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【第八話】
Make me up
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「さ、時間もあるし、着替えが終わったら剛もメイクしてみる?」
そう言って咲は一度ジャケットを脱ぎ、ハンガーラックにそれを掛けた。
だから俺もその場から離れ、着替えを済ます。
今日は俺も咲が選んでくれたイエローのショートブルゾンに赤のシャツ。それに黒のワイドパンツにブラウンのショートブーツというコーデだ。
「ほら、俺も咲が選んでくれた服にしたんだ。どう? 似合うだろ?」
「うん。とてもよく似合ってるよ。剛はビビッドな色が本当に似合うね」
「だろ!? さっすが咲。俺の事をよく分かってくれてるな」
「うん。君の事はよく見ているつもりだからね」
「あー……。そういうトコ、マジずるい。ってことで、俺も着替え完了! メイク、教えてくれないか?」
「良いよ。ブラシとかは僕のを使ってもらって良い? じゃあ、テーブル前に座って? まずはベースメイクからやっていこうか」
咲はソファ前のローテーブルに化粧品を広げて、俺に色々な化粧道具の使い方を教えてくれる。
まずは化粧水と乳液で肌を整えてから、下地を塗った後、ファンデーションを重ねていく。
「あー。やっぱりファンデーション、色味が合わないか。今度一緒にメイク道具も見に行こうね」
「おう! 行きたい!」
「それに、アイシャドウとかも自分の分あったら良いよね。他にはパウダーとかもあったら良いかも」
そう言いながら、咲はブラシにパウダーを乗せ、顔全体に薄く乗せていく。
最初から咲は陶器のようにきれいな肌だけど、それがより一層際立っている。
俺もそれに倣って、咲に言われるがまま化粧を進めていく。
眉毛を整えるにはペンシルタイプのアイブロウが良いだとか、アイシャドウは薄いブラウンを指に取り、瞼全体に広げていくのが良いだとか。
後は陰影が大事らしく、小鼻の横や唇の下、そしてフェイスラインにシェーディングなるものを入れていった。
こういう事を毎日やってる女子って、マジですげー。もはや偉大過ぎる。
一通り顔に粉を乗せていったら、最後にリップを塗って完成らしい。
「ね、剛。仕上げは僕にやらせてもらってもいい?」
「おう。任せた」
そういうと咲は俺が買ってきたリップを唇の内側に乗せ、それを外側に向けて指で馴染ませていった。
「うん。いい感じ。鏡を見てみて?」
咲は俺に鏡を差し出したから、俺は言われるがままにそれを覗き込む。
するとそこには、化粧前とは段違いに垢抜けた俺がいた。
「うっわー。スゲー。化粧ってこんなに変わるんだ。これ、クセになりそうだな」
「でしょう? 剛は元の顔も格好良いけれど、こういう事もたまにしてみても楽しいんじゃないかなって思って」
「めっちゃアリ。つーか、俺もちゃんと勉強しよ。咲とのデートの時、カッコよくいたいもんな」
「流石。剛はどんな時でも勉強熱心だね」
「そりゃそーだろ。好きな人には良く思われてーし」
そんな軽口を叩いていると、咲の化粧も完成したようだ。
咲は何もしなくても顔が完成しているのに、化粧をするとさらに芸術品みたいにくっきりと綺麗な顔が強調される。
「よし。僕もメイク終わり。時間もちょうど良いくらいだね。あとは香水だね」
「あ、俺も。ちゃんと持って来たんだ。ここで掛けても良いか?」
「勿論。確かベーベリーのものを使ってるって言ってたっけ」
「そ。よく覚えてたな? でももう少しで無くなるから、また買いに行かないとな」
「次は僕とお揃いにしてみる?」
「いいのか? じゃあそうしよっかなー。俺、咲の香水メッチャ好きなんだよな」
「いい匂いだよね」
そう言って香水を掛けたら、俺たちの準備は万全だ。
時間もちょうど良く、今からズズニーに向かえば開演前の行列にも前の方で並べるだろう。
「荷物は出来るだけ少ない方が良いんだよね? デイパックとかうちに置いて行っていいよ」
「良いのか? じゃあお言葉に甘えて。ちゃんとボディバッグも持って来たんだ。咲も身軽な方が良いぜ」
「そうだね。ならミニショルダーで行こうかな」
「おう。完璧」
そうか。咲の家に荷物を置いていくってことは、帰りも一緒に帰れるのか。
ヤバ、朝一緒の家からズズニーに向かって、夜同じ家に帰っていくの。
これが恋人じゃなかったらなんて言うんだ? ってレベルじゃん。俺ら。
「大事なものはちゃんと持った?」
「おう。スマホも財布も、モババも完璧。咲も充電無くなったら俺に言ってくれよな」
