正夢が見れるなら高次元世界でも無双できる?

エポレジ

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第3章 王座争奪戦

56話 リベンジ

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『さあ先鋒戦が終わった後のポイントを整理しましょう!』

 【Bブロック準決勝】
 チーム19(赤):4 pt
 チーム22(白):2 pt
 チーム27(青):0 pt
 チーム31(黄):0 pt

 先鋒戦を戦った青いバンダナ姿のジョニー先輩と菊音さんが帰って来た。

「……みなさん……すみません……」

「アイムソーリー! ヒゲソーリー!」

 ジョニー先輩はともかく、菊音さんは相当責任を感じているようで、半泣き状態だった。

「二宮、気にするな。ずっと隠し通してきた技を、一発で決めた相手が凄かったんだ」

「そうだぞ。それに、まだ先鋒戦を取られただけじゃないか。後は俺達先輩に任せとけ」

 菊音さんは小雲先輩に肩を抱かれ、先輩方の励ましに頷いた。

「さあ三橋、俺達の出番だ。昨日の作戦通り行くぞ!」

「はい!」

 五条先輩と三橋さんは何か企んでいるそうだ。

『さあ続いて中堅戦です! ここにも注目な選手が出場しますね!』

『そうですねぇ! 5年生主席、能力者ランキング8位の桐山選手がどのような立ち回りをするのか、楽しみですねぇ!』

『桐山選手は去年、準決勝の中堅戦で弥生選手に敗れるまで無敗! 準決勝の大将戦で時谷選手に敗れるまで無敗だったチーム27の七道選手とまさに同じような心境でしょう。しかし決勝へ進めるのはたった1チームのみ! 決勝へ行くのはどのチームでしょうか!! さあ、中堅戦スタートです!!』

 ビーーーーーーー!!!!!

 ワァァァァァァァァァッ!!!!!!

 開始早々、青いマントを羽織った五条先輩と三橋さんが奇妙な行動に出た。

『フィールドは古代遺跡だ! おおっと、今度は青チームの二人が開始早々走り回っている! 一体誰を探しているのか!?』

『五条選手はドームの端に沿って左回りに、三橋選手は右回りに走っていますねぇ!』

『このままでは、中央に向かって走りだしている敵チームとは遭遇できないぞ! 一体何を考えているんだ!!』

「五条先輩たち、敵から逃げる作戦でしょうか。ですが、いずれタイムリミットがきてリタイアになってしまいますよ!」

「桐山が他の相手を倒すんを待ってるんやろか。でも、それやったら糸くんの言う通り桐山自身には勝てやんばい」

 しばらくして、逆向きに走っていた五条先輩と三橋さんが遭遇した。

『青チーム、やはり敵チームに遭遇することなく味方の二人が出会った! ここからどうするんだ!』

「もう10分経ちます! 早く誰かを倒しに行かないと!」

「ああ。それに、相手に催眠をかける桐山相手に集団行動は危険だぞ、五条……!」

 一ノ瀬先輩は、中堅戦の作戦を五条先輩と三橋さんに完全に任せていたので、控室のみんなは五条先輩の作戦が分からないでいた。

 太陽が照らし、不思議な形の建造物がそびえる古代遺跡。
 ついに五条先輩達が動いた。 

「よし、三橋、いくぞ!」

「はい!」

『青チームの二人は、ようやく中央へ向かっていったぞ! 二人は協力して進むのか? しかし、その間にもすでに赤チームの桐山はどんどん敵を倒している!』

『能力者ながら杖と見事に共鳴し、【生命の次元】に干渉して相手の心を巧みに操っていますねぇ!』

 そして、中央の大きな遺跡の祭壇で、五条先輩達と桐山楓が対面した。

「ん、二人で来たの? ふむふむ、本気で私を倒しに来ているみたいだね!」

 桐山が余裕そうに五条先輩と三橋さんに話しかける。

「去年、俺はお前に負けてから自信を無くし、他人に絶望し、1年間を自堕落に生きてきた。だが、それももうここまでだ」

「へえ、あなた、去年の私に負けたんだ! でもごめんね、全然覚えてないや」

 桐山はクスクスと笑う。
 それを見た三橋さんは怒りで今にも飛び掛かりそうだ。
 
「落ち着け、三橋」

「ですが……」

「ここで冷静さを欠いたらすべてが台無しだぞ」

「ふう……っ。はい」

「無能力者なのに、本当に私に勝てると思ってるの? こんな大会、強い能力者が勝つに決まってるじゃん。そんな当たり前の現実も見れないんだね。ちょっと可哀想」

「1対1ならそうかもな。だが、これはチーム戦だぜ」

「あははは! 面白いね、いいよ、見せて! 儚い幻想にすがる惨めな姿、見てみたい!」

「行くぞ、三橋!」

「はい!」

 タッタッタッ!

