春を売るなら、俺だけに

みやした鈴

文字の大きさ
57 / 61
【第九話】

★Lovely darling.III

しおりを挟む
「ッ! あぁ! もちろんだ!」

 そう聞いて俺は嬉しくなり、咲に腰を上げさせてすぐさまボトムと下着を脱がせる。
 すると可哀想なほどに張り詰め、先走りを垂らした咲の性器が現れた。
 その反応っぷりに、俺は嬉しくなってしまう。

「……何、その顔は」
「胸でここまで感じてくれるの、マジで嬉しくてさ。ここ、触ってほしいよな?」
「そりゃあね。胸だけでイかされるなんて、恥ずかしすぎるから」
「でもここまで来たらあとちょっとだろ? 一緒に頑張ろうな」

 こうなると俄然やる気が出てきた。俺もちゃんと咲の事を気持ちよく出来てるんだ。
 だから俺は最後の追い込みをかけていく。
 こうなってはなりふり構っていられない。
 的確に、だけど絶対に傷つけたり痛みを与えないように。

「やッ! ご、剛。それ、以上、はっ……あぁッ!」
「んんッ、はぁッ、咲、さく……ッ」

 かなり腰の揺らぎが激しくなってきた。
 きっともうあとちょっとだ。でもここで焦ってはいけない。
 時間はあるのだから、丁寧に触れていきたい。

「剛、お願いッ……! も、離してッ……!」
「だーめ。な、俺の事、ぎゅっとして。そしたらきっともっと、気持ち良くなるから」
「ンンッ! ……ん」

 咲はおずおずと俺に手を伸ばして、そのまま背中に腕を回してくれる。
 触れ合ったところが熱い。それに、快楽のせいか手に力が入っている様子がない。

「可愛い、咲。そのまま、な?」
「ッ、もう、僕、限界ッ……!」
「うん。このままイって? 咲、大好き」

 そして最後の一押し。カリッと歯でてっぺんを向いている胸先を嚙み潰して、爪先でぎゅっと先端をつねる。
 それが最後、咲の身体はびくびくと震え、腰が宙に浮く。
 ぱぁっと吐き出される白濁の液体を眺めながら、俺は達成感で満たされていた。

「――――ッ!」
「ありがと。ちゃんと胸だけでイってくれたな。嬉しい」
「はぁ……はぁ……剛、君は、本当に……」

 そう言って咲は俺をキッと睨みつけた。でもこんなにゼエゼエ息を整えながら、真っ赤な顔で上目遣いされても全く怖くない。それどころかむしろ興奮する。

「まさか君に胸だけでイかされるなんて思ってなかったな」
「そりゃー、先生の教え方が良かったからですよ」
「あはは。まだその設定続いてたんだ?」

 一通り息を整えると、咲はサイドテーブルに乗っていたローションを手に取り、俺に渡してきた。

「どこかの誰かさんが焦らしに焦らしたせいで、僕、もう限界なんだよね。だから早く、慣らしてくれる?」
「でも……」
「ちゃんと言わなきゃ分からない? 早く君とひとつになりたくてたまらないって」
「ッ――! 分かった。痛かったらすぐに言うんだぞ?」
「勿論。一応お風呂で解しはしてきたけど、久しぶりだからナカ、キツくなってるかも」
「大丈夫だ。俺がちゃんとじっくり拡げるから」
「心強いお言葉で。でもさっきみたいに焦らすのは無しね?」
「りょーかい。……じゃあ、指、挿れていくな?」

 爪は、大丈夫。ちゃんと切りそろえられている。
 咲と関係を持つようになってから、自然と爪の手入れも怠らないようになっていった。
 それは肉体関係を持たなかった期間も同じ。
 一度習慣化してしまえば、やらない方が気持ち悪くなってしまうというものだ。
 結果的にそれが功を成して、今日もすぐに行為に取り掛かれたわけだけど。

 咲から受け取ったボトルをぎゅっと握り、左手にローションを広げていく。
 ちゃんとその時に温めることを忘れない。これも全部咲が教えてくれたことだ。
 人肌くらいに温まったら、右手の人差し指でそれを掬って、じんわり、皺をひとつひとつ解くようになぞっていく。
 爪は立てず、指の腹でくにくにと穴を軽く押し込んでいると、咲のそこは誘う様にひくひくと震えた。

「咲、気付いてる? ここ、もう俺を欲しがってる」
「……分かっているから、言わないでくれると助かるんだけど」
「そうか? でもまだダメな。ゆっくりやっていくから」
「君がこんなに人の事を待たせるのが好きだなんて、知らなかったよ」
「待たせるのが好きなわけじゃない。咲により気持ち良くなってもらいたいだけだ」
「本当に、君は真面目だね」

