最後の異世界物語りー剣の姫と雷の英雄ー

天沢壱成

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無題ー暗澹ー

『独姫愁讐篇』

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 それは魔法全盛の時代。人間が神々から色彩あふれる奇跡の力を与えられ、神同士の永遠に思える争いが終結した後の御伽噺。
 その昔、一柱の神がいました。
 真名は■■■といい、少数となった神の中でも若く、正義感の強い一柱で、人間から親しまれ、尊敬され、崇められる素晴らしい神様でした。
 ■■■は人のため、何よりも世の安寧のために奇跡を振るい、笑顔と幸福で世界を満たし、涙と悲劇を根絶させようと邁進していました。
 
 ところがある日、全てが破綻します。

 ■■■の価値観、根本的な思想を激変させる最悪が発生したのです。
 そのまま花の香りと陽光が眩しい一本道を歩んでいれば何事もなく平和を甘受出来たのに、突如として道は二つに分かれ、血の匂いと暗闇が痛い茨の道が無粋な割り込みをかけてきたのです。
  
 ■■■は言いました。

 ーー失望した。

 それだけです。
 それだけを言って、■■■は人類の大量虐殺を開始して、世界を混沌に塗り替えようとしました。笑顔と幸福は阿鼻叫喚に蹂躙され、光の速さで悲劇と惨劇が量産され、血と涙で世界が歪むように潤ってしまったのです。
 人々は絶望し、他の神々は嘆きます。
 誰にも止められない。 
 打つ手がない。
 しかし、そんな時でした。とある六柱の神々が現れたのは。六柱は驚異的な力を振るう■■■と互角に戦い、多大な犠牲を払うことになるもその六つの輝きによって奇跡を呼び起こしたのです。
 ■■■は永い眠りにつき、六柱は混沌を追放し、再度世界に笑顔と幸福を取り戻すことに成功しました。
 
 人々はこの惨劇を『薨魔の祭礼』と呼称し癒えることのない心の痛みとして忘れぬことを誓い。
 ■■■を〈魔神〉と恐れ。
 六柱を〈光是の六柱〉と呼び感謝して崇め讃えました。

 ーーこれが、全ての始まりでした。





     最後の異世界物語り』より

          レイシア・エル・アルテミス
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