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あとがき
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こちらは後書になります。
ここでは登場人物について少し語りたいと思います。
まずは主役である鬼から。
鬼は作品にありました通り、孤独な存在です。当初は生き物のように描こうと思っていたのですが、「鬼を祓う」描写のところでキャラ設定を変更することを決めました。祓われるということは人間のようにこの世に存在してはいけないモノであり、実態が不確かです。そのため生き物とは一線を画す存在になりました。鬼に性別はありませんが、人間で言うところの男のように振舞っています。その理由は、最初に喰らった人間が男の子どもだったからという裏設定が存在していました。
そんな鬼はヒノキに対して好感を覚えます。これが恋情に発展したのは、裏設定の喰らった男の子の感情が少し滲んでいたからという風に作者は捉えています。しかし、それは恋情だと気づくきっかけに過ぎません。結局鬼の本体は鬼なのであり、その喰らった男の子ではないので……。
伝わりずらかったであろう点について少し詳しく語りたいと思います。
まず、鬼は人を喰らうことを簡単に止めました。これは鬼にとって「食う」という行為が必要不可欠なものではなかったためです。鬼は生まれながらに孤独な生き物です。そのため誰も、鬼に対し生きるすべを教えることがありませんでした。そのため鬼は動物や人間を真似て「食う」行為をするようになりました。
鬼に関してはこの辺にしておいて、ヒノキへ移りたいと思います。
ヒノキは作品にあった通りの、いわば「不幸な立場の子」です。そんな立場だったら、普通はもっとひねくれているはずだと思います。ヒノキがひねくれていないのは、両親からの愛情をたくさん受けて育ったからです。ヒノキは両親と祖母、弟二人、妹三人の九人家族です。祖母は病気であまり動けず、両親は身を粉にして働いても収入はわずか。ですが、貧しいながらもヒノキの両親は子どもたちを愛し、大事に大事に育てました。ですがそこへ、例の男の登場です。大金持ちのその男は、ヒノキに一目ぼれしたのでした。というのも、彼女が家族のために一生懸命働く姿、家族を想う笑顔に惹かれたのです。その男もまた、両親に愛された存在でした。
金持ちだったために、欲しいものはなんでも買い与えられました。そのため、男はヒノキを高額な金と引き換えにもらい受けたのです。その方法しか、彼は愛情表現の仕方が分からなかったのです。このとき当然ヒノキの家族は首を縦には振らなかったのですが、ヒノキは年中腹を空かせている家族に胸を痛め、「家族に支援をしてくださるなら」と結婚を承諾したのでした。
さて、そんな契約結婚のようなものだったため、ヒノキは男を好きになることはありませんでした。もともと価値観が合わない上、彼は思い通りにならないヒノキを暴力で支配しようとしたものですから、二人の気持ちが重なることはなく平行線のまま……。
ヒノキと男の出会いを語るのはここまでにして、伊都に話を移します。
伊都はヒノキと男との間にできた子です。この伊都という存在が二人を繫いだ存在であるため、この作品の一番の重要人物かもしれません。
伊都はヒノキの独断により山に捨てられかけました。というのも、もちろん伊都の命が脅かされるというのもあったのですが、人間のどろどろとした欲望の巻き込まれてほしくない、肩身の狭い思いをさせたくないという思いもありました。
ただ、寺に預ければ良かったのではと思われた方もいらっしゃると思います。
この点におきましては、ヒノキの住んでいた村での寺勢力が強く、布施を自身らの身だしなみなどに使い、裏で子を人身売買しているという最悪な寺だったからです。その事実を知っている者も大勢いましたが、御仏の遣いとされる寺勢力には口出しできませんでした。
ただ、当然赤子が一人で生きていけるほど世の中甘くはないので、待ち受けるのは「死」であったことはヒノキも承知していたと思います。
それでも涙ながらに手放したのは、「生まれ変わり」を信じていたからです。次に生まれた時、もっと幸せな人生を歩めるように。生まれて間もない赤子の場合は、意思はあっても「死ぬ」ということは知りません。そのため、「死ぬことを怖がらずに逝くことができる」とも考えていました。また、「もしかしたらこの子が死ぬ前に、別の誰かが拾ってくれるかもしれない」という、甘い期待を少ししていたからというのも理由の一つでした。
さて、いきなり成長させていったという面においては、鬼目線で話を進めているのでその辺の時間の食い違いをお楽しみいただけたらと思います。
伊都の縁談をきっかけとして鬼が祓われてしまった場面ですが、当然伊都は心に傷を負ってしまいます。そのため実は、結婚を予定より遅らせているのです。そして鬼を祓った義父義母に、伊都は自分の生い立ちを話します。義父義母からすれば鬼は祓うべき存在で、人間の害という認識でした。しかし鬼と人間の両方に育てられたという伊都の話を、否定することなく聞き入れてくれました。これは、伊都の日ごろの行いが功を成したというべきですね。
青年と伊都は、伊都が養子になってからの付き合いになります。両親共々仲が良く、伊都は礼儀を実の母親から教えられていたこともあり、青年の両親からも大変可愛がられました。つまりは、伊都の周りには温かい人で溢れていたのです。鬼を失った悲しみも、こういった周りの人がいるのなら徐々に立ち直ることができると思っております。
最後までご覧いただき、ありがとうございます!
