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第2話 魔王デナントス
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ぼくは人間が大好きだった。
人間と一緒になって遊ぶのが大好きだ。
いつか結婚しようと誓った少女はいつも笑ってくれた。
人間の村や王国に一緒に旅に出て冒険者として遊んで。
ゴブリンの支配下達はいつもそんなぼくを止めていたっけ。
それでもゴブリン達は人間を襲う事はしない。
それはぼくが止めさせていたからだ。
それでもぼくは魔王デナントス。
人間を支配しないといけないし、人間を滅ぼさないといけない。
そんな宿命に取りつかれていたい訳ではない。
そんなある日、いつものように遊んでいた。
「ラクシャミー 今日も綺麗だね」
「そうかな」
「なぁ、お前等結婚するんだってな大人になったら」
1人の顔のごつい冒険者が言った。
その冒険者はいつもこちらの事を伺って様子を見ていた気がする。
彼には特殊な才能があるようで【鑑定】と呼ばれる力のようだ。
それがどこまで相手の力を見破る事が出来るのかは分からないが。
ぼくを見て発狂しないという事は魔王である事は隠せているはずだった。
「なぁ、お前、いいや」
その男は笑う。
名前をグリングシャという。
グリングシャはいつもこちらを見て笑っている。
その不気味な顔はいつも歪んでいた。
そのまなざしはラクシャミーに注がれていたのだから。
雨の日だった。
ラクシャミーが帰ってくるのが遅いから迎えに行った。
扉をゆっくりと開けた。
鉄臭い匂いがした。
1歩1歩と歩いていくと。
大きな塊が血だまりの中で転がっていた。
すぐにラクシャミーの父親である事が分かった。
脳裏に嫌な予感が走った。
2階に上がるべく階段を登ろうとした。
階段の上から赤い液体が流れていた。
ドアの隙間から手が出ていた。
それがラクシャミーの母親の手だと分かった。
ラクシャミーのいる部屋に入ると。
ヌイグルミが沢山飾られていた。
そこにラクシャミーは血だまりの中のベッドで眠っていた。
「ラクシャミー」
そう叫ぶと、ラクシャミーはただただ眠り続けていた。
「起きろよ」
生きてはいなかった。
氷のように冷たく、この血は母親の物であるらしい。
傷がないのになぜラクシャミーは死んでいるのだろうか。
その時だ。
窓が何かで割られる音が響いた。
1人また1人と叫ぶ声がする。
「魔王の許嫁が、その家族もミナゴロシダ」
「人間を売った家族等ミナゴロシダ」
「さぁ、皆死んでしまえ」
ぼくは心の中に暖かい血のような物が駆け巡る感覚を感じていた。
ふつふつと沸き上がる感触。
その時ぼくの脳みそをは怒りに包まれて爆発していた。
一瞬でこの村は焦土と化した。
そうして勇者がやってきて、ぼくは勇者をこの手で殺害したという訳だ。
「とまぁ、こんな感じで」
「辛かったな」
「それは君もだろう? 君は力を使えば思い出を失うのだから」
「デナントス、君が許嫁を思う気持ちは分かる。だけどなぜ魔王だとばれたんだろうか」
「それは恐らくあの鑑定もちだろう」
「そうかもしれないが」
「あの鑑定もちを見つけて殺す、それが冒険者としての役目さ、もう勇者も殺しちまったからなぁ」
「そうだな、デナントス、俺と君は友達になれる気がするんだ。話をきいてくれないか」
「もちろんだとも友よ」
★
俺は深呼吸を繰り返して説明しようと思った。
なぜこうなってしまったのか、なぜ異世界になんて渡る事になってしまったのか。
中学生の夏の頃、サッカー部でなぜか、俺にだけボールがパスされなかった。
その日から俺は周りから疎外されていき、虐めの対象になっていった。
虐めってのは仲間外れって意味だけど、色々な虐めがあるんだ。
それはエスカレートしていった訳だ。
何度も抗ったさ。
何度も立ち向かったさ。
でも相手は10人以上だし。
監督もぐるになってた。
俺の父親はサッカー選手だった。
