141 / 272
第十三章 グリューン帰還
2 聖女様に花を持たせましょうか
しおりを挟む
フェルディナントとの話を終え、アリツェは応接室から自室に戻った。椅子に座り、子爵領行きについて改めてゆっくりと考える。
(さて、クリスティーナも一緒となれば、また話は変わってくるな)
悠太は「どうしたもんかねぇ」とつぶやいている。
「クリスティーナ様に嫌がらせをしつつ、お養父様に復讐をもくろみ、なおかつ国王陛下の失望するような失敗をやらかす。併せて、子爵領の精霊教受け入れはきちんと果たす。なんだか盛りだくさんですわね」
思いがけずクリスティーナというお荷物が増え、アリツェは頭を抱えたくなる。
(そういわれると、なんだかわくわくしてくるな!)
「楽しまないでくださいませ! 大事なミッションなんですのよ!」
やけくそ気味に笑い飛ばす悠太に、アリツェは思わず声を荒げた。
(悪い悪い。さて、クリスティーナについては、道中やグリューン滞在中にいつもどおりの対応をしてやればいいだろう。あとは、クリスティーナ自身が使い魔を使って、精霊術でオレたちの邪魔をしないように注意をしていればいいかな。何やら今回の件で意気込んでいるようだから、グリューンで何らかの動きに出る可能性は高い)
クリスティーナ自身からわざわざ参加をねじ込んできた。当然、思惑があっての行動だろう。
「ドミニクにいいところを見せたいのでしょうか? ここで手柄を立てれば、婚約者の地位が近づくとして」
フェイシア王国内でクリスティーナの評判を上げるのには、もってこいの状況と言えなくもなかった。
(そうか、そういう考えができるのか。であれば、うまくクリスティーナに花を持たせる形で話をつけるように仕向ければ、よりドミニクとクリスティーナの婚約話へもっていきやすくなるな)
「国王陛下のクリスティーナ様への評価が向上すれば、確かにわたくしよりもクリスティーナ様を婚約者にした方が、という流れになりそうですわね」
悠太の意見に、アリツェはなるほどとうなずいた。
アリツェ自身は、今回のマルティン説得の件では、わざと失敗を犯すように行動する予定だ。であるならば、アリツェの失敗分をクリスティーナに挽回させるようにうまく動かせれば、クリスティーナの評判は上がり、一方で、アリツェの国王からの信頼は低下する。一挙両得のように思えてきた。
子爵領の精霊教禁教問題自体もきちんと解決しないと、フェイシア王国にとってはよくない。その点でも、アリツェ単独で行動して子爵領の問題がうやむやになるよりは、クリスティーナのフォローできちんと解決の方向に持っていけるのであるならば、よほど好都合だった。
(じゃあ、その形で進めよう。で、オレたちは今、表面上は世界再生教に鞍替えしているように見せかけている。この点を使って、マルティンの懐にうまいこと入り込もう。そして、アリツェがマルティンと国王との関係を取り持つと言ってマルティンを篭絡させ、うまいこと王都プラガまで連れて行く)
「うまくいきますでしょうか?」
あのマルティンが、そう簡単にアリツェの言葉を信じるとも思えない。
(今、マルティンは王国内に味方がいない状況だ。後ろ盾にしていたフェイシア王国の世界再生教の勢力も弱まるばかりだし、大分困っているんじゃないか? そこで、王家との関係回復の橋渡しをすると言ってアリツェが近づけば、まず間違いなく乗ってくるぞ)
「では、悠太様の案で試してみましょう」
悠太の意見に納得がいったので、アリツェは首肯した。
(さて、クリスティーナも一緒となれば、また話は変わってくるな)
悠太は「どうしたもんかねぇ」とつぶやいている。
「クリスティーナ様に嫌がらせをしつつ、お養父様に復讐をもくろみ、なおかつ国王陛下の失望するような失敗をやらかす。併せて、子爵領の精霊教受け入れはきちんと果たす。なんだか盛りだくさんですわね」
思いがけずクリスティーナというお荷物が増え、アリツェは頭を抱えたくなる。
(そういわれると、なんだかわくわくしてくるな!)
