私が視えるか

太朗7号

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たいじん様 其の弌

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「ァア~~も~ヤダぁ~~!!」
浮月夏黙(うわつきかもく)は自室でスマホを眺めながら足をバタバタとさせ嘆く、
それもそのはず夏黙には今重大な問題が起きていたのだ、それはそう。“やりたい事が無い„これまでも暇をもて余した事は幾度となくあるが今回は特別だ。
「あんな事の後じゃ全部つまんない………」
そんな事を呟きふと時計に目をやると、すでにその秒針は19時40分を指していた。
「くソォ~~風呂入んなきゃ………またごちゃごちゃ言われる………」
なんだかんだと探れば、“やりたい事„は無いが“やらなきゃいけない事„ならばまだまだ沢山あるのだ。
「うぅ~~風呂………行くかぁ~」
部屋の隅っこに脱ぎ散らかした靴下と着替え用のパジャマを持ち、一階の風呂場へとその重い足取りを運ばせる。
「カモちゃん~お風呂沸いてるからはいっゃいな~~!」
「………………………わかってるよ~」
母親は台所から背を向けたまま風呂が沸けた事を告げる、意図的にはそれだけのはずだったが夏黙には、全く持って別の意味へと聞こえていたのだ。
「ッッていうか、言われなくても風呂ぐらい行くよ~」
「はいはい、夜ご飯カレーだからね~」
早く入れと言われた事が何か引っかかり、
少しすね気味に突っかかってみたものの見事にいなされてしまった、そのまま風呂場に向かい洗濯物を洗濯機に放り混むと服を脱ぎそれも放り混む。
[ガラガラガラ!]
今時珍しい曇ったガラス張りのドアを横に開け。まず先に頭からシャワーを浴びる。
「カレー…………楽しみだな…………」
目をつむりそんな事を呟きながら手慣れた順序で頭から体へと洗っていく。
だかその“2日前まで„は手慣れていた順序が崩れる。なぜならば、
左肩から左の二の腕まで走る軽い切り傷にお湯や泡がしみるのだ。
「痛っててぇ、、、」。
とは言え全て洗い終え浴槽に浸かる。
「う~~む、完璧には治らんか~?」
やっと湯船の染みる痛みにも慣れてきたころ、肩の傷を見ながらそのできた経緯を思い出す、そしてまた、“治してもらった„経緯も同時に思い出していた、忘れもしない“廃ビル„での“あの出来事„
[たいじん様]の一件であった。
目を瞑ると思い出す。
そんな時だった 。
「なんだろう………眠ぃ………」
明らかに普段の眠気とは違う。なにか
意図的な、言うなれば“そうさせられている„ような眠気が突如、腕の傷を思い出すと同時に夏黙に襲いかかる。
ダメだこのままでは浴槽で眠ってしまう始末。ならばどうする?答えはごく簡単ものであった、そう、(浴槽を上がり体を拭いてパジャマを着る!)ただそれだけだ。
そんな事を頭の中で考えながらも意識は“あの„辺り1面を覆うとするような宵闇と、人の形をした   “なにか„、その存在を。
強く堅(つよ)く思い出す。
そこで意識は途切れ…

遡る事約48時間前、言うところの2日前である。
そう、2日前の20時の事だ。今度こそ寝る前の支度を全て済ませたうえで、
いつも通りスマホでTwitterをいじりながら うとうとしているとイラッとする程に大きな通知音が鳴り響きやがったのだ。
[ぢりりりりりりり!!!!!]
「ッッッッ…………………うるッッさ!」
そう、普段温厚(多分)な私がそれほどまでに、しかも言葉に発する程に脳に響く用ないつもと違う通知音だったからだ。
まさしく夏黙自身のみに襲い来る用な、
そんな“音„だった。
本来ならば当然したくもない、絶対にしたくない恐怖感。
そしてその通知の内容を確認し。
“見なければよかった„と、恐怖するのは、
読み終えるまでのその時間の問題であった
[浮月科黙・年齢16歳・性別女・分類 人
役職・御神体 今から12時間後2丁目の廃ビルまで来るように。」
………………は?


