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外から聞こえてきたのは水上バイクの音だった。
「あ。アマリアかな?」
ルシアはするりと彼の腕からすり抜けると、タッタッタと窓際に駆け寄っていく。
外を眺める。
身を乗り出しているのでバスタオルの裾がずり上がり、プルンとしたお尻が丸出しになった。洗いたての秘処はまだしっとりとしていて、つやめいている。
「アマーーーーリアッ」
彼女が階上から声をかけると、
「んー? ルシア?」
アマリアも応答している。たぶん水上バイクを留めて仮設の桟橋にいるところだろう。
このあたりの土地は、地面から2~3メートルほどの高さまで水がきている。いわゆる水没した旧市街ではあるけれど、そのままビルの上階に住んでいるものもいる。
ただし船やボートがないと生活がままならない。あと湿度が高いのも我慢する必要がある。今年はとくにひどい。
「それーっ、なぁーに?」
ルシアが何か見つけたようだ。
「どれ?」
アマリアは「それ」が何かわからないらしい。
「保冷ボックス! 今日はデカいね」
「ああ、これ? ふっふっふ。ナマ! 肉!」
「うっそ!? 培養じゃないヤツ?」
「そう! しかも代用でもないヤツ!」
どうやらアマリアはどこかで屠殺されて出回ってきた自然肉(家畜肉)を手に入れたらしい。牛か豚か鶏か羊か、たぶんそのあたりだろう。培養や代替でないのは比較的めずらしい。
つられて彼も窓から顔を出すと、
「おー、いたんだ。やっほー」
アマリアが下から手を振ってきた。
「やっほー(棒)」
彼も一応手を振り返す。
「んでね、みんなにおすそわけするほどあるの!」
「やったーっ! にくー!」
アマリアのおすそわけ宣言に、ルシアは歓喜のガッツポーズをした。
しかし、ここでアマリアが「悪い子の顔」になったのを彼は見逃さなかった。そして実際に、アマリアの次の発言で状況は一変した。
「というわけで、おすそわけ代5000イェン、いただきマス!」
「………………は?」
ルシアは意味がわからない、という顔だ。
「手数料、5000イェン、いただきます!」
「えー、ちょっと待ってー?」
ルシアが明らかにとまどっていた。彼もそう思う。話が違う……!
「ふふん、世の中タダじゃないんだぜー」
とナマ肉を確保し、現在独占しているアマリアは強気だ。
「なろーっ、せめて500にしろー」
ルシアは交渉に入った。たくましい。
「ふふふ……。それはまあ冗談、冗だ——ん? まって?」
あろうことか、アマリアがさらに何かたくらんでいるようだ。そして……。
「じゃあ、タダにしてあげる」
「タダ? やった! アマリア大好き! 抱いて!」
「けどねー、条件が一つ!」
「いいよ。何?」
「あんたのカレシ、貸して?」
「……………………は?」
ルシアのカレシであるところの彼が、今度は盛大に巻き込まれた……。
「お願い! 一晩だけでいいから!」
「ナニ言ってんのかな? このバカァマリアは!」
「お願い! 元カレの味が忘れられないの~!」
元カノの未練を聞きながら、「元カノがすまん……」と彼はちょっと小さくなった。
「だーめー!」
今カノの返事は、ごく当然のことなのだが……。
「お願い! ちょっとだけでいいから! 先っちょだけ! 先っちょ!」
「だ~め~っ」
ダメだ、さすがにここで口を挟まねば、と彼は思った。
「おいアマリア、いい加減にしろ! 言いたい放題言いやがって」
と彼が怖い顔をすると、
「えへへ……」
アマリアは急に下手な顔になった。
彼は思う。調子にのりやがって。なんか癪に障るな。むしゃくしゃするな……。そうだ、落ち着けるものを触って気を落ち着かせよう。柔らかいモノがいい……。
「もう~。アマリアったら——あん……っ」
彼は手のひらをルシアの尻にぴったりくっつけ、そこから指をググッとしならせ、伸ばした指の腹で洗いたての湿った秘処をたっぷりと愛擦していった。
すると効果バツグンで、すぐに気が落ち着いていく。
逆にルシアは気が動転して、あえかな艶声を漏らしてしまった……。
「うん? ルシア急にどうしたの——ハッ!? ははーん? なるほどなるほど……」
階上の窓から並んで顔を出している二人をじぃっと眺めていたアマリアが一人で納得している。そして、
「おっと日向に放置は厳禁厳禁。じゃね♪」
