こんな僕を、

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ドアが開く音と同時に幼い声が聞こえた。
すると急にソファの隼人がいない方が沈んだ。

「ねぇ!お兄ちゃん名前なに!」

『…』

「ねぇねぇー!!」

「咲、そうゆう時は自分から名前を言うのよ」

お姉さんが落ち着かせるように女の子に話しかけた。

「あたしさき!きりん組!お兄ちゃんの名前は?」

『知らない人には教えるなって言わ

「なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!なに!」

…隼人』

「ふふ、ごめんなさい、咲隼人くんに興味津々みたい…あ、きりん組は咲の通ってる幼稚園の一番上の組ね」

"今時の幼稚園の子はこんなにも恐ろしいのか…"

「ぼく…由梨……きりん、ぐみ」

お姉さんの後ろから咲より少し小さい男の子が出てきた。

『…ゆり』

「ぅん…」

『ここ…おいで』

隼人は自分の膝をぽんぽんと叩いた。

由梨が恐る恐る来て身長が届かないのか隼人の膝に手を置いた。
隼人は由梨の脇に手を入れて持ち上げ、自分の膝に乗せた。

"小さい頃の優斗みたいだ"

「す、すごぉぉい!ゆりいつもさきの後ろからばかみたいに動かず見てるだけなの!」

「ちょっと咲ぃ!?そんな言葉どこで覚えたの!馬鹿なんて言葉使わないの!」

おばさんが焦ったように口を挟んだ。

「咲と由梨は、この高木おばさんとこのお子さん、そろそろ私の息子も帰ってくるからね

あれ、そういえば隼人くん今小学3年生?」

『うん』

「なら同じクラスかもしれないわね!」

"だとしても分からないと思う…"

キッチンに行ったお姉さんを見て、由梨に目を向けた。

『由梨、次小学生?』

コクッと控えめに由梨が頷いた。

『じゃあボクと同じ小学校?』

「きっとなみのうえ小学校…」

『じゃあ同じ』

「ぼく…お勉強苦手なの、教えてくれる…?」

『いいよ、教えるのは自信ないけど』

咲とお姉さんとおばさんはもうオムライスを準備して食べていた、そんな中、由梨と隼人は2人の世界を作っている。

だが、久しぶりに弟に会えたような気がして隼人は嬉しい気持ちになっていた。
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