醜い子と美しい子

幸志

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1章

始まり

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ある所の貴族の館に美しい姿を持つ奴隷の少年一人と訳あって屋敷にきた一人の女の子がおりました。

 ある冬の日の事です。少年は悪さをして外に締め出されて木の近くで寒さを凌いでいました。
すると、窓を開けて女の子が少年に話しかけました。
女の子「はじめまして、貴方とても寒そうね。私の羽織をお使いなさい。」

しかし、少年はこう言い返しました。
少年「そんな薄汚い上着誰が使うものか、お前の顔など見たく無いさっさと私の前から失せるがいい。」

女の子「ごめんなさい、すぐ奥へ引っ込むわ。ええ、貴方がこの羽織を受け取ったらね」
そう言って女の子は譲らないのでその日、少年は羽織を借りてやりました。

翌日
少年は羽織を返す為に木の近くにやって来ました。
しばらく呼びかけていると女の子が窓から顔を出しました。

少年「おい、お前。昨日借りた羽織を返しにきたぞ。」

女の子はぱっと笑って
女の子「わざわざ返しに来てくれたの、ありがとう!貴方、優しい人ね!」

少年はムッとして言い返します。
少年「俺は優しくなんか無い。お前に借りを作るのが嫌なだけだ。早く降りてこい。」

今度は少し悲しそうに女の子が応えました。
女の子「私、こんな高い所から降りられないわ。ねえ、貴方がこちらへいらっしゃいよ。そうしないと羽織を受け取れ無いわ。ねっ?」

ブツブツ文句を溢しながらも少年は窓の近くまで登って行き羽織を返しました。
女の子は花が咲くように笑って
女の子「ありがとう!やっぱり貴方優しい人ね。名前は何ていうの?」

少年「この屋敷では*ショールスと呼ばれているが気に入って無い。奴隷にショールスなんて趣味が悪いにも程がある。」*ショールス=美しいの意

女の子「でも、私は素敵だと思うわ。だって、貴方とてもきれいな顔をしているもの。でもショールスが嫌だって言うなら私は貴方のこと美しい子と呼ぶわ。ね?」

少年は少し呆れた様子で息を吐いて。
少年「嫌だと言ってもお前はもう曲がらなそうだな。好きにしろ…。それでお前の名前は何て言うんだ。」

女の子「私に興味が湧いたの?嬉しいわ!さっきは私が貴方に名前をつけたんだから今度は貴方私に名前を付けてちょうだいよ。」

少年「俺が付けろだと、面倒な。俺とお前は正反対だから俺が美しい子ならお前は醜い子でいいだろう。文句は聞かないからな。」

女の子「いいえ、文句なんて無いわ。新しい名前を付けてくれてありがとう!やっぱり何やかんや言って居ても美しい子は優しいわね!ねえ、また私と話をしない?私美しい子と話しているの好きよ!」

少年「そんな訳無いだろ!俺はお前と話している程暇じゃ無いんだぞ!!」

少し口の悪い少年とおしゃべりな女の子。でも、二人は美しい子と醜い子。

交わるはずの無い、物の理の様に狂った時計はまわり周る。

次回予告

「夏の約束を」
始まりから7年経った夏の日に儚い約束を二人で

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