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皇宮での邂逅
皇太子殿下という俺を受け入れるためにⅢ(フェリクス視点)
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「あれを見たから、お前は皇帝を、この父を無力と思い、皇太子としての努力を怠るというのか?ふざけるな!」
父上が、理性的で穏やかで、どちらかというと内気な父上がとてつもなく怒っている。
「もはや人ではないものが起こす災害から、逃げるだけでなく、対峙し、制御せねばならない。この帝国内で、皇帝以外に誰がそんなことをやれると思う?策も無いのに逃げられない立場に身を置く責任と恐怖がお前に分かるか!?」
「あの時・・・!」
父上は絶句する。俺も、言葉が出ない。
あの時、父上はそんな気持ちでいたのか、、、。
物心ついた時は、毎日が幸せだった。
皇帝陛下と呼ばれる父上は世界で一番偉くて、母上は世界で一番綺麗で優しくて、二人の愛情を一身に集める俺。
いずれは父上と同じく世界で一番偉くなり、そして、みんなを幸せにする。
なんの疑いもなく思っていた俺が衝撃を受けたのは五歳のある日の明け方の事だった。
その二三日前から天候が急に悪化し、雨交じりの強い風が吹き荒れ、客殿に泊まっていた隣国の王太子は慌ただしく帰国の途に就いた。
到着する前から準備が進められ、帝都の門では俺も父上母上と共に出迎えたし、その後も観劇や演奏会、お茶会など、友好関係を示すための華やかな行事が続いていたのに・・・帝室主催の舞踏会までは。
舞踏会の開会には俺も参加したから覚えている。とても盛況で、華やかで楽しそうな会だった。子どもは寝る時間だと、すぐに退出させられたけど。
だから、翌朝、昨日までとは一転した悪天候の中起きだした朝食の席で、執事から、王太子がこれから帰国すると聞いて、驚いたんだ。
訳を聞いてもはぐらかされるばかりだし、父上母上の姿も無い。見送ると言ったけど、とんでもないと止められて、自室に閉じ込められ、、、。結局その日は自室から出る事を禁じられた。周囲は物々しいほどの騎士で固められ、母上は時折様子を見に来てくれたけれど、訳は話してくれなくて、、、父上の姿を見ることは無かった。
二日目だか三日目だか、、、朝、起きると嵐が止んでキラキラと朝日が輝いていた。周りの大人たちの表情も心なしか明るく、何かは分からないが危機は去ったのだと、俺はホッとしたんだ。
それなのに、、、。
昼が過ぎ、夕方になるにつれ、再び周囲の緊張が高まってきて、、、とうとう俺は我慢できなくなった。
嵐が止んだ時から軟禁状態は解かれていたから、こっそり部屋を抜け出して、まずは父上母上の私室へ行ってみたら。
そこには泣いている母上を慰める侍女たちがいた。
「どうしたらお止め出来るの?このままでは、あの魔導師が戻って来た時に絶対に報復されるわ!そうなったら・・・どうしたって防ぐ手は無いというのに!」
「皇妃陛下・・・」
「少し、お休みになりますか?」
「・・・いいえ。・・・今晩は、連れてくるまで玉座の間を動かないって、宰相に仰るのをさっき聞いたわ。晩餐は無理だから、後でお食事を人数分お届けして。」
「かしこまりました。皇妃陛下。」
「私は少し落ち着いたら、フェリクスを見に行きます。あの子は聡いから、始めに一度何が起こってるか聞いて、答えなかったら二度と聞いてこなかったけど・・・きっと不安に思っていると思うのよ。笑顔で抱きしめてあげないと、ね・・・」
俺は急いで自室に戻り、夜中に抜け出すことに決めた。
自室に戻ってしばらくすると、穏やかに笑みを浮かべた母がやって来た。少し話をしてから、母と晩餐を取り、湯あみをして、いつも通り就寝する。
ひと眠りして、真夜中の騎士の巡回をやり過ごした後、身支度をしてそっとバルコニーから部屋の外に出た。
玉座の間は本宮殿でも、皇帝家族の住む内宮から最も遠い上、騎士の巡回をかいくぐって行かねばならないので時間がかかる。
しかも俺は当時五歳。物陰に隠れ、庭に降り、猫や虫に怯え、、、玉座の間にたどり着いたのは、もう空が白んでこようかという時だった。
入り口の大扉は無理だと思っていたので、皇帝一家が出入りする玉座の後ろの隠し扉から入る。父上がいるなら鍵はかかってないと思ったが、見張りの騎士がいないことに少し驚いた。
急いで扉をくぐり、控えの間に入る。ここにも全く人気が無い。
確かにこの時間に人気が無いのは当たり前だけど、、、。まさか、誰もいないのに、一人でバカをやってるのか?思わず立ち止まって周りを見回した時。反対側の緋色のカーテンの向こう、玉座の間から騒ぎが聞こえてきた。
慌ててカーテンまで近寄り、そっと覗く。
そこには、、、
