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浅い眠り
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眠れたかと思えば、すぐに目が覚めてしまう。体が重く、疲れが取れない。
ここ数年、浅い眠りに悩んでいたマキコ。心療内科の扉を何軒も叩いたが、一向に改善しなかった。ついに、霊能者の元を訪れることになったマキコは、信じられないことを霊能者から告げられた。
「浅い眠りは、あなたの守護霊が引き起こしているもののようです。ただ、申し訳ないのですが、私の力ではあなたの守護霊と話すこともできなければ、祓うこともできません」
自宅へと戻ったマキコは、自分の背後にいるに違いない守護霊に向かって声を張り上げた。
「守護霊のくせに、私に害を及ぼすなんてどういう神経しているの! あんたは守護霊失格よ! 早く私から離れて! あんたはもうクビよ!」
だが、その夜、マキコは知った。
自分が”霊能者ガチャ”に大失敗してしまったことを。
いや、何よりも、本当に自分を守ってくれていた守護霊に対し、愚か過ぎるうえに恩知らずな言葉をぶつけてしまったことを。
ベッドの中のマキコの両足首を、濡れた手が掴んでいた。
全身傷だらけのざんばら髪の女の手が。
ニタリと笑った女は、マキコを引きずり込んでいった。
深い深い眠りへと。
――fin――
ここ数年、浅い眠りに悩んでいたマキコ。心療内科の扉を何軒も叩いたが、一向に改善しなかった。ついに、霊能者の元を訪れることになったマキコは、信じられないことを霊能者から告げられた。
「浅い眠りは、あなたの守護霊が引き起こしているもののようです。ただ、申し訳ないのですが、私の力ではあなたの守護霊と話すこともできなければ、祓うこともできません」
自宅へと戻ったマキコは、自分の背後にいるに違いない守護霊に向かって声を張り上げた。
「守護霊のくせに、私に害を及ぼすなんてどういう神経しているの! あんたは守護霊失格よ! 早く私から離れて! あんたはもうクビよ!」
だが、その夜、マキコは知った。
自分が”霊能者ガチャ”に大失敗してしまったことを。
いや、何よりも、本当に自分を守ってくれていた守護霊に対し、愚か過ぎるうえに恩知らずな言葉をぶつけてしまったことを。
ベッドの中のマキコの両足首を、濡れた手が掴んでいた。
全身傷だらけのざんばら髪の女の手が。
ニタリと笑った女は、マキコを引きずり込んでいった。
深い深い眠りへと。
――fin――
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