日本帝国恋愛譚

徳川輝夜

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参-大正時代

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しばらくして、彼の家がある赤坂に着いた。私はゆっくりとバスを降りて、彼の家の方向に向かった。
 十分ほど歩いていると、大きな家の屋根が見えた。彼の家はとりわけ大きいので凄く目立つ。何しろ、彼の御父様が日本の経済を支えている財閥の社長なのだとか。私の父は帝国大学の教授なので裕福な分類に入るが、彼はレベルが違った。庭には大きな紅葉の木がある。それは秋になるとたいそう美しくなるのだ。私の家の庭には池とその中に鯉がほんの三匹いるだけだったので、立派な紅葉の木に私は憧れていた。
 私は息を整えて彼の家の門を叩いた。
「ごめんください。海崎ミフミです。」
すると、奥から
「今出るよ!少し待ってくれ!」
彼の声が聞こえた。私は、「やっと会えるんだ。」という嬉しさで一杯になった。すると直ぐに家から人が出てきた。彼だ。
「ごめん、待たせたね。さぁ、あがって。」
そう言って、彼、常盤 レン は彼らしい笑顔で私を迎えてくれた。私は嬉しさのあまり彼に抱きついた。久しぶり、元気だった?、会えて嬉しいよ、などの溜まりに溜まった色んな感情を込めて。すると彼も返してくれた。私たちは久しぶりの再会を喜んだ。
 家の中に入ると、そこはまるで異世界の様だった。良く分からない美術品が殺風景な長い廊下に彩りをもたらしていた。
「いらっしゃいませ。」
と、何人もの召使いに言われた。うちにも召使いはいるけれど、たったの五人だ。しかし、此処、常盤邸には何十人と召使いがいる。私にとっては異様な光景でしかなかった。
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