56 / 63
56
しおりを挟む
理人はおれの家に寄っていくというので一緒に車から降ろして貰った。
先輩には感謝してもし足りない、が、なんだか恥ずかしくて、ありがとうございました、と素っ気なく言って終わってしまった。こんなだから愛想がないって言われるんだよな……。特別無愛想なつもりは無いんだけれど。
理人が荷物を持ってくれていたので、鍵を開けて扉を開く。
「お邪魔しまーす。」
「ただいま……。」
二度と帰らなかったかもしれない家に生きて帰ってきた。
ふう、疲れた。
体力が落ちている。それでなくても貧弱な身体が、よわよわである。いやだいやだ。
ベッドに寝そべる。
荷物の整理は明日でいいや。
まだ腹は痛い。それはそうか、ナイフが刺さったんだもんな……。
窓の外を見る。まだ明るい。
眠くなってきた。
「理人……?眠いから、おれ寝るかも。」
「いいよ、寝て。俺、宿題とか夕飯の準備とかやってるから。」
「うん……。」
理人がカバンからなにか出している。宿題だろうか。そんな様子を眺めながら眠りに落ちた。
暗い。何も見えない。
誰かに押さえつけられていて動けない、アイツだ。アイツが来たんだ!!
逃げなきゃ、早く逃げないとまた刺されて……。
身体が動かない、助けて!
助けて!
誰か!
理人……!
理人!!!
「……うた、光太!起きて!」
「あ!ああ!あっ!」
「夢だよ。大丈夫、夢だから。」
ああ、夢か、じゃあここはどこ?
暗い……っ!!
「暗い!暗いよ!ここ、……どこ!?嫌だっ!暗い……!!」
バタバタと足音がして、パッと世界が明るくなった。
理人が電気をつけたのだった。
頭が混乱している。
夢とリアルの境界が曖昧になっている。
落ち着け、落ち着け。
「家だよ、光太の家。わかる?」
「家……。」
ようやく少し息が整ってきた。
少しずつ視覚が認識し始める。
「家……。夢、か……。」
痛む腹と頭を抱える。
心臓がドクンドクンとものすごい勢いで跳ね返っている。
「光太、落ち着いた?」
「うん、……少し、嫌な夢を見たみたい……。」
ごめん、俺も寝ちゃってて、起こすの遅くなった。と理人がベッドサイドに戻ってくる。
じっとりとかいた汗がクーラーで冷えてきた。
窓の外はすっかり暗くなっていた。
慌てて立ち上がってカーテンを閉める、手が震えている。
「だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ、夢見が悪かったんだ。」
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
夢見が悪かっただけだ。
だいじょうぶ、と心の中で何度も何度も繰り返す。
心臓は相変わらずドクンドクンと激しく鼓動を打っている。
先輩には感謝してもし足りない、が、なんだか恥ずかしくて、ありがとうございました、と素っ気なく言って終わってしまった。こんなだから愛想がないって言われるんだよな……。特別無愛想なつもりは無いんだけれど。
理人が荷物を持ってくれていたので、鍵を開けて扉を開く。
「お邪魔しまーす。」
「ただいま……。」
二度と帰らなかったかもしれない家に生きて帰ってきた。
ふう、疲れた。
体力が落ちている。それでなくても貧弱な身体が、よわよわである。いやだいやだ。
ベッドに寝そべる。
荷物の整理は明日でいいや。
まだ腹は痛い。それはそうか、ナイフが刺さったんだもんな……。
窓の外を見る。まだ明るい。
眠くなってきた。
「理人……?眠いから、おれ寝るかも。」
「いいよ、寝て。俺、宿題とか夕飯の準備とかやってるから。」
「うん……。」
理人がカバンからなにか出している。宿題だろうか。そんな様子を眺めながら眠りに落ちた。
暗い。何も見えない。
誰かに押さえつけられていて動けない、アイツだ。アイツが来たんだ!!
逃げなきゃ、早く逃げないとまた刺されて……。
身体が動かない、助けて!
助けて!
誰か!
理人……!
理人!!!
「……うた、光太!起きて!」
「あ!ああ!あっ!」
「夢だよ。大丈夫、夢だから。」
ああ、夢か、じゃあここはどこ?
暗い……っ!!
「暗い!暗いよ!ここ、……どこ!?嫌だっ!暗い……!!」
バタバタと足音がして、パッと世界が明るくなった。
理人が電気をつけたのだった。
頭が混乱している。
夢とリアルの境界が曖昧になっている。
落ち着け、落ち着け。
「家だよ、光太の家。わかる?」
「家……。」
ようやく少し息が整ってきた。
少しずつ視覚が認識し始める。
「家……。夢、か……。」
痛む腹と頭を抱える。
心臓がドクンドクンとものすごい勢いで跳ね返っている。
「光太、落ち着いた?」
「うん、……少し、嫌な夢を見たみたい……。」
ごめん、俺も寝ちゃってて、起こすの遅くなった。と理人がベッドサイドに戻ってくる。
じっとりとかいた汗がクーラーで冷えてきた。
窓の外はすっかり暗くなっていた。
慌てて立ち上がってカーテンを閉める、手が震えている。
「だいじょうぶ?」
「だいじょうぶ、夢見が悪かったんだ。」
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
夢見が悪かっただけだ。
だいじょうぶ、と心の中で何度も何度も繰り返す。
心臓は相変わらずドクンドクンと激しく鼓動を打っている。
1
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
Dom/Subユニバース読み切り【嘉島天馬×雨ケ谷颯太】
朝比奈*文字書き
BL
🖤 Dom/Subユニバース
毎週日曜日21時更新!
嘉島天馬(クーデレ・執着Dom)× 雨ケ谷颯太(ワンコ系・甘えんぼSubよりSwitch)
読み切り単話シリーズ。命令に溺れ、甘やかされ、とろけてゆく。
支配と愛情が交錯する、ふたりだけの濃密な関係を描いています。
あらすじは各小説に記載してあります。
親友が虎視眈々と僕を囲い込む準備をしていた
こたま
BL
西井朔空(さく)は24歳。IT企業で社会人生活を送っていた。朔空には、高校時代の親友で今も交流のある鹿島絢斗(あやと)がいる。大学時代に起業して財を成したイケメンである。賃貸マンションの配管故障のため部屋が水浸しになり使えなくなった日、絢斗に助けを求めると…美形×平凡と思っている美人の社会人ハッピーエンドBLです。
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる