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【2・made in 高天原―天津人たちがいる日常―】
2・「虫も殺せぬ」獣撃隊(4)
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昨年にはこんな事もあった。
加瀬と真斗がヨモツの目撃が多くあった地域を巡回していた時に、近所に住む農家の七十代くらいの男性に呼び止められた。
自分たちでは手に負えない「大きいもの」が自宅の敷地に居着いて困っている。
男性の話を聞いて、加瀬と真斗は顔を見合わせた。
「さて、どっちだ」と。
彼に案内され農機具などが収納されている納屋の裏へ行くと、離れた軒天に約六十センチ程ある大きな「蜂の巣」があった。
形状からスズメバチのものと思われる。
「あら、ご立派」
それを見た加瀬は苦笑いをする。
真斗は「またか」とため息を吐いた。
「市の指定の駆除業者です。蜂の巣はこちらに連絡して駆除してもらって下さい」
真斗はポケットから名刺入れを取り出し身を屈め、業者の連絡先が書いてあるカードを男性に手渡した。
このような事はしょっちゅうあるので事前に対応業者の連絡先が記載してあるカードを用意している。スズメバチの巣、コウモリ、その他色々。
「……「お巡りさん」たちから呼んでけねぇのすか?」
受け取ったカードを一瞥してから少し不満そうにこちらを見る男性に、真斗は身を屈めた体勢からさらに頭を下げてこう言った。
「すみません。ご自宅の方で手配していただくようになっているので……」
このように彼らは出先での「害虫駆除の仲介業者」的な役割まで担っている。
警察と市への引き継ぎを終えた真斗と加瀬は、現場の青葉区西部から東側の宮城野区にある県獣撃隊本部へ向かっていた。
明石と福室、黒川の三人も別の車両で別のルートを経由し、同じく本部へ向かっている。
真斗が運転をする獣撃隊の車両は、前方に濃緑の夏木立に覆われた青葉山を望みながら走行している。
東北自動車道のインターチェンジを過ぎてから、その青葉山を抜ける長いトンネルに入った。
「真斗んとこ山だろ、泉区の山」
加瀬が車窓に肘を乗せ、頬杖をつきながら真斗に言った。
「いや、山って程では……裏山って言うか……」
「気を付けろよー。お前んちの近くにもクマ、出っかもしんねぇから」
「はあ……」
真斗は右車線から追い越して行く高速バスを見送りながら溜め息混じりに返事をした。
トンネルを抜けると景色は一変し、ビルが立ち並ぶ市街地に入る。
現在停車しているトンネル出口の信号の先――広瀬通りを直進すると東北一の歓楽街の国分町や、老舗のデパートも並ぶ長いアーケード街を有する一番町がある。
この辺りは市の中心部、ちょうど帰宅ラッシュが始まったようで往来する車の流れが鈍くなっている。
フロントガラスに雨粒が数滴あたり、真斗は少し視線を上げて空を見る。
――予報通り降ってきた。
先程よりも低くなった雲から落ちて来る雨粒はあっという間にフロントガラスを覆い、前方の車両のブレーキランプが滲んで見える。
確かに自宅周辺にいつクマが出てもおかしくはないなと真斗は思った。
夏休み中で昼間に一人で家にいる事が多い下の妹に念のため一言伝えておいた方がいい。
クマが出たら刺激をせず、屋内に退避し身の安全を確保。通報は警察へ、と。
加瀬と真斗がヨモツの目撃が多くあった地域を巡回していた時に、近所に住む農家の七十代くらいの男性に呼び止められた。
自分たちでは手に負えない「大きいもの」が自宅の敷地に居着いて困っている。
男性の話を聞いて、加瀬と真斗は顔を見合わせた。
「さて、どっちだ」と。
彼に案内され農機具などが収納されている納屋の裏へ行くと、離れた軒天に約六十センチ程ある大きな「蜂の巣」があった。
形状からスズメバチのものと思われる。
「あら、ご立派」
それを見た加瀬は苦笑いをする。
真斗は「またか」とため息を吐いた。
「市の指定の駆除業者です。蜂の巣はこちらに連絡して駆除してもらって下さい」
真斗はポケットから名刺入れを取り出し身を屈め、業者の連絡先が書いてあるカードを男性に手渡した。
このような事はしょっちゅうあるので事前に対応業者の連絡先が記載してあるカードを用意している。スズメバチの巣、コウモリ、その他色々。
「……「お巡りさん」たちから呼んでけねぇのすか?」
受け取ったカードを一瞥してから少し不満そうにこちらを見る男性に、真斗は身を屈めた体勢からさらに頭を下げてこう言った。
「すみません。ご自宅の方で手配していただくようになっているので……」
このように彼らは出先での「害虫駆除の仲介業者」的な役割まで担っている。
警察と市への引き継ぎを終えた真斗と加瀬は、現場の青葉区西部から東側の宮城野区にある県獣撃隊本部へ向かっていた。
明石と福室、黒川の三人も別の車両で別のルートを経由し、同じく本部へ向かっている。
真斗が運転をする獣撃隊の車両は、前方に濃緑の夏木立に覆われた青葉山を望みながら走行している。
東北自動車道のインターチェンジを過ぎてから、その青葉山を抜ける長いトンネルに入った。
「真斗んとこ山だろ、泉区の山」
加瀬が車窓に肘を乗せ、頬杖をつきながら真斗に言った。
「いや、山って程では……裏山って言うか……」
「気を付けろよー。お前んちの近くにもクマ、出っかもしんねぇから」
「はあ……」
真斗は右車線から追い越して行く高速バスを見送りながら溜め息混じりに返事をした。
トンネルを抜けると景色は一変し、ビルが立ち並ぶ市街地に入る。
現在停車しているトンネル出口の信号の先――広瀬通りを直進すると東北一の歓楽街の国分町や、老舗のデパートも並ぶ長いアーケード街を有する一番町がある。
この辺りは市の中心部、ちょうど帰宅ラッシュが始まったようで往来する車の流れが鈍くなっている。
フロントガラスに雨粒が数滴あたり、真斗は少し視線を上げて空を見る。
――予報通り降ってきた。
先程よりも低くなった雲から落ちて来る雨粒はあっという間にフロントガラスを覆い、前方の車両のブレーキランプが滲んで見える。
確かに自宅周辺にいつクマが出てもおかしくはないなと真斗は思った。
夏休み中で昼間に一人で家にいる事が多い下の妹に念のため一言伝えておいた方がいい。
クマが出たら刺激をせず、屋内に退避し身の安全を確保。通報は警察へ、と。
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