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番外編〜第3話〜
夏祭りで見たモノ
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紅華達は、柊神社で行われる夏祭り、
「稿蠟祭り」(こうろう祭り)に来ていた。
幸い、今日は祝日。なので多くの人で賑わっている。
現在午後16時。
紅華は白い生地に赤い菊の柄の浴衣、鈴菜は同じく白い生地に青い蝶の柄の浴衣を着ていて、美埜音は黄緑色の生地に桜の柄の浴衣、煌と蓬はそれぞれ男子用の紺色と黒の生地に線が縦に入っている浴衣を着ている。
ちなみに女子陣の紅華と鈴菜は同じ1つお団子結び、美埜音はいつも通りの一つ三つ編みに、向日葵の小さいお花を付けていて肩にかけている。
「人が多いわね、やっぱりお祭り事だと皆テンション上がるのかしら?」
「お祭りだもん、仕方ないよ紅華ちゃん。いざとなったら守るからね!」
「やだこの子可愛すぎる」
「えへへっ」
「うわぁああ~~!!!お祭り楽しみですね皆さん!何食べます?かき氷?クレープ?それとも焼きそばですか?あ~!迷います!」
「美埜音、はしゃぎすぎだぞ……まぁ、分からなくは無いが」
「おー!人がたくさんいるなぁ!それにしても、蓬のお兄さんって凄いんだな!浴衣作ってくれて、それに着付けまで!」
「あぁ~……あのアホ兄貴はああ見えて浴衣とか作るの得意なんだ。洋服とかほつれた時は特に治すのが得意でな、一時期は洋服屋でバイトしてて、彦星とか呼ばれていたからな」
「スゴくね?……にしても、夏霞さん……だっけ。巫女さんなのはすげぇな。何か変なこととか起こらなきゃいいけど」
「おいやめろそれフラグだぞ!」
「あ、やっべ!」
「あーあ、煌さんのせいで夏霞お姉さんが……」
「おいやめろ!まだ何も起こってねぇだろうが!」
「煌くん、落ち着いて!そんな簡単に起こる訳無いよ~」
「そうだといいけど……って、また面倒な奴が来たわよ。蓬」
「は?」
「よーもーぎぃぃぃーー!!お兄ちゃんと今からでも回らないk」
「断る。なんで来てんだ馬鹿!夏霞姉さんとこ行ってこい!」
「や・だ」
「ぶん殴んぞクソ兄貴」
「わぁ~怖い怖い。紅華ちゃん助けて~」
「嫌ですよそんなの。奢ってくれるなら話は別ですけど」
「奢るよ!好きな物食べて!後、食べすぎなければ良いよ~」
「やっった!ありがとうございます!言質取りましたからね!」
「バッカヤロ釣られるなあの兄貴に!絶対、十中八九、嘘ついてるぞコイツ!騙されるな!紅華!」
「いやいや、録音はしてるから何かあれば大丈夫よ。それに、大人が1人くらい居たら何かあっても大丈夫でしょ」
「こいつは頼りないぞ!てか、一緒に居たくない」
「なっ!お兄ちゃんになんて事を!」
「いや、貴方のせいでしょ。紬」
「……夏霞っ!?」
「それ以外に誰だと?早く帰りましょ!紬!祭事が終わるまで部屋に缶詰めよ!貴方は祭事に関わってるから私と似たような和服着ないといけないんだから!……………あら、蓬君。お友達?」
「そうだよ。兄貴が奢るとかホラ吹くから」
「あー……後で説教ね。じゃあ、お金あげるから皆で行ってらっしゃい。ほら」
そう言って夏霞は紅華達にそれぞれ3000円を渡した。
「ええっ?い、良いんですかそんな……」
「良いの。後でアイツから締め上げてお金貰うから!お祭り、楽しんでね!あと」
「「「「「?」」」」」
「……巫女の神楽、楽しみにしといて!目に物見せてあげる!」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあまた後で!」
「はい。ありがとうございます夏霞お姉様!」
「ありがとうございます!お姉ちゃん!」
「ありがとうな、夏霞さん!」
「ありがと、皆に色々してくれて。また後で、姉さん」
「良いってことよ。じゃあね!」
夏霞が去った後、皆で最初はどこに行くかを決めることにした。
「まずはかき氷が食べたいです!暑いのです!」
「賛成ね。暑くて動きにくいし、メイも連れてくれば良かったかしら」
「それはわざわざ来てくれるのは申し訳ないよ~。かき氷とたこ焼きと、焼きそば、クレープ食べたい!」
「俺は唐揚げと、お団子、後はかき氷とかアイス食いたい」
「俺もオレも!お団子、かき氷、クレープ、あとチョコバナナ食いてぇ!」
「甘いものばっかりだ~……そうね、じゃあかき氷は早めに行かないと混むから行きましょうか。行くわよ皆」
「「「「はーい/はいよー!」」」」
「かき氷美味い!」
「何味にしたんだ?煌」
「んーと、チョコ!蓬は?」
「俺は抹茶」
「渋っ……お前すげえな。紅華達は味何にした?」
「私はりんご味よ」
「私はいちごとぶどうの2種の味かき氷にしたよ~!」
「私は……メロンです!」
「おお~!良いな~皆個性すごいなぁ!」
「チョコ味なんてあったのかぁ!食べたい!1口ちょーだい!」
「お、いいぞ!鈴菜!ほい、あー……」