部屋の両側に十数人の貴族たち、玉座の脇に宰相。そして、玉座の向こう、部屋の中ほどに立つ魔導師団長と、その周りをぐるりと囲む数十名の近衛騎士団が見えた。
父上が、理性的で穏やかで、どちらかというと内気な父上がとてつもなく怒っている。
「もはや人ではないものが起こす災害から、逃げるだけでなく、対峙し、制御せねばならない。この帝国内で、皇帝以外に誰がそんなことをやれると思う?策も無いのに逃げられない立場に身を置く責任と恐怖がお前に分かるか!?」
「あの時・・・!」
父上は絶句する。俺も、言葉が出ない。
あの時、父上はそんな気持ちでいたのか、、、。
物心ついた時は、毎日が幸せだった。
皇帝陛下と呼ばれる父上は世界で一番偉くて、母上は世界で一番綺麗で優しくて、二人の愛情を一身に集める俺。
いずれは父上と同じく世界で一番偉くなり、そして、みんなを幸せにする。
なんの疑いもなく思っていた俺が衝撃を受けたのは五歳のある日の明け方の事だった。
その二三日前から天候が急に悪化し、雨交じりの強い風が吹き荒れ、客殿に泊まっていた隣国の王太子は慌ただしく帰国の途に就いた。
到着する前から準備が進められ、帝都の門では俺も父上母上と共に出迎えたし、その後も観劇や演奏会、お茶会など、友好関係を示すための華やかな行事が続いていたのに・・・帝室主催の舞踏会までは。
舞踏会の開会には俺も参加したから覚えている。とても盛況で、華やかで楽しそうな会だった。子どもは寝る時間だと、すぐに退出させられたけど。
だから、翌朝、昨日までとは一転した悪天候の中起きだした朝食の席で、執事から、王太子がこれから帰国すると聞いて、驚いたんだ。
訳を聞いてもはぐらかされるばかりだし、父上母上の姿も無い。見送ると言ったけど、とんでもないと止められて、自室に閉じ込められ、、、。結局その日は自室から出る事を禁じられた。周囲は物々しいほどの騎士で固められ、母上は時折様子を見に来てくれたけれど、訳は話してくれなくて、、、父上の姿を見ることは無かった。
二日目だか三日目だか、、、朝、起きると嵐が止んでキラキラと朝日が輝いていた。周りの大人たちの表情も心なしか明るく、何かは分からないが危機は去ったのだと、俺はホッとしたんだ。
それなのに、、、。
昼が過ぎ、夕方になるにつれ、再び周囲の緊張が高まってきて、、、とうとう俺は我慢できなくなった。
嵐が止んだ時から軟禁状態は解かれていたから、こっそり部屋を抜け出して、まずは父上母上の私室へ行ってみたら。
そこには泣いている母上を慰める侍女たちがいた。
「どうしたらお止め出来るの?このままでは、あの魔導師が戻って来た時に絶対に報復されるわ!そうなったら・・・どうしたって防ぐ手は無いというのに!」
「皇妃陛下・・・」
「少し、お休みになりますか?」
「・・・いいえ。・・・今晩は、連れてくるまで玉座の間を動かないって、宰相に仰るのをさっき聞いたわ。晩餐は無理だから、後でお食事を人数分お届けして。」
「かしこまりました。皇妃陛下。」
「私は少し落ち着いたら、フェリクスを見に行きます。あの子は聡いから、始めに一度何が起こってるか聞いて、答えなかったら二度と聞いてこなかったけど・・・きっと不安に思っていると思うのよ。笑顔で抱きしめてあげないと、ね・・・」
俺は急いで自室に戻り、夜中に抜け出すことに決めた。
自室に戻ってしばらくすると、穏やかに笑みを浮かべた母がやって来た。少し話をしてから、母と晩餐を取り、湯あみをして、いつも通り就寝する。
ひと眠りして、真夜中の騎士の巡回をやり過ごした後、身支度をしてそっとバルコニーから部屋の外に出た。
玉座の間は本宮殿でも、皇帝家族の住む内宮から最も遠い上、騎士の巡回をかいくぐって行かねばならないので時間がかかる。
しかも俺は当時五歳。物陰に隠れ、庭に降り、猫や虫に怯え、、、玉座の間にたどり着いたのは、もう空が白んでこようかという時だった。
入り口の大扉は無理だと思っていたので、皇帝一家が出入りする玉座の後ろの隠し扉から入る。父上がいるなら鍵はかかってないと思ったが、見張りの騎士がいないことに少し驚いた。
急いで扉をくぐり、控えの間に入る。ここにも全く人気が無い。
確かにこの時間に人気が無いのは当たり前だけど、、、。まさか、誰もいないのに、一人でバカをやってるのか?思わず立ち止まって周りを見回した時。反対側の緋色のカーテンの向こう、玉座の間から騒ぎが聞こえてきた。
慌ててカーテンまで近寄り、そっと覗く。
そこには、、、
部屋の両側に十数人の貴族たち、玉座の脇に宰相。そして、玉座の向こう、部屋の中ほどに立つ魔導師団長と、その周りをぐるりと囲む数十名の近衛騎士団が見えた。
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