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第十四章 悠太と優里菜、移ろいゆく心
6 転生者は二人ではない!?
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「あなたのペンダントを見て頭痛に襲われ、そこで初めて私はすべてを思い出しました。私が転生者で、この体は私が作った転生の素体に過ぎないと」
つまり、アリツェの『精霊王の証』を見たことがきっかけとなり、封じられていた転生者の記憶がよみがえったと、クリスティーナはそう言いたいらしい。
「実はわたくしも、そしてわたくしの双子の兄、ラディムも転生者なのですわ。管理者ヴァーツラフ様からは、テストプレイヤーは二人だけと聞かされておりました。ですので、てっきりわたくしの中の転生者であるカレル・プリンツ――横見悠太様と、わたくしのお兄様の中にいらっしゃる転生者、ユリナ・カタクラ――片倉優里菜様の二人だけかと思っていたのです」
アリツェは転生者について、今知っている話をクリスティーナに語った。
「あー、なるほど。カレルとユリナだったんだ、あとの二人は……」
クリスティーナは懐かしいものを聞いたといった表情でうなずいた。
「クリスティーナ様、ご存じで?」
「私はその二人の元パーティーメンバー、ミリア・パーラヴァが転生した人格よ。あ、ちなみに今表に出ているのは、クリスティーナではなくて、ミリアとしての人格だからね」
聞き覚えのある名前が出てきた。悠太の記憶の中にある、弓を得意とした年上の女性。
(悠太様、クリスティーナ様はミリア様でしたわ。あなた様の記憶を見て、わたくしもわかっておりますが、ちょっと気の強いお姉さま、でしたかしら?)
(あぁ、そうだ。オレはずいぶんと可愛がってもらったな)
悠太は懐かしそうに声を弾ませた。
「お話をお伺いしておりますと、どうやらあなた様はヴァーツラフ様から、テストプレイヤーが二人だとは聞いていらっしゃらないようですわね」
クリスティーナはさきほど、『あとの二人は』と言った。ということは、ヴァーツラフから転生者が二人のみと聞かされた悠太と優里菜とは、状況が異なっている。
「ええ、私は、私を含めて三人と聞いているわ。あなたたちがテストプレイへの参加者について、二人のみと聞かされていた件だけれど、おそらくは、私がテストプレイ募集にギリギリのタイミングで応じたせいで、あなたたち二人が転生の処理をしているころにはまだ、私の参加申請がヴァーツラフさんに届いていなかったのが原因じゃないかと思うの」
クリスティーナは口元に手を当てて考え込み、推論を述べた。
「ということは、同じような事情で、あなたの後にさらに転生者が増えている可能性もあるのでしょうか?」
クリスティーナ――ミリアの転生処理をしている際に、さらなるテストプレイ参加者が現れたとしてもおかしくはないのではないかと、アリツェはそう思った。
「いえ、ないと思うわね。言ったでしょ? 私がギリギリのタイミングでの参加者だって」
クリスティーナは頭を振った。
「いえ、実は……。ほかにもう一人、転生者らしき心当たりのある人物がいたのですわ」
アリツェは黒髪の少女の姿を脳裏に思い描いた。
「へぇー、それは興味深いわね。会ったことはあるの?」
「それはその……、わたくしが、殺めました……」
クリスティーナの問いに、アリツェは顔をしかめながら、どうにか言葉を絞り出した。
「え?」
クリスティーナは驚き、目をむいた。
「アリツェ、その件は無理にしゃべらなくても」
アリツェの様子に気づき、ドミニクが慌てて止めに入った。
「いいんです、ドミニク。クリスティーナ様の協力を得るためにも、嘘偽りなくお話すべきだと、わたくし思うのですわ」
これからのクリスティーナとの関係構築を考えれば、隠し立ては悪手だとアリツェは判断した。
「ありがとう、アリツェ」
アリツェの意図を理解したのか、クリスティーナは嬉しそうにうなずく。
「マリエという名の少女なのですが、わたくしにとっては命の危険のある方でした。なので、致し方がなく……」
「えぇ、えぇ、わかっているわ。今、無理に話さなくても、落ち着いてからゆっくりと教えてくれればいいわ」
クリスティーナはそう言って、アリツェが無理にしゃべろうとするのを手で制した。
「ただ、そうなると、そのマリエって少女の転生者は誰なのかしら?」
クリスティーナは小首をかしげる。
「マリエさんについては、お兄様の方がよくご存じなのですが……。申し訳ございません、今は辺境伯軍を離れられないのですわ」
マリエと一番長い時を過ごしたのはラディムだ。アリツェはほんのわずかな間、しかも戦場でしか相対していない。マリエに関しては、これ以上の説明のしようがなかった。