「ふぇ?あ、あー……おいしい!」
「だろ?」
「うんっ!」
「なんか……微笑ましいわね、ああいうの」
「俺の、いるか?」
「え、良いの?じゃあ1口だけ……わ、甘い……!」
「だろ?……あそこのかき氷屋は抹茶が美味いので有名らしいから、食べてみた」
「良いわね~。私のもいる?」
「私も!メロンいります?」
「じゃあどっちも食べる…………ん、美味いなこれ」
「ですよね!」
「でしょ?リンゴ味のかき氷なんであまりないからね」
「確かにな」
「おおーい、次はどうする?」
「わたあめ食べるわ」
「俺は唐揚げ」
「じゃあ私は煌くんとクレープとチョコバナナ食べに行く!」
「えっと、私……抹茶の専門店というか屋台があるらしいので、抹茶ティラミス食べます!」
「OK!じゃあ、またここの公園で!」
「「「「イエッサー!」」」」
「軍隊みたいね。ふふっw」
1度別れた5人はまた公園で合流した。
「何この唐揚げ美味くね?」
「人気の店が出してるらしい」
「お前、なんでそんなん知ってんだ?」
「いや、サイトに書かれてあった。煌も食うか?」
「おっ前ホント……じゃあ貰うわ」
「?あぁ」
(……ツンデレがよぉ)
「あ、俺のクレープも食うか?抹茶とあずきときなこなんだが……」
「!いる」
「ほい」
「え……美味いな」
「だろ?これさ、人気らしいから俺が買った後すぐに売り切れたんだ!」
「マジか。凄いな、もう一口だけ良いか?」
「あぁ、良いよ。俺これともう1つクレープ買って、そっちは食べたからあげるわ」
「どんな味だったんだ?」
「きなこわらび餅~」
「早く言ってくれ!食べたかった……」
「あ、今ならまだ間に合うぞ?それ頼んだの俺しかいなかっt」
「ちょっとクレープ買いに行ってくる!」
「早めに戻ってきてね~」
「あぁ!」
「行っちゃった……どんだけ和菓子好きなんだよアイツ……。まぁ俺もだけど」
「チョコ餅とか、きなこわらび餅とか饅頭とかお団子とか好きだもんね。2人とも」
「あぁ。特にコーヒー饅頭っていうのと、みたらし団子は好きだぞ。あとはケーキとかパンケーキとかドーナツとかは俺好き」
「洋菓子も和菓子も好きなんだね~」
「鈴菜は?」
「私はホットケーキ好きだな。後はチョコバナナ味のアイスとか、果物とか好き!」
「甘党同盟やな」
「だね!」
「ティラミス美味しかったです~!」
「良かったわね。わたあめいる?」
「いります!」
「私も!クレープ1口あげる!」
「良いわよ、ほら」
「うーん、美味しい~!ふわふわなのにすぐ溶ける~」
「貴方まで溶けないでよ?」
「わかってるよ~」
「美味しいです!さっきのお店行きますか?」
「え、行きたい」
「こっちですよ~着いてきてくださーい」
「ちょっと行ってくる!待っててね!」
「はいよぉー」
「行ってらっしゃい~」
「ただいま」
「おっ、帰ってきた……って、ええ?!
なんだよそれ!抹茶わらび餅とか聞いてねぇぞ!」
「期間限定で今日販売開始らしい。面白いほど売れてたぞ。1口やる」
「マ?……んっ、美味いなこれ!抹茶………うっ!ゲホッゴホッゴホッ」
「だ、大丈夫?!お水……あっ、公園に補水所なんてあるんだ。とにかく紙コップで……よいしょっ、ほら煌くん!これ飲んで」
「だ、大丈夫か……?」
「……んっ、ふぅー助かった。ありがとうなぁ、鈴菜。蓬、大丈夫だ。ありがとな」
「よ、良かったぁ……」
「全く……急ぐからだ……って、1口デカくねお前」
「うっ……ごめん」
「全く。今回ばかりは許してやる」
「わらび餅美味しかった?」
「まぁな。もう頻繁には食わなくていいかも」
「ただいまぁー……疲れた」
「お、帰ってき…………どうした?」
「かなり店が混んでて、頑張って待った後ティラミス食べて抹茶アイス食べたわ。さすがに胃が死にそう」
「それはご苦労様だな」
「全く思ってなさそ」
「なんか言ったか?」
「イエナンデモアリマセン」
「よろしい」
「毎度思うけどコントみたいよね」
「確かに笑」
「このあと花火あるってさ、見る?」
「みるみる」
「おけ。それ終わったら肝試しやるぞ~」
「へ?/は?/え?/ふぇ?」
「え、そんなに嫌だ?肝試し。夏と言ったら定番だろ~」
「やだよ!」
「どうしてだよ」
「怖いもん」
「同じく」
「大丈夫だって!ほら、行くぞ」
「イヤだ~」
「鈴菜と美埜音は残れば?2人なら安心でしょ」
「やだ!面白そうでもあるし、行くよ」
「えぇ~じゃあ私も行きますよぉ~!置いていかないでくださいね皆さん!」
「分かってるわよ。なんか出ても守るから」
「そうそう!だから大丈夫だ!それじゃあ焼きそば食べたから行くか!」
「え、まだ私食べ終わってないよ~」
「私もです」
「もう少し待て、煌」
「へーい」
無事に食べ終わった5人は、さっき鈴菜がやばいと言っていたあの森に行く事にした。
「えっ……」
「どうしたの?鈴菜」
「いや…………煌くん?ここは危ないって!ホントにやばい場所だよ!別のところ行こ!ねぇ、煌……く……ん?」
