神世界と素因封印

茶坊ピエロ

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80.後遺症の確認と治療方針

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 ルナトが起きてから三日が経ち、兄さんも目が覚めた。


「兄さん。おはよう。痛いところある?」


「いや、身体が少し重いな。エイダムはどうなった?」


「エイダムは倒せなかった。俺達は三人とも死にかけたよ」


 まぁそれでも生き残った。
 俺達は最強の神を相手にして、ブレードを暴走させても、全員生き残ったんだ。


「本当にヨシュアを無茶をして!わたし未亡人になるところだったじゃないの!」


「いやまだ結婚してないから未亡人じゃ・・・」


「うるさい!言い訳しない!」


「あ、あぁごめんなカナン」


 素直に謝ればよろしいといってカナンさんは泣きながら兄さんに抱きついた。
 恋人が死にかけたんだ。当たり前か。
 兄さんはカナンさんを泣き止むまで撫でていた。


「でも悔しいな。俺達じゃ相手にならないか」


「そのためにも修行を付けよう。これからアメリカが帝国に攻めてくる。猶予はあと三日だ」


「三日!?早過ぎませんか!?」


「まぁ兄さんは10日も寝てたしね。ルナトはまずブレードを起動しないと。なんで起動できないんだろうな?」


 兄さんは自分がそんなに寝ていたことに驚いていた。
 ルナトは未だに自分のブレードを起動できずにいた。
 暴走させた影響なのだろうか?
 それとも後遺症の影響か、それはわからない。


「殿下はブレードを起動できてないんですか?」


「エイダムとの戦闘前みたいにラフな口調で構わない。理由はわからないが起動できないんだ。ヨシュアはどうだ?」


「そうか?じゃあこれで。俺のブレードはまずどこだ?」


 そうだ兄さんのブレードを持ってこないと。
 俺はリビングに取りに行った。
 リビングではミナとソルティアがネネちゃんとバンシー族の女の子。
 実は昨日この子と俺はパートナーになった。


「クラ~。兄さんも無事目覚めたぞ」


「お兄ちゃんほんと?よかった!」


 名前はクラ。
 英語で泣くって意味から取った。


「お兄ちゃんのお兄ちゃん目が覚めてよかったねー」


「あぁ。ネネちゃんも看病手伝ってくれてありがとうな」


「うん!」


 ネネちゃんも俺とイヴさんが修行しているときシーツを直したり、額のタオルを変えたりしてくれていた。
 この子もクラもいいこだなぁ。 
 

「ヨシュ兄なんともない?」


「あぁミナ。大丈夫そうだったぞ」


「本当によかった。やっぱり親しい人が苦しむのは嫌だし」


 たしかに後遺症なんかがあったら、軍に就職しようとしてる兄さんには苦だな。


「カズさん。上にルナト様もいるんですの?」


「あぁいるぞ。てか祐樹達はどうした?」


「外で組み手とか訓練してますわよ」

 あぁー。あいつら三日後俺達と共闘して母国と敵対するからか。
 俺が帝国と敵対するってなったら・・・まぁ負けないように訓練するか。


「そうか。まぁとりあえず兄さんもブレード起動できなくなってないか確認するから、兄さんのブレード出してくれ」
 
 
 ミナが頷くと、倉庫からブレードを持ってきてくれた。
 そして後ろには外にいたっぽいメアリーさんがついてくる。


「ヨシュアくん起きたのね。わたしも状況をみたいから上行くわ」


「はいメアリーさん。じゃあミナとソルティアはネネちゃんとクラをよろしく」


 ちなみにイヴさんは今、師匠の元に行っている。
 昨日、一昨日は俺の修行を付けてくれて、さっきワーゼさんを迎えに行くついでに、師匠に裏七属性の話をしに行くそうだ。


「兄さんはいこれ」


「ありがとなカズ」


「ブレード起動する前に身体検査よ」


「わかりましたメアリーさん。命を救ってくれてありがとうございました」


「わたしはなにもしてないわよ。御礼はアンデルさんとあのとき駆け付けた医者の人に言いなさいな」


「医者ですか?一体誰が?」


「たしか医療棟から呼んできた医者だから、マルフォイだったかしら?あなたのお父さんの治療もした人よ」


 そっか。叔父さんも腹に傷を負って出血多量だったな。


「あなたの場合は処理が早かったからよかったけどね。未だにマーフィーさんは眠っているそうよ」


 叔父さんはまだ昏睡状態だ。
 いつ目覚めるかもわからないらしい。
 アメリカへの攻撃作戦は、叔父さんが目覚めるまで延期になるという話だったが、六日後にアメリカが攻撃を仕掛けてくるとわかったので、それに合わせて戦力が手薄になったところを攻めることになった。
 俺としてはこれで命の危険がある作戦に参加しなくて済んでよかったとは思うけど。