ここでは登場人物について少し語りたいと思います。
まずは主役である鬼から。
鬼は作品にありました通り、孤独な存在です。当初は生き物のように描こうと思っていたのですが、「鬼を祓う」描写のところでキャラ設定を変更することを決めました。祓われるということは人間のようにこの世に存在してはいけないモノであり、実態が不確かです。そのため生き物とは一線を画す存在になりました。鬼に性別はありませんが、人間で言うところの男のように振舞っています。その理由は、最初に喰らった人間が男の子どもだったからという裏設定が存在していました。
そんな鬼はヒノキに対して好感を覚えます。これが恋情に発展したのは、裏設定の喰らった男の子の感情が少し滲んでいたからという風に作者は捉えています。しかし、それは恋情だと気づくきっかけに過ぎません。結局鬼の本体は鬼なのであり、その喰らった男の子ではないので……。
伝わりずらかったであろう点について少し詳しく語りたいと思います。
まず、鬼は人を喰らうことを簡単に止めました。これは鬼にとって「食う」という行為が必要不可欠なものではなかったためです。鬼は生まれながらに孤独な生き物です。そのため誰も、鬼に対し生きるすべを教えることがありませんでした。そのため鬼は動物や人間を真似て「食う」行為をするようになりました。
鬼に関してはこの辺にしておいて、ヒノキへ移りたいと思います。
ヒノキは作品にあった通りの、いわば「不幸な立場の子」です。そんな立場だったら、普通はもっとひねくれているはずだと思います。ヒノキがひねくれていないのは、両親からの愛情をたくさん受けて育ったからです。ヒノキは両親と祖母、弟二人、妹三人の九人家族です。祖母は病気であまり動けず、両親は身を粉にして働いても収入はわずか。ですが、貧しいながらもヒノキの両親は子どもたちを愛し、大事に大事に育てました。ですがそこへ、例の男の登場です。大金持ちのその男は、ヒノキに一目ぼれしたのでした。というのも、彼女が家族のために一生懸命働く姿、家族を想う笑顔に惹かれたのです。その男もまた、両親に愛された存在でした。
金持ちだったために、欲しいものはなんでも買い与えられました。そのため、男はヒノキを高額な金と引き換えにもらい受けたのです。その方法しか、彼は愛情表現の仕方が分からなかったのです。このとき当然ヒノキの家族は首を縦には振らなかったのですが、ヒノキは年中腹を空かせている家族に胸を痛め、「家族に支援をしてくださるなら」と結婚を承諾したのでした。
さて、そんな契約結婚のようなものだったため、ヒノキは男を好きになることはありませんでした。もともと価値観が合わない上、彼は思い通りにならないヒノキを暴力で支配しようとしたものですから、二人の気持ちが重なることはなく平行線のまま……。
ヒノキと男の出会いを語るのはここまでにして、伊都に話を移します。
伊都はヒノキと男との間にできた子です。この伊都という存在が二人を繫いだ存在であるため、この作品の一番の重要人物かもしれません。
伊都はヒノキの独断により山に捨てられかけました。というのも、もちろん伊都の命が脅かされるというのもあったのですが、人間のどろどろとした欲望の巻き込まれてほしくない、肩身の狭い思いをさせたくないという思いもありました。
ただ、寺に預ければ良かったのではと思われた方もいらっしゃると思います。
この点におきましては、ヒノキの住んでいた村での寺勢力が強く、布施を自身らの身だしなみなどに使い、裏で子を人身売買しているという最悪な寺だったからです。その事実を知っている者も大勢いましたが、御仏の遣いとされる寺勢力には口出しできませんでした。
ただ、当然赤子が一人で生きていけるほど世の中甘くはないので、待ち受けるのは「死」であったことはヒノキも承知していたと思います。
それでも涙ながらに手放したのは、「生まれ変わり」を信じていたからです。次に生まれた時、もっと幸せな人生を歩めるように。生まれて間もない赤子の場合は、意思はあっても「死ぬ」ということは知りません。そのため、「死ぬことを怖がらずに逝くことができる」とも考えていました。また、「もしかしたらこの子が死ぬ前に、別の誰かが拾ってくれるかもしれない」という、甘い期待を少ししていたからというのも理由の一つでした。
さて、いきなり成長させていったという面においては、鬼目線で話を進めているのでその辺の時間の食い違いをお楽しみいただけたらと思います。
伊都の縁談をきっかけとして鬼が祓われてしまった場面ですが、当然伊都は心に傷を負ってしまいます。そのため実は、結婚を予定より遅らせているのです。そして鬼を祓った義父義母に、伊都は自分の生い立ちを話します。義父義母からすれば鬼は祓うべき存在で、人間の害という認識でした。しかし鬼と人間の両方に育てられたという伊都の話を、否定することなく聞き入れてくれました。これは、伊都の日ごろの行いが功を成したというべきですね。
青年と伊都は、伊都が養子になってからの付き合いになります。両親共々仲が良く、伊都は礼儀を実の母親から教えられていたこともあり、青年の両親からも大変可愛がられました。つまりは、伊都の周りには温かい人で溢れていたのです。鬼を失った悲しみも、こういった周りの人がいるのなら徐々に立ち直ることができると思っております。
最後までご覧いただき、ありがとうございます!
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