「ありがとう。助かるよ。じゃあ、行こうか」
身の回り品を一通り確認した後、俺たちは家を後にした。
そう言って咲は一度ジャケットを脱ぎ、ハンガーラックにそれを掛けた。
だから俺もその場から離れ、着替えを済ます。
今日は俺も咲が選んでくれたイエローのショートブルゾンに赤のシャツ。それに黒のワイドパンツにブラウンのショートブーツというコーデだ。
「ほら、俺も咲が選んでくれた服にしたんだ。どう? 似合うだろ?」
「うん。とてもよく似合ってるよ。剛はビビッドな色が本当に似合うね」
「だろ!? さっすが咲。俺の事をよく分かってくれてるな」
「うん。君の事はよく見ているつもりだからね」
「あー……。そういうトコ、マジずるい。ってことで、俺も着替え完了! メイク、教えてくれないか?」
「良いよ。ブラシとかは僕のを使ってもらって良い? じゃあ、テーブル前に座って? まずはベースメイクからやっていこうか」
咲はソファ前のローテーブルに化粧品を広げて、俺に色々な化粧道具の使い方を教えてくれる。
まずは化粧水と乳液で肌を整えてから、下地を塗った後、ファンデーションを重ねていく。
「あー。やっぱりファンデーション、色味が合わないか。今度一緒にメイク道具も見に行こうね」
「おう! 行きたい!」
「それに、アイシャドウとかも自分の分あったら良いよね。他にはパウダーとかもあったら良いかも」
そう言いながら、咲はブラシにパウダーを乗せ、顔全体に薄く乗せていく。
最初から咲は陶器のようにきれいな肌だけど、それがより一層際立っている。
俺もそれに倣って、咲に言われるがまま化粧を進めていく。
眉毛を整えるにはペンシルタイプのアイブロウが良いだとか、アイシャドウは薄いブラウンを指に取り、瞼全体に広げていくのが良いだとか。
後は陰影が大事らしく、小鼻の横や唇の下、そしてフェイスラインにシェーディングなるものを入れていった。
こういう事を毎日やってる女子って、マジですげー。もはや偉大過ぎる。
一通り顔に粉を乗せていったら、最後にリップを塗って完成らしい。
「ね、剛。仕上げは僕にやらせてもらってもいい?」
「おう。任せた」
そういうと咲は俺が買ってきたリップを唇の内側に乗せ、それを外側に向けて指で馴染ませていった。
「うん。いい感じ。鏡を見てみて?」
咲は俺に鏡を差し出したから、俺は言われるがままにそれを覗き込む。
するとそこには、化粧前とは段違いに垢抜けた俺がいた。
「うっわー。スゲー。化粧ってこんなに変わるんだ。これ、クセになりそうだな」
「でしょう? 剛は元の顔も格好良いけれど、こういう事もたまにしてみても楽しいんじゃないかなって思って」
「めっちゃアリ。つーか、俺もちゃんと勉強しよ。咲とのデートの時、カッコよくいたいもんな」
「流石。剛はどんな時でも勉強熱心だね」
「そりゃそーだろ。好きな人には良く思われてーし」
そんな軽口を叩いていると、咲の化粧も完成したようだ。
咲は何もしなくても顔が完成しているのに、化粧をするとさらに芸術品みたいにくっきりと綺麗な顔が強調される。
「よし。僕もメイク終わり。時間もちょうど良いくらいだね。あとは香水だね」
「あ、俺も。ちゃんと持って来たんだ。ここで掛けても良いか?」
「勿論。確かベーベリーのものを使ってるって言ってたっけ」
「そ。よく覚えてたな? でももう少しで無くなるから、また買いに行かないとな」
「次は僕とお揃いにしてみる?」
「いいのか? じゃあそうしよっかなー。俺、咲の香水メッチャ好きなんだよな」
「いい匂いだよね」
そう言って香水を掛けたら、俺たちの準備は万全だ。
時間もちょうど良く、今からズズニーに向かえば開演前の行列にも前の方で並べるだろう。
「荷物は出来るだけ少ない方が良いんだよね? デイパックとかうちに置いて行っていいよ」
「良いのか? じゃあお言葉に甘えて。ちゃんとボディバッグも持って来たんだ。咲も身軽な方が良いぜ」
「そうだね。ならミニショルダーで行こうかな」
「おう。完璧」
そうか。咲の家に荷物を置いていくってことは、帰りも一緒に帰れるのか。
ヤバ、朝一緒の家からズズニーに向かって、夜同じ家に帰っていくの。
これが恋人じゃなかったらなんて言うんだ? ってレベルじゃん。俺ら。
「大事なものはちゃんと持った?」
「おう。スマホも財布も、モババも完璧。咲も充電無くなったら俺に言ってくれよな」
「ありがとう。助かるよ。じゃあ、行こうか」
身の回り品を一通り確認した後、俺たちは家を後にした。
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