「まぁ、その件は置いておきましょう。重要なのは、これから私たちがどうするかです」
クリスティーナは一転、ニコリと笑って話題を変えた。
つまり、アリツェの『精霊王の証』を見たことがきっかけとなり、封じられていた転生者の記憶がよみがえったと、クリスティーナはそう言いたいらしい。
「実はわたくしも、そしてわたくしの双子の兄、ラディムも転生者なのですわ。管理者ヴァーツラフ様からは、テストプレイヤーは二人だけと聞かされておりました。ですので、てっきりわたくしの中の転生者であるカレル・プリンツ――横見悠太様と、わたくしのお兄様の中にいらっしゃる転生者、ユリナ・カタクラ――片倉優里菜様の二人だけかと思っていたのです」
アリツェは転生者について、今知っている話をクリスティーナに語った。
「あー、なるほど。カレルとユリナだったんだ、あとの二人は……」
クリスティーナは懐かしいものを聞いたといった表情でうなずいた。
「クリスティーナ様、ご存じで?」
「私はその二人の元パーティーメンバー、ミリア・パーラヴァが転生した人格よ。あ、ちなみに今表に出ているのは、クリスティーナではなくて、ミリアとしての人格だからね」
聞き覚えのある名前が出てきた。悠太の記憶の中にある、弓を得意とした年上の女性。
(悠太様、クリスティーナ様はミリア様でしたわ。あなた様の記憶を見て、わたくしもわかっておりますが、ちょっと気の強いお姉さま、でしたかしら?)
(あぁ、そうだ。オレはずいぶんと可愛がってもらったな)
悠太は懐かしそうに声を弾ませた。
「お話をお伺いしておりますと、どうやらあなた様はヴァーツラフ様から、テストプレイヤーが二人だとは聞いていらっしゃらないようですわね」
クリスティーナはさきほど、『あとの二人は』と言った。ということは、ヴァーツラフから転生者が二人のみと聞かされた悠太と優里菜とは、状況が異なっている。
「ええ、私は、私を含めて三人と聞いているわ。あなたたちがテストプレイへの参加者について、二人のみと聞かされていた件だけれど、おそらくは、私がテストプレイ募集にギリギリのタイミングで応じたせいで、あなたたち二人が転生の処理をしているころにはまだ、私の参加申請がヴァーツラフさんに届いていなかったのが原因じゃないかと思うの」
クリスティーナは口元に手を当てて考え込み、推論を述べた。
「ということは、同じような事情で、あなたの後にさらに転生者が増えている可能性もあるのでしょうか?」
クリスティーナ――ミリアの転生処理をしている際に、さらなるテストプレイ参加者が現れたとしてもおかしくはないのではないかと、アリツェはそう思った。
「いえ、ないと思うわね。言ったでしょ? 私がギリギリのタイミングでの参加者だって」
クリスティーナは頭を振った。
「いえ、実は……。ほかにもう一人、転生者らしき心当たりのある人物がいたのですわ」
アリツェは黒髪の少女の姿を脳裏に思い描いた。
「へぇー、それは興味深いわね。会ったことはあるの?」
「それはその……、わたくしが、殺めました……」
クリスティーナの問いに、アリツェは顔をしかめながら、どうにか言葉を絞り出した。
「え?」
クリスティーナは驚き、目をむいた。
「アリツェ、その件は無理にしゃべらなくても」
アリツェの様子に気づき、ドミニクが慌てて止めに入った。
「いいんです、ドミニク。クリスティーナ様の協力を得るためにも、嘘偽りなくお話すべきだと、わたくし思うのですわ」
これからのクリスティーナとの関係構築を考えれば、隠し立ては悪手だとアリツェは判断した。
「ありがとう、アリツェ」
アリツェの意図を理解したのか、クリスティーナは嬉しそうにうなずく。
「マリエという名の少女なのですが、わたくしにとっては命の危険のある方でした。なので、致し方がなく……」
「えぇ、えぇ、わかっているわ。今、無理に話さなくても、落ち着いてからゆっくりと教えてくれればいいわ」
クリスティーナはそう言って、アリツェが無理にしゃべろうとするのを手で制した。
「ただ、そうなると、そのマリエって少女の転生者は誰なのかしら?」
クリスティーナは小首をかしげる。
「マリエさんについては、お兄様の方がよくご存じなのですが……。申し訳ございません、今は辺境伯軍を離れられないのですわ」
マリエと一番長い時を過ごしたのはラディムだ。アリツェはほんのわずかな間、しかも戦場でしか相対していない。マリエに関しては、これ以上の説明のしようがなかった。
「まぁ、その件は置いておきましょう。重要なのは、これから私たちがどうするかです」
クリスティーナは一転、ニコリと笑って話題を変えた。
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