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72.命がけの切り札
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祐樹とヨシュアは絶望的な状況に陥っていた。
転位もできずに巨大な氷が上から降ってくるのだ。
回避する方法がない。
「ヨシュア!頭を抱えて伏せ、そして俺を氷のところまで転位させろ!」
「え、わかった!頼むぞ祐樹!」
祐樹が何をしようとしてるかわかったヨシュア。
そうしてしゃがみ込み、祐樹を氷の所に転位させた。
転位した祐樹は氷に触れ、<爆弾作成>により氷を爆弾に変える。
「よし!俺を地面に転位させろ!」
「おう!」
祐樹は氷を殴り、すぐさまヨシュアは祐樹を地上に転位させる。
そして祐樹もヨシュアと同じように頭を抱えてしゃがみこんだ。
二人の頭上で氷が炸裂し、耳が痛くなるような爆発音が帝国中に響き渡った。
◇◆◇◆◇
「くそっ!兄さん!祐樹ぃ!」
「我の事以外を気にかけるとは余裕だな」
「チッ!」
右から左脚のキック。左からは剣の斬撃。
人外の速度を出してる俺に対応して攻撃を繰り出してきてつらいな。
回避だけに重点を置けばギリギリ回避できる速度の動きをするアダムさん。
しかし攻撃を繰り出せば一撃で殺られる。
そんな確信があったから避けるだけでいた。
それだけで事態に気づいた帝国軍が来る可能性があるし。
「いってぇ・・・ヨシュア無事か?」
「何を言ってるか聞こえん。鼓膜が破れたんだ」
二人とも無事か。よかった。
「ほぉ。あの攻撃を回避するとは。人の身でよくやる。だが・・・」
なに!?急に速度が上がった!?
ヤバイヤバイ。これは回避し切れない。
身体に少しずつ傷がついていく。
忌纏の強化がまるで意味が無い。
くそったれ!切り傷くらい許容だ!
「ダメージが入るようになってきたな?そろそろおとなしく殺されたらどうだ?痛みは一瞬で終わらせてやる」
俺は左腕に大量の切り傷を受けていた。
忌纏は砕けていないけど、斬撃が直撃している。
けれどそれでも致命傷にはなってない!
諦めるにはまだ早い!
「余計なお世話だ!あんたこそ自分の思い人を刺して心が痛まないのか!」
「少年は人形にナイフを刺して心が痛むのか?」
何を言ってるんだ?
痛むに決まってるだろ!
一般的な思考を持っていたら痛む。
それにイヴさんが仮に複製体だとしても命だぞ!
「命をなんだと思ってるんだ!」
「すべての生は死ぬために生まれる。故にそこで人生の幕が閉じても目的を達せられたと言えるだろ?」
「ふざけんなぁぁあ!」
俺は怒りでおかしくなりそうになる。
死ぬために生まれる?違うだろ!
死ぬまでに何かを残すために生まれるんだ!
「理不尽に奪って良い命なんて何一つない!」
「神に命を語るか。それにきれい事だな。傲慢の塊だ。害虫を殺したことはあるだろう?あれだって別に自分の身を守るためにやってることだ」
「知ってるさ!きれい事?傲慢?結構だね!俺は大人じゃねぇんだ。夢物語をみて何が悪い!守れる命を守って何が悪い!」
「そういう夢物語を語るのは一億年ほど早い!」
左の拳!?
今まで斬撃や、蹴りばかり意識していた俺は反応が遅れた。
やべっ!避け切れない!
俺は思いきり吹き飛ばされ、バウンドして地面に叩きつけられる。
「いってぇ・・・」
肋骨はもうダメだな。しかも所々筋肉まで引きちぎれてる。
無理な動きをしたからだ。
こんなにも・・・遠いのか、神の背中は。
ちくしょぉ・・・
「よく保ったよ少年。だがこれで終わりだな。さよならだ」
俺の首に剣を振り下ろすアダムさん。
避ける余裕もない。
これは走馬灯か?
ミナの顔が浮かんでくる。
あぁミナに俺の気持ち伝えておけばよかった。
「馬鹿野郎が!諦めるな和澄!!」
ルナトの声がする。
そうだ!まだ終われない!
俺は無理矢理身体を横に回転させて避ける。
「ほぅ。仲間の声で痛みに耐えて避けるか」
「助かったよルナト。くっ!まだ強くなるのかこいつ」
感心そうに言うアダムさんだが、殺気が先ほどよりも跳ね上がる。
「大丈夫だ。今度は私も加勢する。これで2対1だ」
「数の有利が戦闘の有利なると思っている辺り人間なのだ。君たちでは我には勝てない」
くっ。緊張感がさっきよりもヤバイ。
一般人がライオンに檻なしで睨まれている感じだ。
そうだイヴさんは大丈夫なのか?