と言いながら、さっさと建物の中に入って——姿が見えなくなった。
「あ。アマリアかな?」
ルシアはするりと彼の腕からすり抜けると、タッタッタと窓際に駆け寄っていく。
外を眺める。
身を乗り出しているのでバスタオルの裾がずり上がり、プルンとしたお尻が丸出しになった。洗いたての秘処はまだしっとりとしていて、つやめいている。
「アマーーーーリアッ」
彼女が階上から声をかけると、
「んー? ルシア?」
アマリアも応答している。たぶん水上バイクを留めて仮設の桟橋にいるところだろう。
このあたりの土地は、地面から2~3メートルほどの高さまで水がきている。いわゆる水没した旧市街ではあるけれど、そのままビルの上階に住んでいるものもいる。
ただし船やボートがないと生活がままならない。あと湿度が高いのも我慢する必要がある。今年はとくにひどい。
「それーっ、なぁーに?」
ルシアが何か見つけたようだ。
「どれ?」
アマリアは「それ」が何かわからないらしい。
「保冷ボックス! 今日はデカいね」
「ああ、これ? ふっふっふ。ナマ! 肉!」
「うっそ!? 培養じゃないヤツ?」
「そう! しかも代用でもないヤツ!」
どうやらアマリアはどこかで屠殺されて出回ってきた自然肉(家畜肉)を手に入れたらしい。牛か豚か鶏か羊か、たぶんそのあたりだろう。培養や代替でないのは比較的めずらしい。
つられて彼も窓から顔を出すと、
「おー、いたんだ。やっほー」
アマリアが下から手を振ってきた。
「やっほー(棒)」
彼も一応手を振り返す。
「んでね、みんなにおすそわけするほどあるの!」
「やったーっ! にくー!」
アマリアのおすそわけ宣言に、ルシアは歓喜のガッツポーズをした。
しかし、ここでアマリアが「悪い子の顔」になったのを彼は見逃さなかった。そして実際に、アマリアの次の発言で状況は一変した。
「というわけで、おすそわけ代5000イェン、いただきマス!」
「………………は?」
ルシアは意味がわからない、という顔だ。
「手数料、5000イェン、いただきます!」
「えー、ちょっと待ってー?」
ルシアが明らかにとまどっていた。彼もそう思う。話が違う……!
「ふふん、世の中タダじゃないんだぜー」
とナマ肉を確保し、現在独占しているアマリアは強気だ。
「なろーっ、せめて500にしろー」
ルシアは交渉に入った。たくましい。
「ふふふ……。それはまあ冗談、冗だ——ん? まって?」
あろうことか、アマリアがさらに何かたくらんでいるようだ。そして……。
「じゃあ、タダにしてあげる」
「タダ? やった! アマリア大好き! 抱いて!」
「けどねー、条件が一つ!」
「いいよ。何?」
「あんたのカレシ、貸して?」
「……………………は?」
ルシアのカレシであるところの彼が、今度は盛大に巻き込まれた……。
「お願い! 一晩だけでいいから!」
「ナニ言ってんのかな? このバカァマリアは!」
「お願い! 元カレの味が忘れられないの~!」
元カノの未練を聞きながら、「元カノがすまん……」と彼はちょっと小さくなった。
「だーめー!」
今カノの返事は、ごく当然のことなのだが……。
「お願い! ちょっとだけでいいから! 先っちょだけ! 先っちょ!」
「だ~め~っ」
ダメだ、さすがにここで口を挟まねば、と彼は思った。
「おいアマリア、いい加減にしろ! 言いたい放題言いやがって」
と彼が怖い顔をすると、
「えへへ……」
アマリアは急に下手な顔になった。
彼は思う。調子にのりやがって。なんか癪に障るな。むしゃくしゃするな……。そうだ、落ち着けるものを触って気を落ち着かせよう。柔らかいモノがいい……。
「もう~。アマリアったら——あん……っ」
彼は手のひらをルシアの尻にぴったりくっつけ、そこから指をググッとしならせ、伸ばした指の腹で洗いたての湿った秘処をたっぷりと愛擦していった。
すると効果バツグンで、すぐに気が落ち着いていく。
逆にルシアは気が動転して、あえかな艶声を漏らしてしまった……。
「うん? ルシア急にどうしたの——ハッ!? ははーん? なるほどなるほど……」
階上の窓から並んで顔を出している二人をじぃっと眺めていたアマリアが一人で納得している。そして、
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