「………………………………………………………」
「っ……、マズイわねアイツ。ねぇ蓬、煌を止めないとこれ、ヤバいんじゃないの?」
「あ、あぁ……なんか妙に疲れが出て眠い……これ、ホントにやばい場所なのかもしれない。早く出ないと!」
「えぇ。煌は気絶させるから、そこの2人連れて逃げて!」
「分かった」
「煌、少し我慢しててね」
トスッ
ドサッ
紅華はさつ様子がどこかおかしい煌を、手刀で1発入れて気絶させた。
おんぶして蓬達のところに戻る途中、煌の中から黒いモヤが浮いてくる。
「チッ、めんどくさい。一気に片付けるわよチェニー!」
「わかってるけど……アイツは亜夏葉の方が対処しやすい。亜夏葉ー!」
『何でしょうか?』
「アイツを拘束して!ついでに浄化の術!」
『分かりました』
ふわふわっ………………
亜夏葉が拘束術と浄化の術を無詠唱で成功させたおかげで黒いモヤが暴れることはなくなった。
それどころか、煌もさっきは顔が見えなかったが無表情っぽかったのが、今はぐったりとしてはいるが拘束の術で辛うじて立っていて、安らかな感じだ。
「ふぅ。なんとか、上手くいったみたいね」
「あぁ、そう、だ、な……」ドサッ
「蓬?!チェニー、お願い!この2人、運んでもらえる?公園まで」
さっきの眠気のせいか、拘束の術も途切れて蓬も煌も倒れてしまった。
このままにして行く訳にもいかないので、チェニーを呼んで運んでもらうことにした。
「……はぁ、分かったよ。人化して公園のベンチとかで休ませれば良いんでしょ?」
「えぇ。結界を張りながら行ってね」
「分かってるよ、紅華」
チェニーはそう言った後にため息をつくと人化し、まず周りに結界を張り、2人を肩に担いで公園の方に行ってしまった。
残された紅華、鈴菜、美埜音は、公園に戻る事にした。
「は~疲れた。鈴菜、3人乗りのホウキって無い?」
「え?まぁあるけど、ホウキ乗るの?美埜音ちゃんは初めてだよ?」
「そういえば。おーい美埜音、これから私疲れたから3人でホウキ乗るわよ。公園までなら少しで着くし」
「え?ホウキ……乗れるんですか?わ、私も乗れるので……」
「今は皆疲れてるでしょ?いいから早く乗りましょ。早く公園戻りたいけれど、置いてく訳にも行かないわ」
「あ、そうですね。今は……お言葉に甘えさせてもらいます」
「良いわね。あなたのその素直さ」
「い、いいえ~そんな事……」
「はいはーい、いいから早く乗ろ」
「それもそうね。箒よ、"来い”」
紅華がそう言うと、箒がどこからともなく飛んできた。
「桜蘭(おうらん)っていうホウキなの。私の移動手段ね。今日は友達も乗せるからよろしくね」
紅華はホウキの名前を言い、ホウキに乗った。
「ほら、早く」
「うん!」「はい!」
3人はホウキ、もとい桜蘭に乗って公園に戻った。
午後18時。
チェニーに公園へと運ばれた煌は、公園のベンチで目を覚ました。
「ん……んぁ?あー、俺……さっきまで何して……?」
「あ、目覚めたか。煌」
「へ?蓬?なんで俺らここに戻ってきてるんだ?ついさっきまで……うっ」
「どうした?頭痛いのか?ちなみにさっき俺らは行っちゃいけない森に行ってお前の様子がおかしくなって、紅華が何とかしてくれた。その後は覚えてない」
「頭痛い………なるほどな。だから多分俺らは倒れて……紅華が運んでくれたんだな」
「いや、紅華じゃない。……お前、式神だな?」
蓬にそう言われ、チェニーは振り返って言った。
「……あぁ、そうだよ。紅華に頼まれたんだ。で、他に聞きたいことは?」
「あともう1つ、……紅華達は今どこにいる?」
蓬は殺気を出しながらチェニーに聞いた。
するとチェ二ーは呆れながらこう言った。
「あぁ、紅華達はさっきの森にいるよ。……まさかとは思うけど行く訳じゃないよな?」
「その、まさかだ」
「……はぁ?!馬鹿!ダメだよあそこは!僕が行くから、ここで待っててよ!流石に倒れたばかりなのに行けないよ!あぁもう!ったく……しょうがないなぁ!」
「お前が行ってくれるんだな、分かった。あと…………お前誰?」
「あー、人化した紅華の式神のチェニーです。以後お見知り置きを。じゃあまた」
「頑張れよ~」
さっきまでの蓬の殺気で気圧された煌が言った後、チェニーはその場を後にした。
「じゃあ、後は……帰ってくるのを待つだけだな」
「……お前、ほんとにそれでいいのか?」
「何が?紅華なら大丈夫だよ。後俺たちに出来ることは……信じる事だ、蓬」
「…………!!っ、分かった」
「まー通信機事前に渡したからな!大丈夫だ!」
「……へ?いつの間に!?」
「そんな驚くことか?んーと、最初待ち合わせ場所で合流した時だな。紅華に万が一の時に渡しておいたんだ。大変だったんだぞあれ作るの」
「……………………は?つ、作ったのか?」
「そうだけど?」
「……もしかしてだけどかなり有能?」
「もしかしなくても有能」
「ナイス」
「www」
(それにしても、なんか身体が重いような……気のせいか?)