「イヴさんの様子はどうだルナト?」
「自分の神属性でなんとか治療は済んでる。危険な状態だが、ここを無事脱出することができればメアリーか父上に看てもらっていただこう」
無事ねぇ。正直逃げるどころか、下手したらアダムさんの気分一つで帝国が滅ぶぞ。
なんでアメリカとの戦争以外でこんな恐怖を感じないといけないんだ。
「正直、私達が生き残れるかどうかはわからないけどな」
「そんなこと言うなよ。生き残るぞ全員で」
絶望的なのはわかってる。
でもあの化け物を前にして虚勢を張らないとどうにかなってしまいそうなんだ。
「怖いのだなお前も」
「そういうルナトもか?」
「あぁ」
やっぱルナトでも怖いんだな。
そりゃそうか。
イヴさんや師匠があーも簡単に無力化されちゃ。
アダムさんは動こうとしない。
俺達の話を終わるまで待っていてくれているのか。
いや、俺達がどれだけ奥手のを使っても勝てると思ってるんだろうな。
「覚悟を決めるか。あれやるぞ。お互い死んでも恨みっこなしだ」
「わかった。付き合うぞ和澄。あと死んだら私はお前を恨むからな」
にやりと俺に語りかけるルナト。
恨むなよって言ってやりたいけどこればかりは仕方ない。
ごめんミナ。
もしかしたら帰れないかもしれない。
もう二度とおんぶしたり、頭を撫でたり、慰めたりできないかもしれない。
ごめんライ。
毎日電気を作ってやるって言ったのにな。
もし俺が死んだらミナと一緒に泣いてくれな。
ごめんソルティア。
お前の最愛の人は俺と共に還らぬ人になるかもしれない。
けど俺はそれを止めることができない。
「最期の別れの言葉は済んだか?」
「はんっ!最期になるかはわからねぇよ!エイダム!」
俺はエイダムを殺す。
俺の意思かどうかはわからないが、少なくとも俺は殺すつもりで行く!
「和澄行くぞ!お前の友であってよかった!」
「あぁ!俺もだ!」
命がけの行動に付き合ってくれる。
いいなこういうの。
俺とルナトはブレードに手を置く。
そう・・・俺達がやろうとしていることは。
「おい!和澄!ルナト!それがどうなるかわかっててやってるのか!」
「もちろんだ。あんまり決意を鈍らせるなよ祐樹」
わかってるさ。俺達はブレードを意図的に暴走させようとしている。
それは例えエイダムを倒せたとしても、帝国軍に殺される可能性がある。
けれど勝機はもうこれしか残ってない!
何もしないよりかマシだろう!
「おい、カズ!殿下!」
ヨシュア兄さんが歩いて俺に近づいてくる。
鼓膜が破れているから俺達の言葉は届かないだろうけどやろうとしていることはわかっているのだろう。
頼むから止めてくれるなよ。
「水くさいな。俺も付き合うぜ」
「ヨシュア・・お前まで正気か!?」
祐樹がヨシュアに向かって叫ぶ。
そしてヨシュア兄さんもブレードに手を置く。
「正気じゃねぇよ!命をかけるなんて馬鹿のすることだ!」
「俺もそう思うよ兄さん。カナンさんを悲しませるかもしれないけどいいの?」
「カナンとは永遠に再開できないかも知れない。本当にいいのかヨシュア?」
「カナンに対しての心残りがないとは言えない。けどお前達のことをただ見てるだけ失うってのも嫌なんだ」
兄さんがルナト相手にタメ口。
これで死ぬかもしれないし余裕もないんだろうな。
正直俺も怖い。
「そうか・・・」
それ以上ルナトはもう何も言わなかった。
次会うときは、みんなで笑い合えたらいいな。
「さぁ行くぞ二人とも!」
「「おう!」」
俺達はブレードに置いた手を時計回りに少し回転させて叫ぶ。
――――――ピキッ!