いつも色々な事を教えてくれていた。
それが妬ましいと虐めて来ている人に言われた。
俺はどうしようもなかったわけだが。
俺にも責任があったのかもしれない。
それでもそれが1年くらい続いた。
もうどうにでもなれって思って、車っていう乗り物が沢山走っている所に突っ込んだんだ。
そうしたらここに来てたって訳さ。
「そうか、サッカーとやらが何かは分からないが、異世界のスポーツなのだろう。この世界では闘技場があるからそう言ったものだと思うが、虐めか、それはひどい話だな」
「でもそれに立ち向かえなかった俺は、相当恥ずかしいかもしれない」
「それは違うぞ、ぼくは魔王の中でも際立って最弱とされていて、魔王候補から仲間外れにされたり嫌がらせを受けた。ぼくは逃げたんだ。逃げる事で勝つという事を覚えたんだよ」
「俺がいけなかったのは立ち向かったからなのかな」
「いけなかったとか悪かったとかではないさ、まぁそういう時もあるという事だ」
「そうだな」
「これからどうすれば良いかという事だよヴェイク」
「ああ、さっき言っていた大陸に行こうと思う、デナントスも来るだろ? 君が言う魔王の王国は潰れたんだろ?」
「ああ、なぜわかる?」
「ゴブリンの死体さ、あれだけの量が死んでいたんだ。君がラクシャミーの所に行ったときには奇襲を受けたんだろう」
「まぁな、そう言う所だ。ぼくには今何も残されていないのさ」
「なら俺もだ。一緒に旅をしよう、思い出を作ろうデナントス」
「ああ、ヴェイク、これからも冒険者としてよろしくな」
「もちろんだとも」
俺とデナントスは海に向かって、歩き出した。
その背中からは仄かな赤い塊の光が差していた。
光は暖かくて体を透き通るように通っていき。
その光は海面を照らし。
俺達は海に辿り着いた。
1隻の船がそこには漂着していたのだが。
髑髏のマークの帆があり。
どうやら海賊船のようだった。
海賊船のマストの上には1人の少女がこちらをじっと見ていた。
俺とデナントスは頷いて近づいていった。
だけどそこには1人の少女しかいなかった。
どうやら海賊船は1人の少女だけで動いていたのだから。
人間と一緒になって遊ぶのが大好きだ。
いつか結婚しようと誓った少女はいつも笑ってくれた。
人間の村や王国に一緒に旅に出て冒険者として遊んで。
ゴブリンの支配下達はいつもそんなぼくを止めていたっけ。
それでもゴブリン達は人間を襲う事はしない。
それはぼくが止めさせていたからだ。
それでもぼくは魔王デナントス。
人間を支配しないといけないし、人間を滅ぼさないといけない。
そんな宿命に取りつかれていたい訳ではない。
そんなある日、いつものように遊んでいた。
「ラクシャミー 今日も綺麗だね」
「そうかな」
「なぁ、お前等結婚するんだってな大人になったら」
1人の顔のごつい冒険者が言った。
その冒険者はいつもこちらの事を伺って様子を見ていた気がする。
彼には特殊な才能があるようで【鑑定】と呼ばれる力のようだ。
それがどこまで相手の力を見破る事が出来るのかは分からないが。
ぼくを見て発狂しないという事は魔王である事は隠せているはずだった。
「なぁ、お前、いいや」
その男は笑う。
名前をグリングシャという。
グリングシャはいつもこちらを見て笑っている。
その不気味な顔はいつも歪んでいた。
そのまなざしはラクシャミーに注がれていたのだから。
雨の日だった。
ラクシャミーが帰ってくるのが遅いから迎えに行った。
扉をゆっくりと開けた。
鉄臭い匂いがした。
1歩1歩と歩いていくと。
大きな塊が血だまりの中で転がっていた。
すぐにラクシャミーの父親である事が分かった。
脳裏に嫌な予感が走った。
2階に上がるべく階段を登ろうとした。
階段の上から赤い液体が流れていた。
ドアの隙間から手が出ていた。
それがラクシャミーの母親の手だと分かった。
ラクシャミーのいる部屋に入ると。
ヌイグルミが沢山飾られていた。
そこにラクシャミーは血だまりの中のベッドで眠っていた。
「ラクシャミー」
そう叫ぶと、ラクシャミーはただただ眠り続けていた。