同時刻。
紅華達は謎の黒いモヤモヤと対峙していた。
すると黒いモヤは、人の形になり煌の形をした闇へと変化した。
「は?!っ……鈴菜、美埜音!気をつけて!」
「分かった!でもあれ……煌だよね?真っ黒の」
「ですね……さっき煌がおかしかったのってまさか……!」
「なに、どうしたの?」
「さっき、煌の様子変でしたよね?そしてあのモヤ……煌の形をしていた。という事は……あれは恐らく、煌の能力を吸収しているのでは?」
「そっか!なら……"本気で”やらないとね」
「そうね。鈴菜は引き続き援護!美埜音はまた何かあれば報告してちょうだい!一筋縄ではいかないわよ!気を抜かないでね!」
「うん!/はい!」
紅華達乙女3人が戦闘態勢になった時、チェニーが戻ってきた。
今は黒いズボンに灰色のパーカーを着ていて随分とラフな格好だ。
「紅華~!ご主人~!!煌達目を覚ましたよーー!!」
「そうなのね!良かったわ!それで、2人は?」
「またこっちに戻ろうとしたから、僕が行く代わりに公園に留めておいたよ。ゴリ押したけど。僕も戦うから……本気出して良いよ」
「了解!ありがとうね、あなたも気ぃ抜かないでよ!」
「分かってる!」
「それじゃ……戦闘開始!!」
紅華がそう言ったと同時に、チェニー、美埜音は即座に斬りかかった。
チェニーは薙刀、美埜音は幻妖剣を振り回して斬り倒している。
が、闇はスカスカと攻撃が効いていない。
「攻撃が……効いていない?!」
「やっぱりだ……」
「え?美埜音ちゃん、やっぱりって?」
「そのままの意味ですよ。煌さんの形した闇なら、本人が何かを悩んでいる……もしくはなにかを抱えているのか、それは本人に聞いてみないと何とも言えないですが…………スメホで聞いてみます?」
「そうね、やってみましょ。美埜音、スメホで電話して。煌の電話番号入ってる?」
「LI○Eでいけるから大丈夫ですよ!お任せください!後は頼みました!」
「OK!後は任せて、美埜音ちゃん!……紅華ちゃん、本気もう出していい?」
「足止め程度にね!チェニー、"星弾”!」
「シルク~、"皓荊棘”(しろばら)!!」
ズドドン、バンバンバン!!
本気の2人が出した攻撃も、煙が舞うだけで当たった感じがしない。
「急いで……美埜音……!」
紅華達が時間を稼いでいる間、美埜音はスメホで連絡をとっていた。
「もしもし?煌さん!?」
『あ、あぁ美埜音か?!どうした?』
「すみません、無茶を承知でお願いします。肝試しに来た森に来てください!何かあれば私が守ります!だから、来てください!」
『……あぁ、分かった。行くけど場所があまりよく分からないんだよな……あ、ちょ!…………………すまん借りる。俺が森に一緒に行くから問題ない。あと20分くらいで着くから、それまで時間稼いでくれ。おい煌、お前闇が出てきたきっかけは何かわかるか?……あぁ!そういう事か。悪い、待っていてくれ美埜音』
「あ、はい!できるだけ早めにお願いします!……切れちゃった。」
通話が終わったのを確認すると、美埜音は叫んだ。
「あと20分くらいで着くので、それまで時間稼ぎです!!」
「OK!分かったわ!ありがとうね、美埜音!1番仕事してると思う!」
「その言葉が1番嬉しいです!私も加勢します?」
「お願い!」
「後は、任せて下さい!"モモ"!」
『はぁ~い~?』
「お願い、あの闇の心の中に入れますか?」
『まぁ出来るっちゃ出来るよ。やる?』
「えぇ、お願いします。一刻を争うんです。負担がえげつないのなんて分かりきっていても…………友達を守りたい!お願い!」
『分かった。頑張るから、褒めてね~』
「はい!」
美埜音はモモに闇の原因を突き止めるために心の中に入ってもらい、拘束魔法を唱えた。
「我が魔術に従い、闇よ、動くな!
"拘束魔法、ラストレイント”!」
シュインシュイン ガシッ!
闇は見事に鎖のようなもので拘束され、動かなくなった。
「OKです!後はモモが帰ってくるのを待つだけ……これは2分しか出来なく、主人にも使い魔にも負担がヤバいのです」
「ちなみにどんな感じなの?」
「骨とかは折れはしないものの、かなり筋肉痛とか体力を使うので……しんどいですね」
「うわぁ…………モモちゃんはネコちゃんだしなぁ、大変そう」
「使い魔は、呼び出さない時は基本的に治癒や体力の回復に勤しみますからね。あとは体力温存とか、魔力保存とかしたり」
「使い魔さん?も大変なんだね~」
「あなたの場合は式神ですよね確か」
「うん。言い方が違うだけで殆ど同じなんだよね?」
「ちょっとだけ違いますけどね。使い魔は元々魔力とか妖力で作られたようなものではなく、魔力を持った動物と契約を結んで初めてゲットする事が出来るので」
「式神は術者……主人の魔力とか妖力で1から作るやつの事なんだね。初めて知ったかも」
「そこだけ気をつけていかないと、2年生3年生ってなった時がヤバいですよ」
「馬鹿にされそうって事?」
「まぁ、率直に言えば誰でもそうなりますね」
「頑張らないとね、能力も、勉強も」
「そう、ですね……」
「ねぇ、煌達は?」
「もうすぐ経つのでまだ何とも言えないです」
「来ないね~」
「はぁ、待つしかないのか……」
「おーい!来たぞ……ってこれ、まさかアレか?」
「アレって?」
「影をな、操ろうとしてて無意識の内に影と自分を分離させちゃってたみたいで……どうしても身体重い理由ってコレだったんだな。まさか魔力吸い取られてたとは……」
「反省しろ。コレはどうにかなるか?」
「安心しろ。影は暴れないから、よーく見とけよ…………"闇よ、影よ、我に従い戻れ、オルロフーラ!」
煌がそう言って闇の能力を発動させると、影は元通りだ。さっきまで煌に影は出来てなかったのに、いつの間にか戻っている。
「上手くいったぞ」
「ホントに反省しなさいよね」
「ごめんて」
「まぁ、いいんじゃないですか?コレで懲りたでしょうし」
「そうね、帰りましょ……って、ああ!夏霞さんの舞を見てない!行くわよアンタら!」
「「「「そういえば!」」」」
一連の流れですっかり忘れていた舞を見るために5人は、神社に戻っていった。
………フフッ
その煌の影が笑っていることも知らず。
5人はその後、無事に舞を見れて満足。
祭りの後、神社に戻って普段の服に着替えようとしたも、夏霞に「浴衣は持ち帰りOKだからね~」と言われたので持ち帰ることにした。
普段の服に着替え、5人は煌の家に泊まっていった。
to be continued……?
