神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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12.兄として

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陛下と殿下の疑いを解くために父さんはわざと攻撃した。おそらく致命傷になる攻撃を。カズが予知して避けると信じているからの一撃だ。
 内心は心配だった。俺だって父さんの攻撃を見切るのは難しい。
 
 
 ーーーなぁ魔眼所持者と隠している和澄くん?


 ーーー!?なぜ殿下が知っているんだ!?カズは他の魔眼所持者と違って模様で判断できない。父さんが言った?ありえない。父さんは家族を売るような真似はしないはずだ。
 父さんは目を瞑っている。おそらく驚いているのを隠すためだ。今、カズに悟らられば台無しになる。俺も悟られないように静観した。
 しかし不幸は続く。皇帝の近衛兵達が2人に向かって発砲しようとしたのだ。
 カズがブレードを使い、兵達の手を凍らせて最悪の事態は免れた。あの2人の敵意は俺たちにまで感じられる。
 そしてカナンに吹き飛ばされたカズを4人で取り囲み説得を試みる。



「落ち着けカズ。俺たちはお前たちを殺そうとしたわけじゃない。頼むから落ち着いて話を聞いてくれ」


「俺はいたって冷静だよ兄さん!話し合いの場にミナがいなくてもいいだろ!この場は逃がしてあとで俺がひとりで事情聴取でも何でも受けるよ!わかるだろ?ここには信用できない奴らが多すぎる!頼むからどいてくれ」


 逃げた後どうするかを全く考えていない。全然冷静じゃなかった。それはそうだ。あの時、カズが魔眼所持者とバレてしまった時に弁明するべきだった。カズはまだまだ子供なんだ。信用している大人の意図を汲み取るなんて子供はしない。信じていて裏切られたって事実だけだ。今、カズはミナちゃん以外の全員が敵に見えているだろう。
 結局カズは、誰の説得も受け入れずにがむしゃらに電撃を放出していた。おそらく無意識だろうが陛下しか狙っていない。陛下は能力でなんとかなるだろうけど、殿下は別だ。なぜ残したのか違和感を感じるが、すぐにその思考は霧散する。


 ―――カチャリ

 なんだ!?鍵が開くような音がなる。
 するとカズの周りに黒い風が吹き、しばらくして止みカズが立っていた。
 手にはまてあったナックルグローブ型のブレードはなく、代わりに父さんがつかってるくらいの大きな剣を所持していた。服装も変わっている。
 目は虚で意識があるのかわからない。
 というかあれはカズなのか?放っている緊張感プレッシャーが尋常じゃない。


「アァァァア!ミ・・ナヲ・・・タス・・・ケル・・ジャ・・マヲ・・・・スル・・ナァァァ!」


 カナンほどではないけど、恐ろしい速度で陛下に突撃し持っていた剣で斬りかかるカズ。
 しかし陛下の武器は刀型で、間合いの速さはこの場にいる誰よりも速かった。
 移動速度こそ速かったが、カズは陛下に傷をつけることなく後ろに跳躍した。


「驚いた。彼奴きゃつめ、剣に電撃を纏わせておったわ!今までブレード所持者の暴走でこんなことはなかったわい」


「何かが開くような音がしたことも関係あるのかもしれない陛下」


 どうやら2人はカズ以外のブレード所持者が暴走するところを見たことがあるみたいだ。再び陛下とカズは相対する。

 
「父さん!カズの暴走はどうやって止められるの?俺たちの所為で追い詰めてしまったんだ!助けないと」


「・・・よく聞けヨシュア」
 

「父さん?」


 嫌な予感がする。ブレード所持者の暴走を止める手段がないとか言わないよな?頼む言わないでくれ。


「過去にブレード所持者が暴走した例がいくつもある。そして止めた例もな」


「よかった!止める方法があるってことだね。教えてくれ」


「・・・ブレード所持者の首と胴を切り離す、だ」


「父さん!?それってカズを殺せってこと?俺たちの所為であんなになったのに?」


「・・・そうだ!」


 俺は後悔した。目の前で俺のことを兄さんと慕ってくれていた子が暴走していて止める手段が殺すしかないという。
 あのとき殿下が言った言葉で俺たちに疑いをかけたとしても、話を聞いてくれるとどこかで思っていたんだ。
 カズじゃなくても裏切られた上に殺されかけたら、冷静じゃいられなくなる。しかも好きな人も狙われたとなったら誰も信じられなくなるのも頷ける。


「父さんは殺すしか方法がないって思うの?」


「あぁ。それがカズのためだろう。カズだって無関係の人たちに危害を加えたくはないはずだ」


「かもね!だけど見損なったよ父さん!助ける方法を少しも探そうとしてない!」


「わかるだろう!今まで暴走を止められた例がないんだ!俺は帝国軍元帥として街への被害を止める義務がある!」


「例が無いなら作ればいい!諦めるにはまだ早いんだよ!家族の1人が守れなくて何を守るってんだ!」


 カズは街に被害が出たら気に病むだろう。ミナちゃんを最優先にしてると言っても、なんだかんだ他人にも優しい子だ。
 もう俺は後悔したくない!


「正気か!もっと理性的な判断をしろ!」


「家族を殺すことが正気なら俺は異常者でいいよ。カズを救う気がないなら、俺が負けるまで父さんは手を出さないで」


 俺は間違ってた!だからこれ以上は間違えない!カズを救う!誰がなんと言おうと知ったことか!俺はかわいいと仲直りするとそう決めた!


「陛下は下がってください。これはブレード所持者の暴走なんかじゃない。ただの子供の癇癪です。弟のことくらい俺がなんとかします」


「マーフィーのせがれか。悪いことは言わん。余以外は一回の鍔迫り合いでおそらく戦闘不能だ」


「なりませんよ。この場にいる誰よりも速いわたしもいます」


「ーーーカナン」


 ミナちゃんは父さんが抱えている。
 そうか。カナンも一緒に戦ってくれるなら心強い!


「彼はわたしの義弟おとうとになる子よ。わたし昔から下の子がほしかったの!だから絶対に助かるわよヨシュア」


「あぁ勿論だ!そういうことです陛下。ここは俺たちに任せてくれませんか?」


「・・・若いのぉ。あいわかった。お前たちの尻拭いは余がしてやる!思う存分好きにしろ!」


「「感謝します」」


 俺とカナンはそう言って、陛下と入れ替わるようにカズの前に立つ。
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