だめだ、何度考えても。
………………は?
しかでて来ないのだ。
確かに名前や年齢に加え先程の通知音も相まって“恐怖„はした。
だか恐怖以上に、やはり。
………………は?
が、勝ってしまうのだ、分類に関してはその通り過ぎて脳内でツッコミを入れるまでもない。
それに役職・御神体ってなんだよバカデケェ音で腐二病要素ぶちこみやがって!
………………。
などと考え自分(脳内で)の口の悪さを少し悩み“治さなきゃ„などと思うぐらいにはもう、“恐怖„なんて物は消えてしまっていたのだ。
なぜならよくよく読み返して見れば分かる通りの“胡散臭さ„だ。
今時実名ぐらい、表示されたって何ら不思議ではない。なにせTwitterに関しては
言うところの本名で、しかもフルネームでキッチリ登録してあるぐらいなのだから、無論、年齢もだ、登録が必要なゲームアプリなどは全て実年齢で通っている、

それでも。
心惹かれると言うのもおかしいと自分でも思うが。
まぁ言うなれば、、、、。
「ビルぐらいなら行ってやるか…………」
そう、行ったとして何があるのか。
自身の“その他大勢„より劣った人生にも、やっと“その他大勢„以上の。
「自分だけだ!」   
などと言い張れる用な、
そんな出来事がある気がしていたのだ。
(いや、、、、、、?まてよ?その時点で私も腐二病か?)。
まぁそんなどうでもいい疑問はさておき、
そんな事実や可能性に気持ちを、“心„を惹かれてしまったのだから仕方がない

「通知が来たタイミングから12時後…………って事は朝の9時ィ~~?」。

そう、夏黙は朝が苦手である。

「とりあえず、、今日はもう寝とくか-」

声にならない声でそんな事を呟いた夏黙は。
こういう時に相談できる友達がいない現状を叩き付けられていたのであった。
やはり“その他大勢„以下の自分だ。

「その他大勢以下も明日卒業!!
今夜限りだ!」

なんて、今度はそこそこ大きめの声で呟くと夏黙はアラームを七時にセットして、そっと目を閉じた_____________。 



「ヂリリィィィィィィ!!!!!!!」
 “特„ 大音量で枕元の目覚まし時計が両耳を貫くような音で鳴り響いていた。

「ん~んぁ」
夏黙は昨日の夜の出来事などすっかり忘れ
7時にセットしたアラームを“普通„にとめやがったのだ。
どうやら、起きる気はないようだ。
そして夏黙の深い深い“二度寝„が始まった
二度寝からかなり時間がたつもやはり起きない、
その時。
[ビビビィィィィィィィ~~~~
ガガガガガガが!!!!]

突如。
普段目覚まし時計からは絶対に漏れないような音声が、夏黙の部屋へと響き渡る。

「やぁ、ガガガガガビィィィィビィィできるィィけィィ早く、来ガガくれガガガかな?ビィィィィィィ」

(は?)
「あぁ?」
夏黙の脳内はすでに真っ白であった、
寝起きだからという理由はさておきやはり
状況が理解できないでいた。
昨日と同じ感覚であった。

それでも夏黙は、その目覚まし時計から出た“音„を、、、、、いや。
“声„を思い出しながら、そのセリフをまとめていた。
「うぅ~~ん……………多分…………だけど、
“やぁ、できるだけ早く来てくれるかな?”」

って事か? などと思っているうちに。
時刻が既に  8時46分を、回っていたのだ

「ヤベぇぇー!!!支度支度ッッ!!!」

普段なら絶対に気にするであろう目覚まし時計から流れた声など、もはやそれに対する思いそのものが薄れる程に。
9時までに、“廃ビル„に向かわなければならないという使命感のようなものがあったのだ、。
もちろん朝食はとらず、それ例外の毎朝のルーティーン。歯磨き、顔洗い、髪の毛のブラッシングもままならないまま、迷わずに着慣れたセーラー服を着る。
[ガヂャッ!」
家のドアを勢い良く開け片方脱げかかった靴を履き直し全速力で走り出す夏黙。
「クッソ!間に合わないよぉ~」
とは言いつつもその“廃ビル„は巷ではそこそこ噂の、そう、“失踪事件が起こる„なんてとてもありきたりな噂のビルなのだ。
そんなビルが家から徒歩20分程の位置にあるのだから昔はよく、友達達や“弟„と酷く怖がったものだ。
だか、今回の用な件がなければ廃ビルの存在など忘れてしまっていた程に過去の記憶だ、まず。
“わざわざ日常的に思いおこす程の事でもない„。と思えてしまう程のものであった
「はぁ、、はぁぁ、、」
息を切らしながらも自分なりの全力で廃ビルへと向かうだかどんなに急いだとしても
そう。時刻は既に9時を回っていた。
確実に15分は遅れるのだ。

そんなこんなで9時15分、
(ビルに入ったらまず遅刻した事を謝ろう、、、)などと考えようやく我に帰る、
ひとまずは割れた窓ガラスなどではなく
正面玄関ともとれる入り口へと足を進め
る、だがあからさまに入り口と思われる場所は鉄製の鎖で閉鎖されている。
「これ、、どーやってあけんのよ、、」
ひとまずは[ガチャ!ガチャ!!!]と、
扉を引いたり押したりしてみるもののやはりびくともしないではないか。
「………………………無理じゃん………」
そう、考えてみれば なぜ“いたずら„の可能性を考えなかったのかが不思議で仕方なくなる。




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