「稿蠟祭り」(こうろう祭り)に来ていた。
幸い、今日は祝日。なので多くの人で賑わっている。
現在午後16時。
紅華は白い生地に赤い菊の柄の浴衣、鈴菜は同じく白い生地に青い蝶の柄の浴衣を着ていて、美埜音は黄緑色の生地に桜の柄の浴衣、煌と蓬はそれぞれ男子用の紺色と黒の生地に線が縦に入っている浴衣を着ている。
ちなみに女子陣の紅華と鈴菜は同じ1つお団子結び、美埜音はいつも通りの一つ三つ編みに、向日葵の小さいお花を付けていて肩にかけている。
「人が多いわね、やっぱりお祭り事だと皆テンション上がるのかしら?」
「お祭りだもん、仕方ないよ紅華ちゃん。いざとなったら守るからね!」
「やだこの子可愛すぎる」
「えへへっ」
「うわぁああ~~!!!お祭り楽しみですね皆さん!何食べます?かき氷?クレープ?それとも焼きそばですか?あ~!迷います!」
「美埜音、はしゃぎすぎだぞ……まぁ、分からなくは無いが」
「おー!人がたくさんいるなぁ!それにしても、蓬のお兄さんって凄いんだな!浴衣作ってくれて、それに着付けまで!」
「あぁ~……あのアホ兄貴はああ見えて浴衣とか作るの得意なんだ。洋服とかほつれた時は特に治すのが得意でな、一時期は洋服屋でバイトしてて、彦星とか呼ばれていたからな」
「スゴくね?……にしても、夏霞さん……だっけ。巫女さんなのはすげぇな。何か変なこととか起こらなきゃいいけど」
「おいやめろそれフラグだぞ!」
「あ、やっべ!」
「あーあ、煌さんのせいで夏霞お姉さんが……」
「おいやめろ!まだ何も起こってねぇだろうが!」
「煌くん、落ち着いて!そんな簡単に起こる訳無いよ~」
「そうだといいけど……って、また面倒な奴が来たわよ。蓬」
「は?」
「よーもーぎぃぃぃーー!!お兄ちゃんと今からでも回らないk」
「断る。なんで来てんだ馬鹿!夏霞姉さんとこ行ってこい!」
「や・だ」
「ぶん殴んぞクソ兄貴」
「わぁ~怖い怖い。紅華ちゃん助けて~」
「嫌ですよそんなの。奢ってくれるなら話は別ですけど」
「奢るよ!好きな物食べて!後、食べすぎなければ良いよ~」
「やっった!ありがとうございます!言質取りましたからね!」
「バッカヤロ釣られるなあの兄貴に!絶対、十中八九、嘘ついてるぞコイツ!騙されるな!紅華!」
「いやいや、録音はしてるから何かあれば大丈夫よ。それに、大人が1人くらい居たら何かあっても大丈夫でしょ」
「こいつは頼りないぞ!てか、一緒に居たくない」
「なっ!お兄ちゃんになんて事を!」
「いや、貴方のせいでしょ。紬」
「……夏霞っ!?」
「それ以外に誰だと?早く帰りましょ!紬!祭事が終わるまで部屋に缶詰めよ!貴方は祭事に関わってるから私と似たような和服着ないといけないんだから!……………あら、蓬君。お友達?」
「そうだよ。兄貴が奢るとかホラ吹くから」
「あー……後で説教ね。じゃあ、お金あげるから皆で行ってらっしゃい。ほら」
そう言って夏霞は紅華達にそれぞれ3000円を渡した。
「ええっ?い、良いんですかそんな……」
「良いの。後でアイツから締め上げてお金貰うから!お祭り、楽しんでね!あと」
「「「「「?」」」」」
「……巫女の神楽、楽しみにしといて!目に物見せてあげる!」
「「「「「はい!」」」」」
「じゃあまた後で!」
「はい。ありがとうございます夏霞お姉様!」
「ありがとうございます!お姉ちゃん!」
「ありがとうな、夏霞さん!」
「ありがと、皆に色々してくれて。また後で、姉さん」
「良いってことよ。じゃあね!」
夏霞が去った後、皆で最初はどこに行くかを決めることにした。
「まずはかき氷が食べたいです!暑いのです!」
「賛成ね。暑くて動きにくいし、メイも連れてくれば良かったかしら」
「それはわざわざ来てくれるのは申し訳ないよ~。かき氷とたこ焼きと、焼きそば、クレープ食べたい!」
「俺は唐揚げと、お団子、後はかき氷とかアイス食いたい」
「俺もオレも!お団子、かき氷、クレープ、あとチョコバナナ食いてぇ!」
「甘いものばっかりだ~……そうね、じゃあかき氷は早めに行かないと混むから行きましょうか。行くわよ皆」
「「「「はーい/はいよー!」」」」
「かき氷美味い!」
「何味にしたんだ?煌」
「んーと、チョコ!蓬は?」
「俺は抹茶」
「渋っ……お前すげえな。紅華達は味何にした?」
「私はりんご味よ」
「私はいちごとぶどうの2種の味かき氷にしたよ~!」
「私は……メロンです!」
「おお~!良いな~皆個性すごいなぁ!」
「チョコ味なんてあったのかぁ!食べたい!1口ちょーだい!」
「お、いいぞ!鈴菜!ほい、あー……」
「ふぇ?あ、あー……おいしい!」
「だろ?」
「うんっ!」
「なんか……微笑ましいわね、ああいうの」
「俺の、いるか?」
「え、良いの?じゃあ1口だけ……わ、甘い……!」
「だろ?……あそこのかき氷屋は抹茶が美味いので有名らしいから、食べてみた」