「なんともないみたいね。傷口が開くこともないでしょうこれで」


「そうですか。ではあと三日しかないから早速修行を――――」


 ――――――ドスン!
 何事だ!?
 外からでかい音がする。


「メアリー!メアリーはいるかぁ!」


 師匠の声?
 でも心なしか焦りの声がする。
 俺達はリビングに降りていく。
 そこで見た者は衝撃的な者だった。


「あ、カズくん・・・」


「か・・・母さん?」


「両腕が・・・!すぐに寝室に連れて行きます」


「わかった!まだ息はあるが、海を渡ってきたそうじゃ。血液が不足するかも知れん」


「それはまずいです!和澄くん。輸血の準備をするわ。あなたの血を貰うわよ」


 俺は放心していたが、ミナが頬を叩いて我に返る。


「はいわかりました!母さんをお願いします!」


 そして母さんを女性の寝室へと運び込む。
 俺は輸血用の血をギリギリまで献血した。
 家族で血液型も同じの母さんに後遺症が残らないためにも俺の血が一番いいだろう。


「息が止まった!アンデルさん心肺蘇生を」


「わかった!戻ってこい静江!」


 嘘だろ――――母さん!


「呼吸が戻り次第神属性で傷を塞ぎます」


「戻ったぞ!頼むメアリー」


 そして30分にもわたり治療は続いた。
 俺は貧血になるまで血液を取り出してメアリーさんに渡し、輸血を行う。
 一時間もすると母さんの呼吸は安定した。


「もう大丈夫よ。山場は超えたわね。しかし最悪の環境で捕らえられていたみたいね。女性の尊厳を重んじない酷い傷だったわ」


「香澄が居なくてよかったのぉ。これをみたら作戦決行前にすぐにアメリカに攻撃を仕掛けるところじゃったわい」


 何はともあれ生きていてよかった。
 父さんはどうなったんだろうか?


「ん?ここは?」


「治療したばかりなのにすぐ目を覚ますとは」


「わたしが薬を打ちました。すぐに覚醒するように。意識を手放したら死んでしまいかねませんでしたから」


「なるほどのぉ」


 母さんが目覚めた!
 俺は思わず母さんに飛びついてしまった。


「よかった母さん」


「和澄・・・そうかわたしは帝国にたどり着けたのね。ごめんね。お父さん死んじゃった」


 そして母さんは泣き始める。
 もう抱きしめてくれる両腕はないけれど、生きていてくれただけで、この温もりがまた味わえただけで本当に。


「ごめんなさい静江さん。両腕は神属性で再生することができないので」


「メアリー。久しぶりね。ありがとう」


「いえ。よかったです。あなただけでも助かって」


「あなたの夫が亡くなってることは・・・?」


「存じてます」


「ごめんなさい。手の届くところにありながら・・・」


 俺は映像を見てはいないけど、これで父さんもミナのお義父さんも死亡が確定した。
 ミナがここにいなくてよかった。
 また思い出してしまうところだった。


「静江。悪いが、アメリカの状況について教えてくれ」


「わたしの知る限りでよければ」


 そして驚くべき事を聞く。
 いや聞きたくなかった。
 母さんは捕らえられていた場所で斑鳩を含めた看守達に辱めを受けたそうだ。
 しかも毎日。
 母さんは斑鳩から隙を突いて逃げ出してきたらしい。


「でも和澄が無事でよかったわ。彼、貴方を殺しに行くって言ってたもの」


「静江よ。安心しろ。おそらく今の和澄には儂でも勝てる気がせん。イヴすら昨日は手も足も出なかったそうだからな」


 イヴさん話したんだ。
 俺は昨日、イヴさんに勝利した。
 それも圧倒的差で。


「なにかの冗談ですか?」


「冗談じゃないぞ。あいつの悔しい顔と来たら」


「イヴさんってまず誰ですか?」


 苦笑いして聞く。
 そっか。母さんはまだイヴさんについて知らないんだ。


「おぉそうじゃったな。まずはイヴについて話すぞ」


 そしてアンデル師匠と俺でイヴさんについて話を始めた。
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