 そう呆れを孕んだ声が上から降りてくる。
 仕方ないだろ、ちゃんとやりたいんだから。なんて思うけど、その思考もきっと咲には見透かされているんだろう。

 まずは爪先から。ローションを十分に纏わせ、指の腹を上側にして、第一関節まで半分程度のところを咲のナカに侵入させた。
 最初は押し返される感覚が強いから、害は与えないと教え込むように、ゆっくり、ゆっくり抜き差しを繰り返していく。
 そして、そのままくるりと手首を回転させる。固く閉ざされたそこに、これからより太くて長いものが入ると教え込ませるように。

「ンンッ」
「大丈夫か? キツくない?」
「大丈夫、だけど……んッ、もっとハイペースでも、良いんだよ?」
「いーや。久しぶりにするんだから、ちゃんとしないとな。指、もっと奥まで挿れて良いか?」
「勿論。ふっ……ン、おいで?」
「分かった。じゃあ、一本目、奥まで行くからな」

 許可を得たことを確認して、まずは第一関節までを彼へ埋めていく。そのまま、くるくると円を描くようにして、第二関節まで入った。まだ前立腺には届かないけど、それでも手前側を押し上げるときちんと反応してくれる。

「ンンッ、はっ……」
「まだ全部入ってないけど、かなり締め付けてきてる」
「やぁっ……も、っと、早、く……ッ」
「うん。まずは第一段階、大丈夫そうだな」

 ぐるりと腸内をかき回して、きちんと受け入れる準備ができたことを確認し、一本目の根元までゆっくりゆっくりと進めていけば、それに呼応して咲は反応してくれる。

「ンンゥっ! 剛、指、挿入った……?」
「あぁ。一本目、全部入ったぞ。久しぶりだからか、かなり締め付けてくる」

 ぎゅうぎゅう締まる内壁は、キツすぎて俺の指を吸い上げていくようだった。
 これ、俺のを挿れたらどうなるんだろう。
 こうして奥まで突いて、手前を擦り上げて。
 咲も、気持ち良くなってくれるかな。

 一度奥まで入ったことを確認すれば、指を抜いて再びローションを纏わせ、二度目の挿入をする。
 優しく、けれど確かに拡げるように。浅いところからやんわりと進んで、奥に先端が届くよう、根元までぎゅうっと押し込んで。

「ンぁッ! やっ、さきっぽ、来てッ、るっ……!」
「あぁ。ちゃんと届いたな。確かに、前にエッチした時より締め付けてきてるかも」
「ンンッ、あ、や、だッ……!」
「悪い、痛かったか?」
「そう、じゃ、あぁッ、なく、てッ……!」
「ん?」
「君、に……ッ、直接、きてほしッ、い……ッンぁッ!」
「ッ。じゃあ、もういっかいぐるってしたら、もう一本、挿れるな?」
「ひゥッ! ァっ、ンンゥっ、ご、剛……」

 涙ながらに咲に手を掴まれたかと思うと、そのままぐっと尻から手を引き抜かる。その後ピースの形を取らされ、再度臀部へと手を運ばれた。

「僕が君の手を使ってオナニーしてるのを見たくなければ、次に進んで」

 そこで俺はごくりと息を呑む。

「それは逆に見たい、です」
「……言葉選びを間違えた僕が悪かったね。本当はこのまま君に馬乗りになっても良いんだけど、剛はそれを嫌がるでしょ? だから、ね。お願い」
「そうだよな。……よっし、もう一本、行くぞ」

 いつか咲が俺の手で自慰してるの、見てみたいな。今度頼めばやってくれるか?
 でも確かに、それは今回じゃないよな。大切にしようとしすぎて、逆にじれったく感じさせてしまっているのかもしれない。

 続く二本目は、一本目よりかはスムーズに挿入できた。
 そもそも一回射精しているから、いつもより身体も弛緩しているんだろう。

 だからまずはゆっくりと、二本の指で入り口を広げながら、じゅくじゅくと奥へ指を進める。
 まずは第二関節まで。縦に指を伸ばせば、次は横に。
 これからもっと大きなものを受け止めてもらうには、ここできちんと慣らさなければ傷をつけてしまうかもしれないからだ。

