FIA World Rally Championship Crazy Road

文字の大きさ
11 / 64
第1章 小さな星。

Round9 ネステオイル・ラリーフィンランド

しおりを挟む
今回のラリーの舞台は、ホームのフィンランド。しかもユヴァスキュラ周辺。その為、移動がかなり楽。コースはグラベルだけど、平均速度は約135km/h。最高速度は約200km/hオーバーに到達する、WRC屈指の超高速ラリーだ。ジャンピングスポットも多くて、名物の「オウニンポウヤ」は、平均速度がすごく高いコースとしても有名。だけど走っていて、ものすごく楽しいコースだ。ジャンピングセクション通過時は、すぐコーナーの為、進入角度や空中姿勢のコントロールが要求されるので、かなり精密なペースノートが必要とされる。レッキの時から、このラリーの洗練を浴びた。ちなみにレッキの時は、スバルWRX STIを使ってるけど、なかなか、感覚を掴むのに大変だった。そして迎えた初日。初日から、超高速ラリーが始まった。俺は、普段出しもしない速度かつ、未知の領域に、かなり神経を尖らせ、集中力を研ぎ澄ませていた。たとえ3日間のラリーだとしても、ここまでタフなものないと思ってる。だけど、高速戦が得意な俺は、それを活かして首位発進する事が出来た。2日目は、名物の「オウニンポウヤ」を通るコースレイアウトだ。ここは、俺でさえ恐ろしいと思う程のセクションで、一度ジャンプしてしまうと着地しない限りコントロールする手立ては皆無。しかも滞空時間がバカみたいに長い為、景色がゆっくりと見える。そして、超高速ジャンプの為、緻密な制御も要求される。美海ちゃんにも、「この、オウニンポウヤは、超高速ジャンプセクションだから、進入時にはアクセル&ブレーキと言って欲しいな。」と言う程だった。それ程、恐ろしいと思う程のセクションだ。2日目が始まった。ローダウンフォースであんなとこ飛ぶなんて、もはや「狂気の沙汰」としか言い様がない。そして、オウニンポウヤに入った。美海ちゃんは、「オウニンポウヤ、アクセル&ブレーキ!!」と、言ってくれたおかげで何と58mのビッグジャンプを披露する事ができた。だけど、生きた心地がしなかった。かなり気持ち悪かった。だけど、首位の座を明け渡す事無く、2日目を終える事が出来た。そして迎えた最終日。最終日は、まさに超高速ラリーの名に相応しいラリーとなった。俺も、2位のタナックから、逃げれるかどうかだった。だけど、このラリーから俺らトヨタは新兵器を導入した。それは、本来なら絶対ありえない、「人外的挙動」をする事が出来る新兵器だ。その名も「DCCD」という、かつてスバルが使っていた、動力分配機構だ。多分一番過激で凄くて面白かった90年代から2000年代初頭位のWRCを見たり、出たりした人なら分かると思うが、そう、スバルの「アレ」である。簡単に言えば、「直角に曲がる事」が可能なやつである。それをスバルは、特別に供給してくれて、というより、あくまでも「試験的」に供給してくれた。それまでは、普通のセンターデフだったが、俺が日本で活動してた時に、たまたまGC8を乗っていて、ラリーとかダートラとかに使いたかったので、「化けの皮」を剥がした際に、その挙動に一目惚れしてしまい、それ以降導入を所望していた。それに応えるかの様にスバルも協力してくれたりと、トヨタとの仲の良さが伺える。だけどDCCDの特性上、好き嫌い別れる為、まずは俺のマシンに着けてからだとの事。そして、DCCDの真価は最終日に発揮される事になった。しかも何のテストも無しのぶっつけ本番。だけど、今までインプレッサで培って来たノウハウや膨大なデータが、全てを証明してくれている。そして、コーナリング時には、美海ちゃんに「カックン来るから気をつけてね。」と言って、DCCDの真骨頂「カックンコーナリング」を披露。それを見た、2013年から参入したVW、2014年から再参入したヒョンデは度肝を抜かれたと思う。特にVWはその時代を知らない為、余計驚いたに違いない。そして、最後のセクションもクリアして、トップでフィニッシュ。美海ちゃんも、「あの挙動は何?何か直角に曲がってたんだけど!!」と言うと俺は、「スバルが特別にDCCDと言う兵器を供給してくれた。それだけ。しっかし、普通の4発とも相性良いなんて話は聞かされてなかったし、驚いたよ。」と言うと、「それ聞いた事あるよ。アレでしょ?インプレッサが直角に曲がってたやつ。」と美海ちゃんが言うと「そうそう。それを試しに着けてみた。」と言うと美海ちゃんは、「だからディスプレイにあんな異常なタイムが出たのね。」と納得していたりもした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

航空自衛隊奮闘記

北条戦壱
SF
百年後の世界でロシアや中国が自衛隊に対して戦争を挑み,,, 第三次世界大戦勃発100年後の世界はどうなっているのだろうか ※本小説は仮想の話となっています

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...