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2.嵐の前の平穏②
しおりを挟む「ヨシュア兄さん起きて!遅刻するよ」
「んん・・・あと一時間・・・」
「それもう学校始まってるから!」
今、目の前で布団に包まって出ようとしない男は、俺の従兄弟のヨシュア・アルバート兄さんだ。
兄さんは俺より四つ年上の17歳。ウェストサンド学園高等部の生徒で、来年は帝国軍に入隊することが決まっている。本人は国家警備隊志望らしい。叔父さんは次期元帥に育て上げたかったようだが、本人にその意思がまったくないため残念がっていた。
「毎朝毎朝、よくもまぁ飽きずに起こしにきてくれるもんだ。助かってるぜありがとよカズ」
そのまんま兄さんは布団の中で寝息を立て始めた。二度寝だ。台詞と行動がマッチしてない・・・
この男ぶん殴りたい・・・
とりあえず思いっきり布団を引っぺがしてやった!
「ぎゃああああああああ!目が、目がぁ!」
なにか兄さんが眩しそうにしているが気にしない。兄さんやったね!学生のうちから階級が大佐だよ!
◇◆◇◆◇
俺は剥がした布団を庭に持って行き干した。本来は兄さんが自分でやるべきことなのだろうが、あの男に布団を渡したらまた夢の人になりそうなので、いつも毎朝俺が兄さんの布団を干している。
「ヨシュア、いい加減自分で起きれるようになりな!そんなことだとカナンちゃんにも愛想尽かされるよ!」
ようやく部屋から出てきた兄さんは、叔母さんから絶賛説教中だ。だが内容が非情にまずい。叔母さんは禁句を言ってしまったことに気づき、額に手を当てる。
「カナンは天使なんだ!あの強力な布団の魔性からも解き放ってくれるに違いない!」
始まった。カナンさんの話題が少しでもでるとカナンさんの話し始める。しかも大体30分は止まらない。
カナンとは兄さんの恋人。カナン・カレブさんだ。カナンさんは兄の三つ上の20歳。俺は一度しかみたことないが銀髪の目がつり目で結構きれいな人だったことを覚えてる。
だが兄さんのカナンさんへの愛は異常だ!
恋は盲目にするとはよく言ったものだとおもう。
まず”カナンは天使だ”は比喩の天使ではなく、本気で神の使いだと思っている。
「あの美貌に美しい剣義。そしてなによりあの絹のようなプラチナブロンド!あれにはきっと敵すらにも見とれられーーーーーーーーーー」
これはしばらく止まることはなそうだから兄さんは放置しておこう。
俺は叔母さんの造ったパンケーキを食べながらふと思った。
叔母さんのパンケーキ美味しすぎか!
◇◆◇◆◇
俺は朝ごはんを食べ終わり、シャワーを浴びてから自室に戻って制服に着替えた。家を出るために再度リビングにいく。
「カナンはあのキリッとした目が、時折見せる甘えるような目もたまらない!ギャップ萌えってやつだよ!あれをされると俺は天に召されてしまうのではないかと錯覚してしまう」
兄さんは着替えもせず、ただひたすらカナンさんのことを語っていた。
カナンさんも災難だな
とはいえもう家を出る時間。この状況をいつまでも続けされるわけにはいかないので、夢から現に戻さなければならない。
俺は兄さんのデコめがけてチョップした。
「神の使い、かつてのア・・・イタッ!何をするんだカズ!」
「兄さん。カナンさんがどれだけ好きかわかったから早く準備して!ほんとに遅刻するよ」
「おーもうこんな時間か!カナンについて語ると時間を忘れてしまう。やはりカナンは・・・イタッ」
また兄さんの語りが始まっても面倒なので再度チョップをいれる。
全く懲りない兄さんだ。俺はそう思いながら家を出た。
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