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2~副作用
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博也のハローワーク非公開求人の業務実習が始まった。アパレル業界トップクラスで一部上場企業の「ブリュレ」の「マーケティング部」に配属された。博也は、マーケットや消費者の動向を調査・分析する業務を大きなミスもなく、精力的にこなしていた。何よりも、自分を必要としてくれる場所がある事が、博也のモチベーションを最大限に高めていた。
「三木君、来月から関東圏で実験的に展開しようと思っている、この企画なんだけど……」
「ブリュレ」のマーケティング部で実習中、博也の「教育係」を任されていた阿木 充が、まだ実習中の博也に正社員にしか任せないような企画の相談を持ち込んできた。
「はい……LGBTの方々に特化した商品の開発について……」
博也は、その企画書を穴が開くほど熱心に見続けた後、阿木に質問した。
「LGBTの方々を対象とした商品となりますと、インナーや下着をメインに展開していくのが良いと思いますが、あまりLGBTの方々を前面に押し出してしまうと、少し一般客との線引きが生じてしまって問題になる可能性があります。自然な形でアピール出来れば良いと思います」
阿木は、自分が考えていた戦略とほぼ同じ持論を臆することなく主張した博也に少し驚きながらも、その繊細な感性を高く評価した。
「三木君。君の言う通りだと思うよ。まだ、実習の途中だけど正直今まで受け入れてきた実習性の中でも君はトップクラスのセンスの持ち主だと思うよ。必ずうちの部署で、正社員として活躍してくれるだろうと期待しているよ!」
「いえ、そんな事は……ただ、見た目では分かりにくい障害を持った人達が、世の中には沢山いて、勿論私もその一人だと思っております。特別扱いされたくない、でも、生き辛さを抱えてまで隠したくない。自らの障害をクローズするよりもオープンにして周囲の人々と関わっていきたい。そんな思いは、必ずあるはずです!」
「うん、そうだな。素晴らしいよ!是非、残りの実習期間中に企画案だけでも提案してくれると、うちとしても助かるんだけど……間に合いそうかい?」
「そうですね……実習は、今日を含めて後三日……頑張ってやってみます!!」
博也は、力強くそう答えて笑顔を見せた。
「金城さん、三木博也が無事実習を終えて、両親同伴の最終面接を控えているようですが。上がってきたレポートを見る限り、内定は間違いないでしょう。たった五日間の実習で「ブリュレ」でも難しい部署の「マーケティング部」の仕事を既存の社員よりも優れた働きぶりを見せたようです。LGBTの方々を対象としたマーケティングプランをたったの二日間で完成させて、その内容も素晴らしいものだったという事です!」
大澤の話を、にんまりとした表情で聞いていた金城は、突然両手を叩いて拍手をし始めた。
「素晴らしいね!「ホライゾン」の成果だよ!三木博也は、まだまだ伸びていくぞ!!」
「はい、感情の起伏が穏やかになり余計な事を考えなくなって目の前のやるべきことに集中する能力が格段に進歩しています!」
大澤も、やや興奮を隠しきれない様子で上がってきたレポートをプリントアウトした用紙を嬉しそうに繰り返し見つめていた。
博也の「ブリュレ」での最終面接の日がやって来た。「両親同伴面接」という事で、朝から父の達郎と母の静江も、かなり緊張した様子だった。
「博也、落ち着いて。平常心で臨むんだぞ!」
父の達郎は、まさか治験の段階でここまで博也が大きく変化するとは予想していなかった。それは、母の静江も同じだった。
「俺は大丈夫だよ!むしろ父さんと母さんの方が心配だよ!」
博也は、余裕の表情を浮かべながらネクタイを丁寧に手早く締めていた。
「博也、本当に……良かったわね」
母の静江は、これまでの苦労が嘘のような博也の成長ぶりを間近で見続けて、感情が高まってしまったのか?ほろりと涙ぐんでいた。
「母さん。そんな大袈裟に……まだ、最終面接が残っているんだからさっ!」
「……そうね。でも、お母さん本当に嬉しくって!」
「さて、少し早めに出発するか!!」
達郎が、堰を切ったように威勢よく立ち上がって両手で自らの頬をパンパン!と叩いた。三人は、達郎の運転する車に乗って「ブリュレ」の最終面接が行われるコンベンションホテル「ホテルニューバロック新都心」へと向かった。
「ホテルニューバロック新都心」に到着した三人は、腕時計を何度も確認しながら博也の「ブリュレ」の最終面接が行われるホテルの十四階にある「扇の間」へと向かった。
「それでは、これより弊社による三木博也さんのご両親同伴最終面接を行います。よろしくお願いいたします!」
いよいよ、博也と両親の一世一代の大勝負となる面接が始まった。
「ブリュレ」の面接は、気が付いたら一時間を超える長丁場となった。そして、面接開始から一時間半が経った頃、それまで平常心で無難に面接官の質問に応えていた博也に異変が起こった。
「あの……トイレに行ってもいいですか?」
博也は、何かあったのか?大量の脂汗を額にかきながら、面接官にそう尋ねた。