「良いわね~。私のもいる?」
「私も!メロンいります?」
「じゃあどっちも食べる…………ん、美味いなこれ」
「ですよね!」
「でしょ?リンゴ味のかき氷なんであまりないからね」
「確かにな」
「おおーい、次はどうする?」
「わたあめ食べるわ」
「俺は唐揚げ」
「じゃあ私は煌くんとクレープとチョコバナナ食べに行く!」
「えっと、私……抹茶の専門店というか屋台があるらしいので、抹茶ティラミス食べます!」
「OK!じゃあ、またここの公園で!」
「「「「イエッサー!」」」」
「軍隊みたいね。ふふっw」
1度別れた5人はまた公園で合流した。
「何この唐揚げ美味くね?」
「人気の店が出してるらしい」
「お前、なんでそんなん知ってんだ?」
「いや、サイトに書かれてあった。煌も食うか?」
「おっ前ホント……じゃあ貰うわ」
「?あぁ」
(……ツンデレがよぉ)
「あ、俺のクレープも食うか?抹茶とあずきときなこなんだが……」
「!いる」
「ほい」
「え……美味いな」
「だろ?これさ、人気らしいから俺が買った後すぐに売り切れたんだ!」
「マジか。凄いな、もう一口だけ良いか?」
「あぁ、良いよ。俺これともう1つクレープ買って、そっちは食べたからあげるわ」
「どんな味だったんだ?」
「きなこわらび餅~」
「早く言ってくれ!食べたかった……」
「あ、今ならまだ間に合うぞ?それ頼んだの俺しかいなかっt」
「ちょっとクレープ買いに行ってくる!」
「早めに戻ってきてね~」
「あぁ!」
「行っちゃった……どんだけ和菓子好きなんだよアイツ……。まぁ俺もだけど」
「チョコ餅とか、きなこわらび餅とか饅頭とかお団子とか好きだもんね。2人とも」
「あぁ。特にコーヒー饅頭っていうのと、みたらし団子は好きだぞ。あとはケーキとかパンケーキとかドーナツとかは俺好き」
「洋菓子も和菓子も好きなんだね~」
「鈴菜は?」
「私はホットケーキ好きだな。後はチョコバナナ味のアイスとか、果物とか好き!」
「甘党同盟やな」
「だね!」
「ティラミス美味しかったです~!」
「良かったわね。わたあめいる?」
「いります!」
「私も!クレープ1口あげる!」
「良いわよ、ほら」
「うーん、美味しい~!ふわふわなのにすぐ溶ける~」
「貴方まで溶けないでよ?」
「わかってるよ~」
「美味しいです!さっきのお店行きますか?」
「え、行きたい」
「こっちですよ~着いてきてくださーい」
「ちょっと行ってくる!待っててね!」
「はいよぉー」
「行ってらっしゃい~」
「ただいま」
「おっ、帰ってきた……って、ええ?!
なんだよそれ!抹茶わらび餅とか聞いてねぇぞ!」
「期間限定で今日販売開始らしい。面白いほど売れてたぞ。1口やる」
「マ?……んっ、美味いなこれ!抹茶………うっ!ゲホッゴホッゴホッ」
「だ、大丈夫?!お水……あっ、公園に補水所なんてあるんだ。とにかく紙コップで……よいしょっ、ほら煌くん!これ飲んで」
「だ、大丈夫か……?」
「……んっ、ふぅー助かった。ありがとうなぁ、鈴菜。蓬、大丈夫だ。ありがとな」
「よ、良かったぁ……」
「全く……急ぐからだ……って、1口デカくねお前」
「うっ……ごめん」
「全く。今回ばかりは許してやる」
「わらび餅美味しかった?」
「まぁな。もう頻繁には食わなくていいかも」
「ただいまぁー……疲れた」
「お、帰ってき…………どうした?」
「かなり店が混んでて、頑張って待った後ティラミス食べて抹茶アイス食べたわ。さすがに胃が死にそう」
「それはご苦労様だな」
「全く思ってなさそ」
「なんか言ったか?」
「イエナンデモアリマセン」
「よろしい」
「毎度思うけどコントみたいよね」
「確かに笑」
「このあと花火あるってさ、見る?」
「みるみる」
「おけ。それ終わったら肝試しやるぞ~」
「へ?/は?/え?/ふぇ?」
「え、そんなに嫌だ?肝試し。夏と言ったら定番だろ~」
「やだよ!」
「どうしてだよ」
「怖いもん」
「同じく」
「大丈夫だって!ほら、行くぞ」
「イヤだ~」
「鈴菜と美埜音は残れば?2人なら安心でしょ」
「やだ!面白そうでもあるし、行くよ」
「えぇ~じゃあ私も行きますよぉ~!置いていかないでくださいね皆さん!」
「分かってるわよ。なんか出ても守るから」
「そうそう!だから大丈夫だ!それじゃあ焼きそば食べたから行くか!」
「え、まだ私食べ終わってないよ~」
「私もです」
「もう少し待て、煌」
「へーい」
無事に食べ終わった5人は、さっき鈴菜がやばいと言っていたあの森に行く事にした。
「えっ……」
「どうしたの?鈴菜」
「いや…………煌くん?ここは危ないって!ホントにやばい場所だよ!別のところ行こ!ねぇ、煌……く……ん?」
「………………………………………………………」
「っ……、マズイわねアイツ。ねぇ蓬、煌を止めないとこれ、ヤバいんじゃないの?」
