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8【:discord】
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しおりを挟むどうしようもない後悔ばかりが頭の中を駆け巡っている。
ソラの頬には涙が伝う。それを反射してくれる光は一筋も無かった。
「シン……ごめん。僕がシンと一緒にいたくなったから。折角、僕ら離れ離れになって、そのまま僕を忘れてたら……こんな事にはならなかったかもしれない。そう、シンが僕のコト思い出さなければ良かったんだ。そのことにもっと早く僕が気付けば……」
「違う……」
そう呟くのが精一杯だった。俺を振り切るように走り出したソラの腕を、掴もうと思えば掴めたはずだ。それにこのまま追いかければ、ソラに追いつく事は容易い。
飾らずに笑い合ったあの記憶を全部自分達で踏み潰して、思い出の中の何もかもが間違いだった様な気分になる。
少しずつ遠ざかってゆくソラの背中を見つめながら、腕が、足が、思い通りに動かなかった。
俺らは今、何のためにこんな仲違いをしなきゃならないんだ?
巻き戻せない時間を恨んでいた。そして、この運命からも逃げ出したくなる。
ソラの言う通り、俺はあの時自分の持ちうる全ての希望を、見返りとしてあの魔法使いに渡し、代わりに人間になるための薬を貰った。今思えば、それで見返りとしては十分だったはずだ。でもあの魔法使いは更に要求を重ね、俺にもう一つの制約を課した。
それは、俺が一度手放した夢をもう一度思い出し、大人になるまでにそれを叶えるという事。
もし夢を叶えられないまま大人になれば、俺はその瞬間に空気の泡となり、悪夢ばかりを好んで食べるアイツのエサになる。
別に何かになりたかったわけじゃない。
今まで一度もこんな事、考えもしなかった。
小さい頃は、誰かを救う、そんな正義のヒーローを夢見た。
この身を賭してでも戦う。そんな……
でも、それが遥か昔に手放した夢だった。
俺があの時願ったこと。
それは、人間になってアイツを、厄災を引き連れてくるアイツを倒す事だった。
人魚として永遠に近い時を生きられる事を捨ててでも、あんな悪い奴は倒してしまいたい。あの時の俺は本気でそう思ったから、この身を、自分の持つ希望の全てを賭して人間になった。
そんな大層な夢が、俺の本当の夢だったと思い出したところで、今更そんなの叶えられるはずがない。
今まで、人間の当たり前を装いながら生きてきた。
叶いそうな夢を探しながら、ただ何となく周りに合わせて。
俺には何の力もない。あんなもの倒せるわけがない。
目に見えるものだけが世界の全てだったはずじゃないか。
そんな枠にはまってしまっていたのも全部、アイツらに仕組まれていた事なのかもしれなかった。
それでも──
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