「大変失礼しました。もう一時間半も経っていましたね。どうぞ、行ってきてください」
面接官は、穏やかな笑顔で少し姿勢を崩しながら博也の要望に応じた。
「まずいな……急に頭の中が混乱してきたぞ……」
博也はトイレの個室に籠こもって、かれこれ十分以上も自身の体調急変に恐怖を感じ始めていた。
「スーツが、ビショビショだ。こんなんじゃ面接なんて続けられない……」
博也の一張羅のスーツが、大量の脂汗で下着やYシャツだけでなく上下のスーツ全体を激しく湿らせていた。
「おいっ!博也!まだなのか!?早くしろ!!」
心配した父の達郎が、わざわざトイレまで博也の様子を確かめに来た。
「父さん。ダメだ……体調が……」
博也は、死にそうな声でトイレの個室から達郎にそう告げた。
「馬鹿野郎!こんな大事なチャンスに自ら辞退するなんて、一体どうしたんだ!?」
「分からないよ!全身汗でビショビショなんだ!父さんのスーツ貸してくれないかな!?」
博也は、最後の手段として幸いにも紳士服専門店で二点セットで同じスーツを買っていた父の達郎のスーツを借りようとした。
「とにかく、個室から出て来い!」
達郎は、そう言って博也が個室から出てくるのを待った。
「お前、一体……」
個室から出てきた博也は、全身びしょ濡れで確かに尋常ではない雰囲気を存分に醸し出していた。その姿を見た達郎は、一瞬言葉を失った。
「父さん、お願いだからスーツ交換してくれよ……」
博也は、不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと達郎に近づいた。
「二人とも、遅いですねぇ……トイレに行ってから、かれこれ三十分近いですよ……」
この日の面接官は、合計で五人。うち女性がニ人だった。
「まあ、広いホテルですからねぇ……迷った可能性もありますけど……」
不審がっている面接官たちの様子を見ながら、一人部屋に残っていた母の静江が堪らず切り出した。
「本当にすみません。私もちょっと様子を見てきますので。一旦退室してよろしいでしょうか?」
静江の言葉に面接官五人は、それぞれ顔を見合わせてアイコンタクトを取った後、
「構いませんが、さすがにこれ以上待たされた場合は、博也さんの面接結果に悪影響を及ぼす可能性も否めませんよ……」
面接官の一人が、そう言って冷たく静江に対して忠告した。
「必ず、直ぐに連れ戻してきますので……」
パニックに近い状態になった静江は、慌てて「扇の間」を退室した。
「まったく、何をしているのかしら?大事な時に!!」
静江は、このチャンスを逃したら博也の人生は、またダメになるとの強い思いで男子トイレに向かった。
「へへへ……父さん。父さん……」
個室から出た後、博也は、そう呟き続けていた。
静江が男子トイレに着いた時には、博也と達郎の姿は確認出来なかった。
「……何処へ行ったのかしら?」
そう呟いた静江の視界に入り込んできたのは、さっきまで博也が着ていたスーツだった。スーツだけでは無かった。下着、Yシャツ、ネクタイ、ハンカチなどで、それらの衣類は、ビショビショに濡れていて異様な臭気を放っていた。
「三木君、来月から関東圏で実験的に展開しようと思っている、この企画なんだけど……」
「ブリュレ」のマーケティング部で実習中、博也の「教育係」を任されていた阿木 充が、まだ実習中の博也に正社員にしか任せないような企画の相談を持ち込んできた。
「はい……LGBTの方々に特化した商品の開発について……」
博也は、その企画書を穴が開くほど熱心に見続けた後、阿木に質問した。
「LGBTの方々を対象とした商品となりますと、インナーや下着をメインに展開していくのが良いと思いますが、あまりLGBTの方々を前面に押し出してしまうと、少し一般客との線引きが生じてしまって問題になる可能性があります。自然な形でアピール出来れば良いと思います」
阿木は、自分が考えていた戦略とほぼ同じ持論を臆することなく主張した博也に少し驚きながらも、その繊細な感性を高く評価した。
「三木君。君の言う通りだと思うよ。まだ、実習の途中だけど正直今まで受け入れてきた実習性の中でも君はトップクラスのセンスの持ち主だと思うよ。必ずうちの部署で、正社員として活躍してくれるだろうと期待しているよ!」
「いえ、そんな事は……ただ、見た目では分かりにくい障害を持った人達が、世の中には沢山いて、勿論私もその一人だと思っております。特別扱いされたくない、でも、生き辛さを抱えてまで隠したくない。自らの障害をクローズするよりもオープンにして周囲の人々と関わっていきたい。そんな思いは、必ずあるはずです!」
「うん、そうだな。素晴らしいよ!是非、残りの実習期間中に企画案だけでも提案してくれると、うちとしても助かるんだけど……間に合いそうかい?」
「そうですね……実習は、今日を含めて後三日……頑張ってやってみます!!」
博也は、力強くそう答えて笑顔を見せた。
「金城さん、三木博也が無事実習を終えて、両親同伴の最終面接を控えているようですが。上がってきたレポートを見る限り、内定は間違いないでしょう。たった五日間の実習で「ブリュレ」でも難しい部署の「マーケティング部」の仕事を既存の社員よりも優れた働きぶりを見せたようです。LGBTの方々を対象としたマーケティングプランをたったの二日間で完成させて、その内容も素晴らしいものだったという事です!」
