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第1章 小さな星。
Round11 ラリー・カタルーニャ
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第11戦の舞台は、スペインのカタルーニャ。このラリーは、日本のラリーファンにとっては、「少し変わった事」で馴染みのあるラリーだと思う。その「少し変わった事」というのは、「パニやん」という愛称で親しまれてる、ジル・パニッツィ選手が見せた「ドーナツターン」だ。確か、優勝がほぼほぼ決まった様な状態で余裕ぶっこいて、ファンサでドーナツターンをかましたという事で馴染みのあるラリーだ。ちなみに、ちゃんと優勝してる。それと、最終戦ラリージャパンまで残す所あと2~3ラウンドとなった。そして、このラウンドから、なんと自分の生まれ故郷の伊豆市がスポンサーになってくれたのだ。本当にありがたい限りだ。実は前回くらいで話題になった、シンプソンFHRデバイスか、HANSデバイスどちらを使うか問題は、結論から言うと、HANSデバイスの方がすぐに脱着できるという結論に至り、HANSデバイスを継続使用する事にした。今回のラリーはターマックとグラベルのミックスサーフェス。その為、初日がグラベル、2日目ターマック、最終日グラベルという流れになっており、初日終了後のサービスでは、デフ、タイヤ等をターマック仕様に変更する作業をする為、通常45分のインターバルの所75分へと拡大されている。それ程過酷なのだ。シェイクダウンも無事に完了して、初日を迎えた。初日はグラベル、という事はタイヤ戦略が鍵を握っている。これが一昔前ならバカスカ、ソフトタイヤぶっ込んでたのになぁ…。でも、DCCDをグラベルでも試せる数少ない機会だと捉えれば早いか。これでスバルが「WRC復帰します!」とか宣言したら、そっち行くよ。本当に。でも、ヤリスWRCとスバルのDCCDの相性かなり良くて、扱いやすいんだよね。だから、俺のマシンのステアリングには「DCCD」というダイヤルがあって、そこで調整出来る様になってる。グラベルでもDCCDは、強さを発揮して、トップのまま初日を終えた。そしてレース終了後のサービスでは、デフ、タイヤ等をターマック仕様に交換する作業が行われていて、その間、俺と美海はルイスと一緒に作戦会議をしたりしていた。どこをどう走ればタイム短縮が可能か、ここのコーナーは何速で入るかとかを。ルイスは自前のノートPCに昨年のオンボードを保存してる為、その中から今回のラリーを見つけて、一緒に見ていた。だけど、これはあくまでも参考程度で見ている。シトロエンとトヨタではマシンもそうだし、全てにおいて勝手が違うからだ。でも、こうやって走るという勉強にはなる。そして75分ピッタリで作業を終えて、2日目のターマックを迎えた。今回は、あの「ドーナツターン」は封印して、とにかく勝ちを狙いに行く作戦だ。そしてスタート。ペースもかなり好調。高速コーナーもクリアしてフィニッシュ。トップのままだが、2位のエバンスとはほぼ同タイムという珍事が起きてしまった。これには、俺もチームも頭を抱える事態になってしまった程だ。これはチームオーダーを出すべきか、一度、俺と美海もそうだが、ドライバーと首脳陣を集めて、チームオーダーをやるやらないの是非を採ることにした。結果としては「チームオーダーは、今後の事を考えて採らない。以上だ。解散。」という事になった。そうだよ。これだよ。俺が求めてたのは。政治なんて絡まない、「純粋なラリー」を俺は求めてたんだよ。シトロエンの時なんて、殆ど政治絡みですごく嫌だった。だから、この答えはすごく正しいと思う。迎えた最終日は、グラベル。セッティングもグラベル仕様に変更して、迎えた。そして、スタート。俺は、とにかくエバンスとの差を広げる為に、必死に逃げていた。そして、美海が「さぁここが最後のセクション!ストレート、フルスロットル!!そしてフィニッシュ!!よっしゃぁぁぁ!!!」と叫んでいる声で、フィニッシュしたんだと呟く程だった。俺は、マシンから降りて、やっと勝利した事に気付いた。そして、ポイントランキングでもドライバー、コンストラクター共にトップという状態のままウェールズラリーを迎えるのだった。
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