神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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11.子供の癇癪

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 兵士達は銃を構えた。
 小型のハンドガンだ
 俺は2人が構えたと同時に銃ごと手を凍らせた。


「うがぁぁぁぁあ」


「なんだこれはぁぁぁ」


 2人の近衛兵達が叫んでいたが、俺は見向きもせずにミナの方へ走ってミナを抱き寄せた。


「最初から俺たちをこの場で処刑するつもりだったのか!」


「違う!誤解だ!俺たちは君たちをこの場で処断するつもりはなかった!」


「信じられるか!俺がその2人の手を凍らせてなかったら俺とミナは射殺されていた!<未来視フューチャーアイ>で視たんだ!信じてくれなくて構わない!だがその2人が銃を持っている事実は変わらない!」


 おそらく俺が倒れていたことから<未来視>は自動で発動して1人の手は凍らせていただろう。
 だけど自動発動では自分の危機だけで精一杯になり、ミナを守れなかった。能力は優れているが俺はそこまで優れていない!
 たまたま気づけて守れたんだ。俺はミナを抱き寄せてる手に力を入れる。


「悪いミナ。ここから脱出する。ここはもう信用できない」


「うん。ヨシュ兄やマーフィーさんがわたし達を殺そうとしてたなんて信じられないけど、殺されたかけたのは事実だし・・・」


 俺だって信じたくない。今だって何かの冗談であればと思う。でもこの場でいつまたミナが狙われるかわからない。なにを話すにしても一時離脱は確定だ。


「待て!こちらに非があるから武装解除はする!頼むから話を聞いてくれ!」


「殿下あんたにならって逆に聞く。殺そうとした相手のことをどうして信じられるんだ?」


「くっ!自分の先ほどの言動と行動が恨めしいよ!仕方ない。ヨシュアはヒューゲルを保護してくれ。マーフィーは真壁を無力化してくれ」


「何が保護だ!実際は保護なんて建前で個別に処刑したいだけだろうか!」


 仮に保護が事実だったとしても、あの二人以外が暴挙に出ないとは限らない。
 しかし俺は後悔する。叔父さんと兄さんだけを警戒していてもう一人に全く警戒していなかった。
 <未来視>が発動するが俺は避けきれない。


「ごめんね。和澄くん」


 ――――――ドゴォォォン
 俺はカナンさんに吹き飛ばされた。光速移動とか対処しきれない。ミナは俺を殴ったと同時にカナンさんが抱え込んでいた。


「カズくん!?離してカナンちゃん!どうしてカズくんに攻撃するの!なんでよ・・・わたしたちなにもしてないのに!」


「ごめんね、事情はあとで話すから・・・」


 そうカナンさんはいうと首に手刀をいれてミナの意識を刈り取った。


「ミナァ!くそぉ!ミナを返せ!」


 俺は叫んだ。吹き飛ばされて全身が多少痛かったが、ミナを奪われてそれどころではない。
 けれど俺は吹き飛ばされた先で叔父さんと兄さんと殿下、そして陛下に囲まれていて、ミナを助けにいけなかった。非常にまずい状況だ。


「落ち着けカズ。俺たちはお前たちを殺そうとしたわけじゃない。頼むから落ち着いて話を聞いてくれ」」


「俺はいたって冷静だよ兄さん!話し合いの場にミナがいなくてもいいだろ!この場は逃がしてあとで俺がひとりで事情聴取でも何でも受けるよ!わかるだろ?ここには信用できない奴らが多すぎる!頼むからどいてくれ」


 続けて叔父さんも俺を説得するために口を開く。


「和澄。ミナちゃんには危害を一切加えないと誓おう。すまなかった。こんな状況になるとは思って居なかったんだ。これはお前達を思っての行動なんだ。ここで逃走したら本当に国家反逆罪になるぞ」


「構わない!ミナを危険なところに置いておくよりよっぽどマシだ!」


 そう、俺は少なくとも今はこの場にいる人達を少しも信用できていない。いくら正論を並べられようとも命の危険に晒されたことに変わりがない。
 俺は逃走手段を考える。ミナを奪還は大前提だ。そのあとはどうするか。
 天井に穴をあけて逃走する?無理だ。カナンさんに追いつかれる。
 全員を凍らせて逃走する?無理だ。ここにいる人達全員を凍らせると俺自身も動けなくなる。
 そのまま正面突破で逃走する?無理だ。ここにいる人たちから逃げるので精一杯なのに門番達まで相手にして逃げ切れるとは思えない。
 俺は他にも逃走手段が思い浮かんだが、どれも現実的ではなかった。


「逃げられる要素がないな・・・。それでも俺は諦めない!」


 そういって俺は電撃を身体に纏う。考えた中でも一番マシな手段、全員を感電させて動けなくした後に逃走することだ。けれどこの手段は・・・


「その手段はここにいるほぼ全員を無力化できるだろうな。しかし悪手だ。余は目<絶対根性ウィズスタンド>を用いて耐えてやる。そして余のブレードは神属性だ。即座に治療して全員動けるようになるぞ。我々が悪かった。ここは穏便に話し合おう。そなたとて子供じゃあるまい?」


 帝国民なら誰もが知っている。皇帝陛下の目<絶対根性>はあらゆる無力化状態を一度耐えるという能力。その能力は致命傷にまで及び、頭を飛ばされても数分動けるという。
 そしてあらゆる病気、怪我を治す神属性の希少ブレード。不治の病や致命傷まで治療できると聞く。
 まさに鬼に金棒だ。
 この2つを用いて、陛下はユーラシア大陸全土をほとんど1人で統一した。
 そうだ、弱点という弱点がない皇帝陛下と相対したら、逃げる以外に選択肢すらないのだ。


「それでも俺は・・・俺はぁぁぁ!」


 俺はもうほとんど考えなしに電撃を飛ばしてた。子供じゃあるまい?知るか!まだ俺は13歳なんだ。勝てない相手の前だろうが知らない!殺されそうな好きな子を守ろうと思って何が悪い!

 ―――ピキッ!

 何かなってはいけない音がしたが、俺は何も考えずただ全力で電撃を放出していた。唯一の皇帝陛下に勝つ方法、神属性を扱えなくなるまでエネルギーを放出させることに俺はかけた。


「くっ!真壁のせがれだから計算高い者と思っていたが、感情に流されやすい性格なのか!ルナト以外全員下がっておれ!」


「うぁぁぁぁぁ・・・ウグゥゥゥグガァァァ」


 ―――カチャリ
 なんだこれは気持ち悪い。
 なにか開けてはいけないものを無理やり開けてしまった。そのような感じだ。そういえばエネルギーを空っぽになるまで使用したことなかったな・・・
 そこで俺の意識は闇に落ちた。
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