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第4話 破壊された国
しおりを挟む青の林檎隊の時に訪れた国。
だけどそこは育てられた故郷の国でもあった。
名前をソード王国。
勇者が生まれた王国だった。
酒場の主人、剣術道場、冒険者ギルド、武器屋防具屋、アイテムボックス、家。
家には父親と母親がいて、弟と妹がいる。
沢山の人々。
だけど彼等はもういないのかもしれない。
廃墟になった王国。
建物が破壊されて、崩れ落ちている。
城なんて半分程消滅している。
何が起きたのか理解が及ばない。
「つまり、パーティメンバーが魔王化したという事だよね、デル」
「そうね、それが現実ねぇ、あの伝説の遺物はね、異次元というスキルといくつかのスキルが付与されていてね、回りにいる人間を魔王化してしまうのよ、魔王化された人間は片っ端から人間を殺して力を奪うの、それはね、殺した相手のスキルを奪うという事よ」
「そうか、でも7人全員が魔王になったのかな」
「そうね、そうでなきゃ王国1つがここまで潰れる訳がないと思うわよ~」
「彼等に意識はあったの?」
「そうね、あったんじゃない? だって力を手に入れて使いたかったのでしょうね」
「そうか、なら、殺しても良いよね」
「そうね、良いんじゃない?」
リードの目が燃えたぎるように熱くなっていた。
彼等はリードから何もかもを奪っていった。
大事な家族を、大事な人々を、思い出の大地を、そして信頼と言う絆を。
その時だった。建物のあちこちから人がこちらを見ている。
リードの表情の曇りが消えていった。
「お、お前リードか」
それは酒場の主人ガルクドであった。
彼はこちらに走ってくると、頭から体をぱんぱんと叩きながら。
「い、生きてるのか、青の林檎隊がお前が死んだって言うからさ、あいつら国王の眼の前で化物になって片っ端から人を殺していったんだ。王様と王子は惨殺されたよ、さらにあいつら殺した奴等のスキルを使いだしてな」
「大変だったんだね、ガルクドさんは無事でよかった。カードとミードは生きてるの?」
「お前の弟と妹は何とか無事だ、隣街に逃げていったそうだ。だけど父親と母親は戦って消滅していったよ、まるで異次元に吸収されるようにな」
しばらくの間リードは無言で考えていたが、答え等見つからず、父親と母親が生きている事を願っていた。
「この国は終わりだなー」
「何でですか? これから建て直せばいいでしょう」
「無理だ。殆どが別な国や街に逃げちまったよ」
「その国や街だって危険かもしれない、なら僕らでこの国を立て直そう」
「それが出来ればやりたいんだがなー」
「リード君~アイテムボックスの力を覚醒させる時ですよ~」
「覚醒?」
「正確には上手に使うと言う事なんですけどねー」
「どうやって?」
「辺りを見回してごらん」
そこには無数の建物が破壊されて朽ち果てている。
それをどうしたら?
自分が出来るのはそういった建物の瓦礫をアイテムボックスで収納する事くらいだろう。
もしかして、アイテムボックスの中で色々と組み立てる事が出来るのではないだろうか。
それを使って、建物を配置出来れば。
それはただの思いつきだったのだが。
「やってみます」
リードは、歩き出す。
瓦礫は思い出となる。
だけど、その思い出は今はいらない。
アイテムボックスを空高く投げる。
後は願えばいい。
瓦礫を吸い込んでくれと。
そうすると、アイテムボックスが地上に落ちてくる。
辺りから瓦礫が無くなる。正確には建物という建物、物と言う物全てが消え去る。
残ったのは10名程の大人達だけ。
何もない大地だけであった。
「よ、よし」
「後はリード君の思いが強い部分なら再現できるだろうね」
その言葉を胸に、建物の瓦礫をアイテムボックス内で配合する。
アイテムボックス錬金なる現象を発動させた。
イメージ力が大事で、出来る範囲は決められていたけど。
思い出。
酒場、冒険者ギルド、城壁、王城、宿屋、自分の家。
その他はあまり思い出が無い。
だから、出来たのは、たったそれだけ。
城壁の中には大きな空白スペースが出来上がってしまったけど。
「ガルクドさん、僕にはこれが限界です」
だが、ガルクドの周りにいた10人の大人達は、それだけでも嬉しかったようで。
「ありがてええ、これだけあれば、どうやってでも国を復興出来るぞ、おめーが国王になっちまえリード」
「ぼ、僕がですか?」
「そうだ。わしを含めて、11名の大人が力を貸す。そこのお嬢さんとお前を含めて13名だ。どうだ? 1から建国する楽しみってやつを味わおうじゃねーかよ」
リードはこの時、自らの血に宿っている異世界の人間の事を思った。
遥か昔勇者はこの地に国を作った。
そうして一般の人になったとされる。
その伝記を思い出していた。
「良いよ、僕が国王になってあげよう」
「リード君それがキミらしさだよ」
デルの言葉にリードは決意する。
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