「楽しまないでくださいませ! 大事なミッションなんですのよ!」
やけくそ気味に笑い飛ばす悠太に、アリツェは思わず声を荒げた。
(悪い悪い。さて、クリスティーナについては、道中やグリューン滞在中にいつもどおりの対応をしてやればいいだろう。あとは、クリスティーナ自身が使い魔を使って、精霊術でオレたちの邪魔をしないように注意をしていればいいかな。何やら今回の件で意気込んでいるようだから、グリューンで何らかの動きに出る可能性は高い)
クリスティーナ自身からわざわざ参加をねじ込んできた。当然、思惑があっての行動だろう。
「ドミニクにいいところを見せたいのでしょうか? ここで手柄を立てれば、婚約者の地位が近づくとして」
フェイシア王国内でクリスティーナの評判を上げるのには、もってこいの状況と言えなくもなかった。
(そうか、そういう考えができるのか。であれば、うまくクリスティーナに花を持たせる形で話をつけるように仕向ければ、よりドミニクとクリスティーナの婚約話へもっていきやすくなるな)
「国王陛下のクリスティーナ様への評価が向上すれば、確かにわたくしよりもクリスティーナ様を婚約者にした方が、という流れになりそうですわね」
悠太の意見に、アリツェはなるほどとうなずいた。
アリツェ自身は、今回のマルティン説得の件では、わざと失敗を犯すように行動する予定だ。であるならば、アリツェの失敗分をクリスティーナに挽回させるようにうまく動かせれば、クリスティーナの評判は上がり、一方で、アリツェの国王からの信頼は低下する。一挙両得のように思えてきた。
子爵領の精霊教禁教問題自体もきちんと解決しないと、フェイシア王国にとってはよくない。その点でも、アリツェ単独で行動して子爵領の問題がうやむやになるよりは、クリスティーナのフォローできちんと解決の方向に持っていけるのであるならば、よほど好都合だった。
(じゃあ、その形で進めよう。で、オレたちは今、表面上は世界再生教に鞍替えしているように見せかけている。この点を使って、マルティンの懐にうまいこと入り込もう。そして、アリツェがマルティンと国王との関係を取り持つと言ってマルティンを篭絡させ、うまいこと王都プラガまで連れて行く)
「うまくいきますでしょうか?」
あのマルティンが、そう簡単にアリツェの言葉を信じるとも思えない。
(今、マルティンは王国内に味方がいない状況だ。後ろ盾にしていたフェイシア王国の世界再生教の勢力も弱まるばかりだし、大分困っているんじゃないか? そこで、王家との関係回復の橋渡しをすると言ってアリツェが近づけば、まず間違いなく乗ってくるぞ)
「では、悠太様の案で試してみましょう」
悠太の意見に納得がいったので、アリツェは首肯した。
0
あなたにおすすめの小説
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。
偽りの呪いで追放された聖女です。辺境で薬屋を開いたら、国一番の不運な王子様に拾われ「幸運の女神」と溺愛されています
黒崎隼人
ファンタジー
「君に触れると、不幸が起きるんだ」――偽りの呪いをかけられ、聖女の座を追われた少女、ルナ。
彼女は正体を隠し、辺境のミモザ村で薬師として静かな暮らしを始める。
ようやく手に入れた穏やかな日々。
しかし、そんな彼女の前に現れたのは、「王国一の不運王子」リオネスだった。
彼が歩けば嵐が起き、彼が触れば物が壊れる。
そんな王子が、なぜか彼女の薬草店の前で派手に転倒し、大怪我を負ってしまう。
「私の呪いのせいです!」と青ざめるルナに、王子は笑った。
「いつものことだから、君のせいじゃないよ」
これは、自分を不幸だと思い込む元聖女と、天性の不運をものともしない王子の、勘違いから始まる癒やしと幸運の物語。
二人が出会う時、本当の奇跡が目を覚ます。
心温まるスローライフ・ラブファンタジー、ここに開幕。
巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!
あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!?
資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。
そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。
どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。
「私、ガンバる!」
だったら私は帰してもらえない?ダメ?
聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。
スローライフまでは到達しなかったよ……。
緩いざまああり。
注意
いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる