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その扉は最初、きっと薄ピンク色にでも塗られていたのだろう。
すっかり赤茶に錆びてしまってはいるが、所どころに名残を残したままでいる。
「はっ、これ……絶対開くじゃん」
後付けされたような蝶番には、小さい南京錠が引掛けられていた。
それだけはまだ金色のまま錆びついてはいないのに、鍵を刺しこまれたまま放置されていて、鍵本来の『侵入を防ぐ』という役割を、一切果たしてはいないようだった。
誰が待ち構えているかもわからなかったけれど、その時の俺には一切の迷いなんてなく、その少し重そうなドアを押し開ける。
足元には芝生が植えられていたようで、それがすっかり枯れ果ててしまった今も、つま先が土の感触を捉えた。
頭上に広がる空に手を伸ばせば触れられるような気がする。たった五階分近付いただけなのに。
急に訪れた解放感に、思わず息を飲み込もうとしたその時、俺のすぐ後ろで先にソラが「ふわぁ」と声を漏らしていた。
それからというもの、何かにつけては忍び込むこの場所を、あの頃の俺たちだったら「秘密基地」と呼んだのだろう。でも少しだけ大人に近づいた俺たちには、その名称をつけることはできなかった。
たまたまなのか、それとも、この場所に足を踏み入れ続けているのが俺たちだけなのかはわからない。
でも、この場所で見る景色の中に、ソラ以外の誰かが居る事は、後にも先にも一度もなかった。
すっかり赤茶に錆びてしまってはいるが、所どころに名残を残したままでいる。
「はっ、これ……絶対開くじゃん」
後付けされたような蝶番には、小さい南京錠が引掛けられていた。
それだけはまだ金色のまま錆びついてはいないのに、鍵を刺しこまれたまま放置されていて、鍵本来の『侵入を防ぐ』という役割を、一切果たしてはいないようだった。
誰が待ち構えているかもわからなかったけれど、その時の俺には一切の迷いなんてなく、その少し重そうなドアを押し開ける。
足元には芝生が植えられていたようで、それがすっかり枯れ果ててしまった今も、つま先が土の感触を捉えた。
頭上に広がる空に手を伸ばせば触れられるような気がする。たった五階分近付いただけなのに。
急に訪れた解放感に、思わず息を飲み込もうとしたその時、俺のすぐ後ろで先にソラが「ふわぁ」と声を漏らしていた。
それからというもの、何かにつけては忍び込むこの場所を、あの頃の俺たちだったら「秘密基地」と呼んだのだろう。でも少しだけ大人に近づいた俺たちには、その名称をつけることはできなかった。
たまたまなのか、それとも、この場所に足を踏み入れ続けているのが俺たちだけなのかはわからない。
でも、この場所で見る景色の中に、ソラ以外の誰かが居る事は、後にも先にも一度もなかった。
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