「あ、あぁ……なんか妙に疲れが出て眠い……これ、ホントにやばい場所なのかもしれない。早く出ないと!」
「えぇ。煌は気絶させるから、そこの2人連れて逃げて!」
「分かった」
「煌、少し我慢しててね」
トスッ
ドサッ
紅華はさつ様子がどこかおかしい煌を、手刀で1発入れて気絶させた。
おんぶして蓬達のところに戻る途中、煌の中から黒いモヤが浮いてくる。
「チッ、めんどくさい。一気に片付けるわよチェニー!」
「わかってるけど……アイツは亜夏葉の方が対処しやすい。亜夏葉ー!」
『何でしょうか?』
「アイツを拘束して!ついでに浄化の術!」
『分かりました』
ふわふわっ………………
亜夏葉が拘束術と浄化の術を無詠唱で成功させたおかげで黒いモヤが暴れることはなくなった。
それどころか、煌もさっきは顔が見えなかったが無表情っぽかったのが、今はぐったりとしてはいるが拘束の術で辛うじて立っていて、安らかな感じだ。
「ふぅ。なんとか、上手くいったみたいね」
「あぁ、そう、だ、な……」ドサッ
「蓬?!チェニー、お願い!この2人、運んでもらえる?公園まで」
さっきの眠気のせいか、拘束の術も途切れて蓬も煌も倒れてしまった。
このままにして行く訳にもいかないので、チェニーを呼んで運んでもらうことにした。
「……はぁ、分かったよ。人化して公園のベンチとかで休ませれば良いんでしょ?」
「えぇ。結界を張りながら行ってね」
「分かってるよ、紅華」
チェニーはそう言った後にため息をつくと人化し、まず周りに結界を張り、2人を肩に担いで公園の方に行ってしまった。
残された紅華、鈴菜、美埜音は、公園に戻る事にした。
「は~疲れた。鈴菜、3人乗りのホウキって無い?」
「え?まぁあるけど、ホウキ乗るの?美埜音ちゃんは初めてだよ?」
「そういえば。おーい美埜音、これから私疲れたから3人でホウキ乗るわよ。公園までなら少しで着くし」
「え?ホウキ……乗れるんですか?わ、私も乗れるので……」
「今は皆疲れてるでしょ?いいから早く乗りましょ。早く公園戻りたいけれど、置いてく訳にも行かないわ」
「あ、そうですね。今は……お言葉に甘えさせてもらいます」
「良いわね。あなたのその素直さ」
「い、いいえ~そんな事……」
「はいはーい、いいから早く乗ろ」
「それもそうね。箒よ、"来い”」
紅華がそう言うと、箒がどこからともなく飛んできた。
「桜蘭(おうらん)っていうホウキなの。私の移動手段ね。今日は友達も乗せるからよろしくね」
紅華はホウキの名前を言い、ホウキに乗った。
「ほら、早く」
「うん!」「はい!」
3人はホウキ、もとい桜蘭に乗って公園に戻った。
午後18時。
チェニーに公園へと運ばれた煌は、公園のベンチで目を覚ました。
「ん……んぁ?あー、俺……さっきまで何して……?」
「あ、目覚めたか。煌」
「へ?蓬?なんで俺らここに戻ってきてるんだ?ついさっきまで……うっ」
「どうした?頭痛いのか?ちなみにさっき俺らは行っちゃいけない森に行ってお前の様子がおかしくなって、紅華が何とかしてくれた。その後は覚えてない」
「頭痛い………なるほどな。だから多分俺らは倒れて……紅華が運んでくれたんだな」
「いや、紅華じゃない。……お前、式神だな?」
蓬にそう言われ、チェニーは振り返って言った。
「……あぁ、そうだよ。紅華に頼まれたんだ。で、他に聞きたいことは?」
「あともう1つ、……紅華達は今どこにいる?」
蓬は殺気を出しながらチェニーに聞いた。
するとチェ二ーは呆れながらこう言った。
「あぁ、紅華達はさっきの森にいるよ。……まさかとは思うけど行く訳じゃないよな?」
「その、まさかだ」
「……はぁ?!馬鹿!ダメだよあそこは!僕が行くから、ここで待っててよ!流石に倒れたばかりなのに行けないよ!あぁもう!ったく……しょうがないなぁ!」
「お前が行ってくれるんだな、分かった。あと…………お前誰?」
「あー、人化した紅華の式神のチェニーです。以後お見知り置きを。じゃあまた」
「頑張れよ~」
さっきまでの蓬の殺気で気圧された煌が言った後、チェニーはその場を後にした。
「じゃあ、後は……帰ってくるのを待つだけだな」
「……お前、ほんとにそれでいいのか?」
「何が?紅華なら大丈夫だよ。後俺たちに出来ることは……信じる事だ、蓬」
「…………!!っ、分かった」
「まー通信機事前に渡したからな!大丈夫だ!」
「……へ?いつの間に!?」
「そんな驚くことか?んーと、最初待ち合わせ場所で合流した時だな。紅華に万が一の時に渡しておいたんだ。大変だったんだぞあれ作るの」
「……………………は?つ、作ったのか?」
「そうだけど?」
「……もしかしてだけどかなり有能?」
「もしかしなくても有能」
「ナイス」
「www」
(それにしても、なんか身体が重いような……気のせいか?)