鳴ってはいけない音がする。
この音は警告なのかもな。
「「「施錠」」」
――――――カチャリ
相変わらず気持ち悪い。
本当にこれは開けちゃいけない何かだな。
けどここを切り抜ける希望はもうこれしかない。
そして俺達はそれぞれ黒い竜巻に巻き込まれる。
俺はその竜巻に巻き込まれたところで、意識が闇に落ちた。
転位もできずに巨大な氷が上から降ってくるのだ。
回避する方法がない。
「ヨシュア!頭を抱えて伏せ、そして俺を氷のところまで転位させろ!」
「え、わかった!頼むぞ祐樹!」
祐樹が何をしようとしてるかわかったヨシュア。
そうしてしゃがみ込み、祐樹を氷の所に転位させた。
転位した祐樹は氷に触れ、<爆弾作成>により氷を爆弾に変える。
「よし!俺を地面に転位させろ!」
「おう!」
祐樹は氷を殴り、すぐさまヨシュアは祐樹を地上に転位させる。
そして祐樹もヨシュアと同じように頭を抱えてしゃがみこんだ。
二人の頭上で氷が炸裂し、耳が痛くなるような爆発音が帝国中に響き渡った。
◇◆◇◆◇
「くそっ!兄さん!祐樹ぃ!」
「我の事以外を気にかけるとは余裕だな」
「チッ!」
右から左脚のキック。左からは剣の斬撃。
人外の速度を出してる俺に対応して攻撃を繰り出してきてつらいな。
回避だけに重点を置けばギリギリ回避できる速度の動きをするアダムさん。
しかし攻撃を繰り出せば一撃で殺られる。
そんな確信があったから避けるだけでいた。
それだけで事態に気づいた帝国軍が来る可能性があるし。
「いってぇ・・・ヨシュア無事か?」
「何を言ってるか聞こえん。鼓膜が破れたんだ」
二人とも無事か。よかった。
「ほぉ。あの攻撃を回避するとは。人の身でよくやる。だが・・・」
なに!?急に速度が上がった!?
ヤバイヤバイ。これは回避し切れない。
身体に少しずつ傷がついていく。
忌纏の強化がまるで意味が無い。
くそったれ!切り傷くらい許容だ!
「ダメージが入るようになってきたな?そろそろおとなしく殺されたらどうだ?痛みは一瞬で終わらせてやる」
俺は左腕に大量の切り傷を受けていた。
忌纏は砕けていないけど、斬撃が直撃している。
けれどそれでも致命傷にはなってない!
諦めるにはまだ早い!
「余計なお世話だ!あんたこそ自分の思い人を刺して心が痛まないのか!」
「少年は人形にナイフを刺して心が痛むのか?」
何を言ってるんだ?
痛むに決まってるだろ!
一般的な思考を持っていたら痛む。
それにイヴさんが仮に複製体だとしても命だぞ!
「命をなんだと思ってるんだ!」
「すべての生は死ぬために生まれる。故にそこで人生の幕が閉じても目的を達せられたと言えるだろ?」
「ふざけんなぁぁあ!」
俺は怒りでおかしくなりそうになる。
死ぬために生まれる?違うだろ!
死ぬまでに何かを残すために生まれるんだ!
「理不尽に奪って良い命なんて何一つない!」
「神に命を語るか。それにきれい事だな。傲慢の塊だ。害虫を殺したことはあるだろう?あれだって別に自分の身を守るためにやってることだ」
「知ってるさ!きれい事?傲慢?結構だね!俺は大人じゃねぇんだ。夢物語をみて何が悪い!守れる命を守って何が悪い!」
「そういう夢物語を語るのは一億年ほど早い!」
左の拳!?
今まで斬撃や、蹴りばかり意識していた俺は反応が遅れた。
やべっ!避け切れない!
俺は思いきり吹き飛ばされ、バウンドして地面に叩きつけられる。
「いってぇ・・・」
肋骨はもうダメだな。しかも所々筋肉まで引きちぎれてる。
無理な動きをしたからだ。
こんなにも・・・遠いのか、神の背中は。
ちくしょぉ・・・
「よく保ったよ少年。だがこれで終わりだな。さよならだ」
俺の首に剣を振り下ろすアダムさん。
避ける余裕もない。
これは走馬灯か?
ミナの顔が浮かんでくる。
あぁミナに俺の気持ち伝えておけばよかった。
「馬鹿野郎が!諦めるな和澄!!」
ルナトの声がする。
そうだ!まだ終われない!
俺は無理矢理身体を横に回転させて避ける。
「ほぅ。仲間の声で痛みに耐えて避けるか」
「助かったよルナト。くっ!まだ強くなるのかこいつ」
感心そうに言うアダムさんだが、殺気が先ほどよりも跳ね上がる。
「大丈夫だ。今度は私も加勢する。これで2対1だ」
「数の有利が戦闘の有利なると思っている辺り人間なのだ。君たちでは我には勝てない」
くっ。緊張感がさっきよりもヤバイ。
一般人がライオンに檻なしで睨まれている感じだ。
そうだイヴさんは大丈夫なのか?
