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9【:promise】
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しおりを挟む「良かった……やっと見つけた」
荒い息遣いと共に懐かしい声がする。
項垂れたままだった視線を持ち上げてゆくと、さっき放り投げたカメラが目の前に差し出されていた。
「シン……」
「っは、ソラにしては足速いじゃん……もう、見つけられないかと思った」
肩で息をするシンが、あの笑顔で僕の事を覗き込む。
遥か遠くにあったような記憶がすぐ側まですり寄ってきて、あっという間に懐かしさと安心感に包まれた。凍てついた空気を纏っているはずのシンに、あの夏の姿が重なる。
「俺らが……ケンカする意味なくね?」
少しだけ僕の様子を窺いながら、シンがはにかんでいる。
その表情を見て、僕は、やっぱり何も変わっていないんだと思った。
差し出されたカメラをもう一度手にする。大事な物はもう手放さないと決めていたはずなのに、直ぐにそんなことを思い出す。
「そう……だね」
「だろ?」
*
気まずさと、嬉しさが混ざって可笑しかった。当たり前のように二人で笑い合って、カラダ中の痛みを全部忘れた。この数ヵ月間のすれ違いは随分と馬鹿げたもので、それは僕らの間に確かに存在する密度の濃い思い出に凌駕され、もうどうでもいい思い出に変わっていた。いや、そういう風に無理やり変えた。
「あー、ソラの怒った顔怖かったなあ?」
「うっ、そんなこと言ったらシンだって、やっぱり急に怒るじゃん」
「ははっ、ごめんごめん。つい……な?あーあ。
……なあ、俺らさ、何も変わんねーよな?お互い」
「……そうだよ」
「なっ?別に俺らに見える世界が変わったって、俺らの世界が変わったわけじゃなかった。それなのにさ、いっちょ前に考えすぎちゃった気がするよ」
「僕も……同じ。うん。僕もそう思う」
やっぱり。シンの笑顔はいつだって僕を連れ出してくれる。それだけを信じていたい。
「なあ、ソラ?もう一回さ、やりなおそーぜ。あの虹雲の群れ、今度こそ撮ろう。
……俺らなら、俺らが一緒なら、できる気がするじゃん?」
「え?……あっ、うん?」
「なんだよ?どっちだよ?」
想定外だったその提案に驚く。僕の反応にツッコミをいれたシンが笑っている。
「ごめん……びっくりしただけ。もちろん!やろう?そうしよう」
最初からそうすれば良かったんだ。シンの言う通りだ。僕らの世界は何ら変わってなかったのに。
僕たちは勝手に色々と思い込んで、考えすぎて、後悔ばかりが積み上がって行くような道をわざと選んでしまっていた気がする。
抗えない運命がわかっていたって、それに振り回される必要なんて全くなかったんだ。
僕はシンと一緒に居たくて人間になった。
そうだ。だから……
願わくば、その時までは一緒に────
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