「ンぁッ! アッ、ぁっ、ア……ンンッ!」

 拡張行為に勤しんでいる間も、咲は愛らしい嬌声を上げ続ける。
 少しでも滑りが悪くなったと思えばローションを足し、中を潤滑させていく。
 縦、横、斜め、八方がきちんと柔らかくなったことを確認すれば、俺は根元まで人差し指と中指を進めていった。

「うん、ちゃんと二本目も奥まで挿入った。ちゃーんと、柔らかくしてるからな」
「ンぁッ! はぁッ、ンンッ、ァっ、はッ……うんッ……わか、って、るッ……!」
「ちゃんとここも、下準備しておかないとな?」

 そして擦り上げるのは、手前にあるしこり。
 前立腺なんて部位、前までは知らなかった。男がそこで気持ち良くなれるなんて、想像すらつかなかったのに、今はこうして咲を気持ちよくさせてやれてたらいいな、なんて思ってしまう。

「アぁっ! アッ、ッ、はっ、ンぁッ、ンンーッ!」
「可愛い、咲。奥も、手前も、両方気持ち良いもんな?」
「うんッ、アァっ! はっ……ンンゥ~ッ!」
「ナカでばらばらに指を動かされるのも好きだろ? ちゃーんと、分かってるから」
「あぁッ! そ、それッ、アッ、だ、めッ……! ッンぁッ!」
「大丈夫、気持ち良いな。怖くないから、手、繋ご」
「うんッ……アッ、んんぅッ~~ッ!」

 シーツを固く握る咲の手を取って、俺は彼と手のひらを重ねる。
 すると咲の方から指を絡めてくれて、ぎゅっと握りしめてくれた。
 俺の指の動きに呼応して、咲が俺に爪を立ててくる。
 きっとそれは無意識の行為なんだろうけど、その痛みすら俺は愛おしかった。

「もうここ、ぐちょぐちょになってる。ビクビクして、もっと先に進みたいって言ってるみたいだ」

 抜き差しを繰り返し、前立腺も忘れずに刺激する。
 しばらくするとローションが咲の穴から零れ、尻たぶをてらてらと濡らしていた。
 これで欲情しない男なんて絶対に居ない。正直に言うと、俺はもう限界が近かった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)

優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。 本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。

優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―

無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」 卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。 一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。 選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。 本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。 愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。 ※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。 ※本作は織理受けのハーレム形式です。 ※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

完結|好きから一番遠いはずだった

七角@書籍化進行中!
BL
大学生の石田陽は、石ころみたいな自分に自信がない。酒の力を借りて恋愛のきっかけをつかもうと意気込む。 しかしサークル歴代最高イケメン・星川叶斗が邪魔してくる。恋愛なんて簡単そうなこの後輩、ずるいし、好きじゃない。 なのにあれこれ世話を焼かれる。いや利用されてるだけだ。恋愛相手として最も遠い後輩に、勘違いしない。 …はずだった。

悪役令嬢の兄でしたが、追放後は参謀として騎士たちに囲まれています。- 第3巻 - 甘美な檻と蹂躙の獣

大の字だい
BL
失われかけた家名を再び背負い、王都に戻った参謀レイモンド。 軍務と政務に才知を振るう彼の傍らで、二人の騎士――冷徹な支配で従わせようとする副団長ヴィンセントと、嗜虐的な激情で乱そうとする隊長アルベリック――は、互いに牙を剥きながら彼を奪い合う。 支配か、激情か。安堵と愉悦の狭間で揺らぐ心と身体は、熱に縛られ、疼きに飲まれていく。 恋か、依存か、それとも破滅か――。 三者の欲望が交錯する先に、レイモンドが見出すものとは。 第3幕。 それぞれが、それぞれに。

【完結】君を上手に振る方法

社菘
BL
「んー、じゃあ俺と付き合う?」 「………はいっ?」 ひょんなことから、入学して早々距離感バグな見知らぬ先輩にそう言われた。 スクールカーストの上位というより、もはや王座にいるような学園のアイドルは『告白を断る理由が面倒だから、付き合っている人がほしい』のだそう。 お互いに利害が一致していたので、付き合ってみたのだが―― 「……だめだ。僕、先輩のことを本気で……」 偽物の恋人から始まった不思議な関係。 デートはしたことないのに、キスだけが上手くなる。 この関係って、一体なに? 「……宇佐美くん。俺のこと、上手に振ってね」 年下うさぎ顔純粋男子(高1)×精神的優位美人男子(高3)の甘酸っぱくじれったい、少しだけ切ない恋の話。 ✧毎日2回更新中!ボーナスタイムに更新予定✧ ✧お気に入り登録・各話♡・エール📣作者大歓喜します✧

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

処理中です...