。


「ひーまー、ねーおにーちゃんせーきちょーだいーこの子もほしがってるからさー」


ああもう、師匠成分抜けたら、途端にダメになるな。


「違うぞ、俺はリスターの精気なんてものは欲しくは無い」

「うーそーつーきー」

「嘘なんて付いていない!俺は男だぞ、精気なんて必要ない!」

「ほしがってるくせにー、がまんせず食べちゃおうよー」

「いらないっていってるだろうが!」


サキュバスの表情がだらしない笑顔とキリッとした顔とでコロコロ変わる。
てっきり、師匠が理性失ったらサキュバスモードになるのかと思ったら二重人格みたいなものなのか。


「ちがうよー、わたしはこの子だよー」

「違う!お前は俺じゃない!」


よくわかりませんが俺はどっちでも大丈夫ですよ。
あっそうだ、師匠。
色々ドタバタしたので言い忘れてたことがあるんで聞いてください。


「なんだ!」


貴方の息子が魔王を倒してきましたよ、褒めてください!


俺の凱旋報告に号泣し始める師匠。
うん、うん。
俺は師匠のその姿を見たかったから頑張ったんですよ、でも残念なのは
一度も泣いた姿を見たことが無い師匠の泣き顔が見れなかったことですかね。

あの渋いおじさんがどう泣いてくれるか楽しみにしてたのに。
師匠がサキュバスになってるのは予想外過ぎましたよ。

ああ、もういくら何でも泣きすぎでしょ。
顔面の穴という穴から液体が出てひどいことになってますよ。


その姿が見たかったんですけどね!




















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