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第1章 小さな星。
Round10 ラリー・ドイッチュラント
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今回のラリーの舞台は、ドイツ。コース特性は、ターマックだけど、3つのラリーを統一してやってるため、エリアによって、特性が異なるという難コースである。そして、このラリーの特徴は、「サイドブレーキを多用する」という事。そして、ドイツワインを作るのに必要なブドウ畑を疾走したりとかもする。特に危険なのが、「パンツァープラッテ」という戦時中に活躍した、バウムホルダー軍事演習地内にあるセクションは、荒れたコンクリートでとんでもなく滑りやすくて、路肩に埋め込まれている「ブービートラップ」とも言える「ヒンケルシュタイン」と言う、戦車脱輪防止用のデカいブロックに誤って触れようもんなら一巻の終わりだ。実際、2004年にスバル・インプレッサでエントリーしていた、ペター・ソルベルグはここにヒットした際、すっ転んで、コ・ドライバーのフィル・ミルズ側のミラーが全てひん曲がるという大クラッシュをしている。そして、このラリーでは、DCCDが得意とするターマックラリーと言うだけあって期待大でもある。このラウンドから、俺のマシンには「DCCD By SUBARU」というロゴも加わった。そして、ヘルメットも新たにデザインした「Sunshine Orange」という、本来はラリージャパンで使う予定の物を急遽前倒しで使う事にした。美海ちゃんのヘルメットも新たにデザインした「Shining Mikan」という、2人揃って高海千歌ちゃんのカラー、「みかん色」を使ったヘルメットにしている。そして、レッキの時に、美海ちゃんにアクシデントが起きた。それは、暑かったり寒かったりを転々としてるため、それを起因とする発熱をしてしまった。とにかくチーム側も美海ちゃんには「大事をとって、辛いとは思うけど、今回のラリーはスキップしよう。」と言ってくれて、それを美海ちゃんも快諾してくれた。さて、どうしたものかと悩んでる所にルイスがやって来て、「今回限定で、また俺と組むか?」と聞いてきて、俺は「頼んだぜ。ルイス!また昨年みたいに派手に暴れようぜ。」とその場で答えを出して昨年の最終戦以来のペア復活が実現した。そう、ルイスはリザーブコ・ドライバーとしても登録してる為、何があっても良い様にスーツとかも採寸済みなのだ。レッキやシェイクダウンも難なくこなして迎えた初日。俺は、今回出れない美海ちゃんの分まで背負って走る事になった。そして、スタート。本人もブランクがあったにも関わらず、現役の時と変わらないナビゲーションを披露してくれた。そして、トップタイムで初日を終えた。続く2日目は、まさかの雨。ドイッチュラントで雨とか全力でラリーストを殺しに来てる様なものだ。俺は、ツール・ド・コルス以来の顔面蒼白になりながら、何とか完走した。マジで心臓に悪いってこんなの。迎えた最終日。最終日は、俺自身新たな試みをする事にした。それは「シンプソンFHRデバイス」の導入。俺自身このデバイスには興味はあったものの、懐疑的な目でしか見れなかった。だけど、物は試しで着けてみる事にした。一言で言うならば、「着るHansデバイス」だ。最終日は、ほぼ僅差での優勝。俺自身、背負ってる物の重さが違い過ぎた為、何としても勝たなければいけなかった。そして、ゴールした時は、思わず涙を流した程だった。そして、チームの方へと戻ると、回復した美海ちゃんの元へと向かい「ちゃんと勝ったよ。最後、もう自分でもダメかと思った。けど、美海ちゃんの思いが届いたおかげで勝てた。ありがとう。」と感謝の言葉を伝えた。そして、来季のエントリーリストも続々発表された。
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