「起きろよ」
生きてはいなかった。
氷のように冷たく、この血は母親の物であるらしい。
傷がないのになぜラクシャミーは死んでいるのだろうか。
その時だ。
窓が何かで割られる音が響いた。
1人また1人と叫ぶ声がする。
「魔王の許嫁が、その家族もミナゴロシダ」
「人間を売った家族等ミナゴロシダ」
「さぁ、皆死んでしまえ」
ぼくは心の中に暖かい血のような物が駆け巡る感覚を感じていた。
ふつふつと沸き上がる感触。
その時ぼくの脳みそをは怒りに包まれて爆発していた。
一瞬でこの村は焦土と化した。
そうして勇者がやってきて、ぼくは勇者をこの手で殺害したという訳だ。
「とまぁ、こんな感じで」
「辛かったな」
「それは君もだろう? 君は力を使えば思い出を失うのだから」
「デナントス、君が許嫁を思う気持ちは分かる。だけどなぜ魔王だとばれたんだろうか」
「それは恐らくあの鑑定もちだろう」
「そうかもしれないが」
「あの鑑定もちを見つけて殺す、それが冒険者としての役目さ、もう勇者も殺しちまったからなぁ」
「そうだな、デナントス、俺と君は友達になれる気がするんだ。話をきいてくれないか」
「もちろんだとも友よ」
★
俺は深呼吸を繰り返して説明しようと思った。
なぜこうなってしまったのか、なぜ異世界になんて渡る事になってしまったのか。
中学生の夏の頃、サッカー部でなぜか、俺にだけボールがパスされなかった。
その日から俺は周りから疎外されていき、虐めの対象になっていった。
虐めってのは仲間外れって意味だけど、色々な虐めがあるんだ。
それはエスカレートしていった訳だ。
何度も抗ったさ。
何度も立ち向かったさ。
でも相手は10人以上だし。
監督もぐるになってた。
俺の父親はサッカー選手だった。
いつも色々な事を教えてくれていた。
それが妬ましいと虐めて来ている人に言われた。
俺はどうしようもなかったわけだが。
俺にも責任があったのかもしれない。
それでもそれが1年くらい続いた。
もうどうにでもなれって思って、車っていう乗り物が沢山走っている所に突っ込んだんだ。
そうしたらここに来てたって訳さ。
「そうか、サッカーとやらが何かは分からないが、異世界のスポーツなのだろう。この世界では闘技場があるからそう言ったものだと思うが、虐めか、それはひどい話だな」
「でもそれに立ち向かえなかった俺は、相当恥ずかしいかもしれない」
「それは違うぞ、ぼくは魔王の中でも際立って最弱とされていて、魔王候補から仲間外れにされたり嫌がらせを受けた。ぼくは逃げたんだ。逃げる事で勝つという事を覚えたんだよ」
「俺がいけなかったのは立ち向かったからなのかな」
「いけなかったとか悪かったとかではないさ、まぁそういう時もあるという事だ」
「そうだな」
「これからどうすれば良いかという事だよヴェイク」
「ああ、さっき言っていた大陸に行こうと思う、デナントスも来るだろ? 君が言う魔王の王国は潰れたんだろ?」
「ああ、なぜわかる?」
「ゴブリンの死体さ、あれだけの量が死んでいたんだ。君がラクシャミーの所に行ったときには奇襲を受けたんだろう」
「まぁな、そう言う所だ。ぼくには今何も残されていないのさ」
「なら俺もだ。一緒に旅をしよう、思い出を作ろうデナントス」
「ああ、ヴェイク、これからも冒険者としてよろしくな」
「もちろんだとも」
俺とデナントスは海に向かって、歩き出した。
その背中からは仄かな赤い塊の光が差していた。
光は暖かくて体を透き通るように通っていき。
その光は海面を照らし。
俺達は海に辿り着いた。
1隻の船がそこには漂着していたのだが。
髑髏のマークの帆があり。
どうやら海賊船のようだった。
海賊船のマストの上には1人の少女がこちらをじっと見ていた。
俺とデナントスは頷いて近づいていった。
だけどそこには1人の少女しかいなかった。
どうやら海賊船は1人の少女だけで動いていたのだから。
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