大澤の話を、にんまりとした表情で聞いていた金城は、突然両手を叩いて拍手をし始めた。
「素晴らしいね!「ホライゾン」の成果だよ!三木博也は、まだまだ伸びていくぞ!!」
「はい、感情の起伏が穏やかになり余計な事を考えなくなって目の前のやるべきことに集中する能力が格段に進歩しています!」
大澤も、やや興奮を隠しきれない様子で上がってきたレポートをプリントアウトした用紙を嬉しそうに繰り返し見つめていた。
博也の「ブリュレ」での最終面接の日がやって来た。「両親同伴面接」という事で、朝から父の達郎と母の静江も、かなり緊張した様子だった。
「博也、落ち着いて。平常心で臨むんだぞ!」
父の達郎は、まさか治験の段階でここまで博也が大きく変化するとは予想していなかった。それは、母の静江も同じだった。
「俺は大丈夫だよ!むしろ父さんと母さんの方が心配だよ!」
博也は、余裕の表情を浮かべながらネクタイを丁寧に手早く締めていた。
「博也、本当に……良かったわね」
母の静江は、これまでの苦労が嘘のような博也の成長ぶりを間近で見続けて、感情が高まってしまったのか?ほろりと涙ぐんでいた。
「母さん。そんな大袈裟に……まだ、最終面接が残っているんだからさっ!」
「……そうね。でも、お母さん本当に嬉しくって!」
「さて、少し早めに出発するか!!」
達郎が、堰を切ったように威勢よく立ち上がって両手で自らの頬をパンパン!と叩いた。三人は、達郎の運転する車に乗って「ブリュレ」の最終面接が行われるコンベンションホテル「ホテルニューバロック新都心」へと向かった。
「ホテルニューバロック新都心」に到着した三人は、腕時計を何度も確認しながら博也の「ブリュレ」の最終面接が行われるホテルの十四階にある「扇の間」へと向かった。
「それでは、これより弊社による三木博也さんのご両親同伴最終面接を行います。よろしくお願いいたします!」
いよいよ、博也と両親の一世一代の大勝負となる面接が始まった。
「ブリュレ」の面接は、気が付いたら一時間を超える長丁場となった。そして、面接開始から一時間半が経った頃、それまで平常心で無難に面接官の質問に応えていた博也に異変が起こった。
「あの……トイレに行ってもいいですか?」
博也は、何かあったのか?大量の脂汗を額にかきながら、面接官にそう尋ねた。
「大変失礼しました。もう一時間半も経っていましたね。どうぞ、行ってきてください」
面接官は、穏やかな笑顔で少し姿勢を崩しながら博也の要望に応じた。
「まずいな……急に頭の中が混乱してきたぞ……」
博也はトイレの個室に籠こもって、かれこれ十分以上も自身の体調急変に恐怖を感じ始めていた。
「スーツが、ビショビショだ。こんなんじゃ面接なんて続けられない……」
博也の一張羅のスーツが、大量の脂汗で下着やYシャツだけでなく上下のスーツ全体を激しく湿らせていた。
「おいっ!博也!まだなのか!?早くしろ!!」
心配した父の達郎が、わざわざトイレまで博也の様子を確かめに来た。
「父さん。ダメだ……体調が……」
博也は、死にそうな声でトイレの個室から達郎にそう告げた。
「馬鹿野郎!こんな大事なチャンスに自ら辞退するなんて、一体どうしたんだ!?」
「分からないよ!全身汗でビショビショなんだ!父さんのスーツ貸してくれないかな!?」
博也は、最後の手段として幸いにも紳士服専門店で二点セットで同じスーツを買っていた父の達郎のスーツを借りようとした。
「とにかく、個室から出て来い!」
達郎は、そう言って博也が個室から出てくるのを待った。
「お前、一体……」
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博也は、不気味な笑みを浮かべながら、ゆっくりと達郎に近づいた。
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静江の言葉に面接官五人は、それぞれ顔を見合わせてアイコンタクトを取った後、
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面接官の一人が、そう言って冷たく静江に対して忠告した。
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パニックに近い状態になった静江は、慌てて「扇の間」を退室した。
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静江は、このチャンスを逃したら博也の人生は、またダメになるとの強い思いで男子トイレに向かった。
「へへへ……父さん。父さん……」
個室から出た後、博也は、そう呟き続けていた。
静江が男子トイレに着いた時には、博也と達郎の姿は確認出来なかった。
「……何処へ行ったのかしら?」
そう呟いた静江の視界に入り込んできたのは、さっきまで博也が着ていたスーツだった。スーツだけでは無かった。下着、Yシャツ、ネクタイ、ハンカチなどで、それらの衣類は、ビショビショに濡れていて異様な臭気を放っていた。
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