同時刻。
紅華達は謎の黒いモヤモヤと対峙していた。
すると黒いモヤは、人の形になり煌の形をした闇へと変化した。
「は?!っ……鈴菜、美埜音!気をつけて!」
「分かった!でもあれ……煌だよね?真っ黒の」
「ですね……さっき煌がおかしかったのってまさか……!」
「なに、どうしたの?」
「さっき、煌の様子変でしたよね?そしてあのモヤ……煌の形をしていた。という事は……あれは恐らく、煌の能力を吸収しているのでは?」
「そっか!なら……"本気で”やらないとね」
「そうね。鈴菜は引き続き援護!美埜音はまた何かあれば報告してちょうだい!一筋縄ではいかないわよ!気を抜かないでね!」
「うん!/はい!」
紅華達乙女3人が戦闘態勢になった時、チェニーが戻ってきた。
今は黒いズボンに灰色のパーカーを着ていて随分とラフな格好だ。
「紅華~!ご主人~!!煌達目を覚ましたよーー!!」
「そうなのね!良かったわ!それで、2人は?」
「またこっちに戻ろうとしたから、僕が行く代わりに公園に留めておいたよ。ゴリ押したけど。僕も戦うから……本気出して良いよ」
「了解!ありがとうね、あなたも気ぃ抜かないでよ!」
「分かってる!」
「それじゃ……戦闘開始!!」
紅華がそう言ったと同時に、チェニー、美埜音は即座に斬りかかった。
チェニーは薙刀、美埜音は幻妖剣を振り回して斬り倒している。
が、闇はスカスカと攻撃が効いていない。
「攻撃が……効いていない?!」
「やっぱりだ……」
「え?美埜音ちゃん、やっぱりって?」
「そのままの意味ですよ。煌さんの形した闇なら、本人が何かを悩んでいる……もしくはなにかを抱えているのか、それは本人に聞いてみないと何とも言えないですが…………スメホで聞いてみます?」
「そうね、やってみましょ。美埜音、スメホで電話して。煌の電話番号入ってる?」
「LI○Eでいけるから大丈夫ですよ!お任せください!後は頼みました!」
「OK!後は任せて、美埜音ちゃん!……紅華ちゃん、本気もう出していい?」
「足止め程度にね!チェニー、"星弾”!」
「シルク~、"皓荊棘”(しろばら)!!」
ズドドン、バンバンバン!!
本気の2人が出した攻撃も、煙が舞うだけで当たった感じがしない。
「急いで……美埜音……!」
紅華達が時間を稼いでいる間、美埜音はスメホで連絡をとっていた。
「もしもし?煌さん!?」
『あ、あぁ美埜音か?!どうした?』
「すみません、無茶を承知でお願いします。肝試しに来た森に来てください!何かあれば私が守ります!だから、来てください!」
『……あぁ、分かった。行くけど場所があまりよく分からないんだよな……あ、ちょ!…………………すまん借りる。俺が森に一緒に行くから問題ない。あと20分くらいで着くから、それまで時間稼いでくれ。おい煌、お前闇が出てきたきっかけは何かわかるか?……あぁ!そういう事か。悪い、待っていてくれ美埜音』
「あ、はい!できるだけ早めにお願いします!……切れちゃった。」
通話が終わったのを確認すると、美埜音は叫んだ。
「あと20分くらいで着くので、それまで時間稼ぎです!!」
「OK!分かったわ!ありがとうね、美埜音!1番仕事してると思う!」
「その言葉が1番嬉しいです!私も加勢します?」
「お願い!」
「後は、任せて下さい!"モモ"!」
『はぁ~い~?』
「お願い、あの闇の心の中に入れますか?」
『まぁ出来るっちゃ出来るよ。やる?』
「えぇ、お願いします。一刻を争うんです。負担がえげつないのなんて分かりきっていても…………友達を守りたい!お願い!」
『分かった。頑張るから、褒めてね~』
「はい!」
美埜音はモモに闇の原因を突き止めるために心の中に入ってもらい、拘束魔法を唱えた。
「我が魔術に従い、闇よ、動くな!
"拘束魔法、ラストレイント”!」
シュインシュイン ガシッ!
闇は見事に鎖のようなもので拘束され、動かなくなった。
「OKです!後はモモが帰ってくるのを待つだけ……これは2分しか出来なく、主人にも使い魔にも負担がヤバいのです」
「ちなみにどんな感じなの?」
「骨とかは折れはしないものの、かなり筋肉痛とか体力を使うので……しんどいですね」
「うわぁ…………モモちゃんはネコちゃんだしなぁ、大変そう」
「使い魔は、呼び出さない時は基本的に治癒や体力の回復に勤しみますからね。あとは体力温存とか、魔力保存とかしたり」
「使い魔さん?も大変なんだね~」
「あなたの場合は式神ですよね確か」
「うん。言い方が違うだけで殆ど同じなんだよね?」
「ちょっとだけ違いますけどね。使い魔は元々魔力とか妖力で作られたようなものではなく、魔力を持った動物と契約を結んで初めてゲットする事が出来るので」
「式神は術者……主人の魔力とか妖力で1から作るやつの事なんだね。初めて知ったかも」
「そこだけ気をつけていかないと、2年生3年生ってなった時がヤバいですよ」
「馬鹿にされそうって事?」
「まぁ、率直に言えば誰でもそうなりますね」
「頑張らないとね、能力も、勉強も」
「そう、ですね……」
「ねぇ、煌達は?」
「もうすぐ経つのでまだ何とも言えないです」
「来ないね~」
「はぁ、待つしかないのか……」
「おーい!来たぞ……ってこれ、まさかアレか?」
「アレって?」
「影をな、操ろうとしてて無意識の内に影と自分を分離させちゃってたみたいで……どうしても身体重い理由ってコレだったんだな。まさか魔力吸い取られてたとは……」
「反省しろ。コレはどうにかなるか?」
「安心しろ。影は暴れないから、よーく見とけよ…………"闇よ、影よ、我に従い戻れ、オルロフーラ!」
煌がそう言って闇の能力を発動させると、影は元通りだ。さっきまで煌に影は出来てなかったのに、いつの間にか戻っている。
「上手くいったぞ」
「ホントに反省しなさいよね」
「ごめんて」
「まぁ、いいんじゃないですか?コレで懲りたでしょうし」
「そうね、帰りましょ……って、ああ!夏霞さんの舞を見てない!行くわよアンタら!」
「「「「そういえば!」」」」
一連の流れですっかり忘れていた舞を見るために5人は、神社に戻っていった。
………フフッ
その煌の影が笑っていることも知らず。
5人はその後、無事に舞を見れて満足。
祭りの後、神社に戻って普段の服に着替えようとしたも、夏霞に「浴衣は持ち帰りOKだからね~」と言われたので持ち帰ることにした。
普段の服に着替え、5人は煌の家に泊まっていった。
to be continued……?
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