「イヴさんの様子はどうだルナト?」
「自分の神属性でなんとか治療は済んでる。危険な状態だが、ここを無事脱出することができればメアリーか父上に看てもらっていただこう」
無事ねぇ。正直逃げるどころか、下手したらアダムさんの気分一つで帝国が滅ぶぞ。
なんでアメリカとの戦争以外でこんな恐怖を感じないといけないんだ。
「正直、私達が生き残れるかどうかはわからないけどな」
「そんなこと言うなよ。生き残るぞ全員で」
絶望的なのはわかってる。
でもあの化け物を前にして虚勢を張らないとどうにかなってしまいそうなんだ。
「怖いのだなお前も」
「そういうルナトもか?」
「あぁ」
やっぱルナトでも怖いんだな。
そりゃそうか。
イヴさんや師匠があーも簡単に無力化されちゃ。
アダムさんは動こうとしない。
俺達の話を終わるまで待っていてくれているのか。
いや、俺達がどれだけ奥手のを使っても勝てると思ってるんだろうな。
「覚悟を決めるか。あれやるぞ。お互い死んでも恨みっこなしだ」
「わかった。付き合うぞ和澄。あと死んだら私はお前を恨むからな」
にやりと俺に語りかけるルナト。
恨むなよって言ってやりたいけどこればかりは仕方ない。
ごめんミナ。
もしかしたら帰れないかもしれない。
もう二度とおんぶしたり、頭を撫でたり、慰めたりできないかもしれない。
ごめんライ。
毎日電気を作ってやるって言ったのにな。
もし俺が死んだらミナと一緒に泣いてくれな。
ごめんソルティア。
お前の最愛の人は俺と共に還らぬ人になるかもしれない。
けど俺はそれを止めることができない。
「最期の別れの言葉は済んだか?」
「はんっ!最期になるかはわからねぇよ!エイダム!」
俺はエイダムを殺す。
俺の意思かどうかはわからないが、少なくとも俺は殺すつもりで行く!
「和澄行くぞ!お前の友であってよかった!」
「あぁ!俺もだ!」
命がけの行動に付き合ってくれる。
いいなこういうの。
俺とルナトはブレードに手を置く。
そう・・・俺達がやろうとしていることは。
「おい!和澄!ルナト!それがどうなるかわかっててやってるのか!」
「もちろんだ。あんまり決意を鈍らせるなよ祐樹」
わかってるさ。俺達はブレードを意図的に暴走させようとしている。
それは例えエイダムを倒せたとしても、帝国軍に殺される可能性がある。
けれど勝機はもうこれしか残ってない!
何もしないよりかマシだろう!
「おい、カズ!殿下!」
ヨシュア兄さんが歩いて俺に近づいてくる。
鼓膜が破れているから俺達の言葉は届かないだろうけどやろうとしていることはわかっているのだろう。
頼むから止めてくれるなよ。
「水くさいな。俺も付き合うぜ」
「ヨシュア・・お前まで正気か!?」
祐樹がヨシュアに向かって叫ぶ。
そしてヨシュア兄さんもブレードに手を置く。
「正気じゃねぇよ!命をかけるなんて馬鹿のすることだ!」
「俺もそう思うよ兄さん。カナンさんを悲しませるかもしれないけどいいの?」
「カナンとは永遠に再開できないかも知れない。本当にいいのかヨシュア?」
「カナンに対しての心残りがないとは言えない。けどお前達のことをただ見てるだけ失うってのも嫌なんだ」
兄さんがルナト相手にタメ口。
これで死ぬかもしれないし余裕もないんだろうな。
正直俺も怖い。
「そうか・・・」
それ以上ルナトはもう何も言わなかった。
次会うときは、みんなで笑い合えたらいいな。
「さぁ行くぞ二人とも!」
「「おう!」」
俺達はブレードに置いた手を時計回りに少し回転させて叫ぶ。
――――――ピキッ!
鳴ってはいけない音がする。
この音は警告なのかもな。
「「「施錠」」」
――――――カチャリ
相変わらず気持ち悪い。
本当にこれは開けちゃいけない何かだな。
けどここを切り抜ける希望はもうこれしかない。
そして俺達はそれぞれ黒い竜巻に巻き込まれる。
俺はその竜巻に巻き込まれたところで、意識が闇に落ちた。
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