 五条先輩と三橋さんは桐山に向かっていく。

『どうやら青チームは二人がかりで桐山を倒す作戦のようだ! これはうまくいけば強いが、負ければ全滅するという非常にハイリスクな戦法だぞ!!』

「なるほど、私は同時に1人に対してしか能力が使えないって思ったのかな。おめでとう、大正解! でも、たかが2人になったとこで意味ないけどね!」

 桐山は杖を出し、五条先輩へ向けて振った。

「うっ……めまいが……!!」

 五条はその場でひざまずいた。

「五条先輩!!」

 三橋さんが駆け寄る。

「だ、大丈夫だ。それより桐山は……!」

「あそこです!」

 桐山は杖を持って立っている。

「よし、いくぞ!」

「はい!」

 もう一度、桐山にめがけて二人で走り出す。

 その時、その桐山は五条先輩に何かの合図を送った。

「……見えたぞ! 本物の桐山はお前だ!!」

「えっ!?」

 五条先輩は三橋さんの胸に向かって杖を思いっきり突き立てた。そう、五条先輩の目には、桐山と三橋さんが入れ替わって見えていたのだ。

 パリン!!

『青チーム五条透、桐山楓を撃破!!! しかし、桐山選手は一度立ち眩んだ五条選手をどうして攻めなかったんでしょうか! そして、その五条選手は立ち上がると三橋選手に向かって行ったと思いきや、隣にいた桐山選手のバッジを破壊したという、どうもよく分からない不可解なプレーでした』

『おそらく桐山選手は五条選手に催眠をかけたんだと思いますねぇ! 傍から見たら普通ですが、五条選手は桐山選手と三橋選手の認識を逆にされていたのでしょうねぇ。しかし、味方同士で決めていた合図によって、催眠にかかりながらも桐山選手を見破り、見事に撃破したというわけですねぇ。よほど相手を研究し尽くし、入念に計画を立てた、素晴らしい戦術でしたねぇ!』

 この1年はとても長かった。
 
 俺は去年桐山に敗北し、人を信じることができなくなって部屋に閉じこもった。

 もう、俺の人生はこのままずっと暗い部屋の中で、日の光を浴びることなく、誰とも話すことなく過ぎていくものだと思った。
 それでもいいと思っていた。

 そんな俺の部屋に、九重はもう一度日の光を照らしてくれたんだ。
 チームのみんなは、優しく、厳しく、俺を鍛えてくれたんだ。

 みんなのおかげで、俺はもう一度燃えることが出来た。
 そしてみんなと過ごしていくうちに、個人的なリベンジだけでなく、このチームのために勝ちたいと思うようになった。

 過去の俺の失敗は、きっとこの瞬間に勝つための布石だったんだ。


「うおっしゃあああああああああああああ!!!!!!!」

 五条先輩の叫び声は、初めて聞いたかもしれない。 

「うおおおおおお!!! 五条おおおお!!!」

「透くん!!!! 澪ちゃん!!!!」

 俺達の控室はお祭り騒ぎだ。

「イエェェェェェェェェィ!!!」

 ジョニー先輩は喜びのダンスしている。

「五条先輩……」

 菊音さんは涙を流している。



『Bブロック準決勝、中堅戦決着ーーー!!! 唯一の能力者である桐山を撃破した青チームの二人が共闘し、見事に1位2位をとりました!!!』

「お前は最高だ!!! 五条!!!」

「澪ちゃああああああん!!!」

 小雲先輩は三橋さんに抱き着いている。

「五条先輩!!!」

「おう!」

 パシッ!

 俺は五条先輩とハイタッチした。

「ありがとうございます……五条先輩……!」

「ああ!」

 パシッ!

 五条先輩は笑って菊音さんともハイタッチを交わしていた。

「さあ、次は大将戦だ!! 七道! 九重! 頼んだぞ!!」

「「はい!!」」
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