正夢が見れるなら高次元世界でも無双できる?

エポレジ

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第2章 劣等生

25話 探検

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 土曜日。
 学校はお休み。この一週間は色々あったし、久しぶりにゆっくりできるぞ。
 ベッドでゴロゴロ。二度寝でもしようかな……

 ピンポーン

「……ん?」

 ガチャ

「はい…どちらさまですか……って愛さんと菊音さん!?」

「ふふーん!」ニコニコ

 そこには私服姿の二人が笑顔で立っていた。

「糸くん、今日は空いている? 一緒に不思議を探しに行こうよ!」

「不思議……?」

 ということで、青い空の下、暖かい陽気の中、異探いたんサークル一同は見ず知らずの土地へ向かうことになった。

「あの、どうして俺の家を知っていたんですか?」

「そりゃ知ってるよ。ほら、入部のときに書類書いてもらったでしょ?」

 ああ、そういえば。

「今日はどちらへ向かってるんです?」

「大富豪の廃墟だよ。高次元世界について研究していた研究者が住んでいたらしい。何か異世界の手がかりを掴めるんじゃないかと思ってね」

「へえ……。でも、そんなところに易々と入れるもんなんですか?」

「いいえ、隠されているわ。でも、この前見つけたのよ」

「見つけた……?」

「菊音は【逆空間の次元】を認識することができるの。前々から場所の検討はつけて探索してたんだけど、この前の探索で、菊音が逆空間の中に見つけたんだ」

「あの、逆空間ってなんですか? 以前、高次元世界のバスにも取り入れられてるって聞きましたが」

「うーん……、私も完全に理解しているわけではないし、説明は難しいわね。私達の認識できる実空間に埋め込まれた影のような空間、かしら」

 影のような空間……想像もつかない。
 世界は俺が思っている以上に複雑な姿をしているのかもしれない。
 全ての次元を認識できるフィアスに聞けば分かるのかな。

 ローカルバスに乗り、南西にある山へ向かった。



 バスから降りて、今度は徒歩で山登り。
 山で時折遭遇する高次元世界特有の生物に毎度驚かされる。
 中でも『ウンパンジー』という大木を運搬するチンパンジーには笑ってしまった。

 途中で見かけたボロボロのお店で瓦そばを食べ、徒歩で再び散策を開始。
 山をかき分け、木の階段を上り、そして……

「見つけた。ここだわ」

 菊音さんが足を止める。しかし、そこには平原に木が生えているだけで、何もない。

「んー? やっぱり相変わらず私には見えないなあ。菊音、ここに建物が立ってあるの?」

「ええ。お屋敷がぽつんと……ある気がする」

「気がする?」

「うん……。絶対にあることはあるんだけど…遠目で見えるというか……ぼんやりしているというか……。でも、私は【空原そらばら げん】のように【逆空間の次元】に干渉できるわけではないから、近づけないのよね」

 空原幻は、チューベローズの黄金世代と呼ばれる6年生で、【空間の次元】と【逆空間の次元】の超能力者らしい。

「うーん、やっぱりここからが問題ね。その屋敷に入る方法を考えないと」

 どうやら、一見ただの木々しかないこの空間に、屋敷があるらしい。
 しかし、そこへは【逆空間の次元】へ干渉できる超能力者などでないと、簡単には入れないという。

「菊音、気合いでなんとかならない?」

「ならないわよ! ……でも、屋敷が建てられているということは、バスの逆空間に入れるように、必ずどこかから入れると思うわ。だって、【逆空間の次元】の超能力者なんてほとんどいないだろうし、いたとしてもその人だけで大工さんも呼ばずに自力でこんな立派な屋敷を建てるなんて考えられないもの」

「なるほどね。つまり、私達でもこの逆空間に入れる入り口があるってわけだ。よし、ちょっと手分けして探してみよう!」

 逆空間への入り口探しが始まった。

 しかし、探し方が分からない。
 木々の間に手を伸ばしてみるが、当然のように何も起こらない。

 ここで、バスの例を思い出してみる。
 バスでは、最後尾をすり抜けられた。
 つまり、何か物があるところへ駆けていくと、そこが境界になっており、すり抜けられる可能性があるのかも。

「……よし」

 俺は覚悟を決め、木と対面した。

「うおおおおおおおお!!!」

 俺は木に向かって走り出す。
 すり抜けられると信じて。

 ゴツン!!!!!!!

 しかし、すり抜けられなかった。

「今凄い音が……。えっ! ちょっと糸くん、大丈夫!?」

「木はたくさんあるんだ。全部試してみるしかない!」

 俺はやけくそになり、縦横無尽に走り出した。
 暴走した馬のように駆け回る。

「糸くん危ない!! その先は崖だよ!!!」

「えっ!?」

 頭を空っぽにしながら走り回っいると、なんと崖へ向かって飛び出していた。
 さよなら、俺の人生。

 ぴゅーー

「ぎゃああああああああああああ!!!」

 無謀にも崖に手を伸ばしながら、俺は落ちて行った。

 その時、頭が冴えた。
 走馬灯のように、時がゆっくり流れていくように感じる。

「あっ!!!!」

 その時目に移った光景。崖に丸い穴が空いている。
 まるで何かの入り口のような、人工的な穴。

「あれだ……!!」

 などと思いつつ、俺は重力に身を任せながら落ちて行った。


 …………


「今凄い音が……。えっ! ちょっと糸くん、大丈夫!?」

 愛さんが心配そうに駆け寄ってくる。

「うーん……。あれ……?」

 どうやら木にぶつかった後、一瞬気を失っていたようだ。

「さっき気が付いたんだけど、ここらへん崖に近いから、あまり走っちゃ危ないよ」

「崖……? あ、愛さん!入り口見つけましたよ!」

「え!? 本当!?」

 俺は崖の穴のことを伝え、三人で崖下を覗く。

「わあ、本当だ。不自然な穴が空いてるね」

「でも、どうやってあそこに行けばいいのかしら。崖を這って行くのは危険よ」

「じゃーん、縄ばしごだよ! 他にもこれでしょ、これでしょ、そして…」

 愛さんのリュックからは次々とクライミングの道具が出てくる。

「なんでそんな物がわんさか出てくるのよ」

「準備すご……」

 カンカン

 愛さんは縄ばしごを地面に打ち付けて、ちゃっちゃと崖を下る準備を進めていく。

「これで安全に行けるね! さあ私に続いて!」

 愛さんは縄はしごを下り始めた。

「これ……行く感じですよね……?」

「え、ええ……」

 愛さんが渡してくれたクライミング道具を身につけ、縄ばしごを下る。
 穴に入ると、愛さんが手を取ってくれた。

「見て! 階段になってるよ!」

 愛さんが懐中電灯で照らした穴の先には、長そうな階段があった。
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