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皇宮での邂逅
エピソードⅣ オリヴィエ兄さまは葛藤中Ⅹ(後)
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そして沈黙。
あれ?
良い感じで話が途切れた風だけど、、、結局あの赤ん坊の相手の話はどうなるんだ?
僕の疑問は父も共有していたらしい。
オホン、とわざとらしい咳払いの後、叔父夫妻に話しかけた。
「では、他の婚約者候補を出すと言ったら・・・?」
あ、叔父は駄目だ。エレオノーラ様を抱きしめて、使い物にならないオーラを放ってる。
今日は叔父の知らない、知りたくない姿ばかり見るな。
一方でエレオノーレ様はフム、と首を傾げた。
「・・・お話ししたように、出来のいい人物ほど辛い選択となる話なので、利害が絡む政略結婚は実質無理だと。義兄上もアルの時を思い出して頂ければ、ご納得頂けると思うんですが・・・。もし、義兄上がどうしても心配で、せめて相手探しの候補に何人か選ぶ、と言う事になるとしても・・・そうですね、もう少し大きくなって、アルの性質にどの程度似ているか確認してからの相談になると思いますね。」
「分かった。陛下には現状は待機で、と伝えておこう。これからも随時報告を求めるが、構わないか?」
「もちろんです。宰相閣下。」
父は一旦引くことで納得したらしい。僕も重い役割を求められなくてよかった。これでまた心置きなく青春を謳歌出来るぞ。
ホッとして脱力した僕と違い、エレオノーレ様と父はまだ話をしている。
「そうは言っても何か考えはあるんだろう?」
「実はこの子、今のところですが、魔力以外は結構普通な気がするんです。だから心掛けているのは、彼女に家族として出来うる限りの愛情を注ぐこと。それと、誰を好きになっても恥ずかしくない教養や知識を身に着けさせること。そして、大きくなった時に、自由に相手を探す機会をたくさん与えてあげること、くらいでしょうか。」
あれ、意外と普通になってしまいましたね。
首をかしげるエレオノーレ様を見て、僕は思わず笑ってしまった。
うん。
やっぱりこの人、、、
「・・・可愛い」
思わず口をついて出た言葉は、静かな会話をしていた部屋に、意外に響いた。
空気がピリッと帯電する。
「?」
あれ、何この緊張感?
父が息を呑み、エレオノーレ様がギョッとしてる、、、そして、叔父がエレオノーレ様を抱きしめたまま、ブワッと魔力を放出させていた。
「こらっアル!」
慌てるエレオノーレ様の姿が一瞬で見えなくなり、部屋中にキラキラの火花が充満する。
眩しいほどの光の中、静かな声が聞こえた。
「オリヴィエ・・・今なんと?」
「アル!」「止めろ、アルフ!」
エレオノーレ様の声も父の声も、何だか遠く聞こえ、叔父の声だけがはっきりと頭の中に響いてくる。
「例えお前でも、男には変わりない。エレオノーレにこれ以上関心を抱くなら・・・」
あれ?
これ、やばいヤツ?
口調は穏やかなのに、殺気に体が動かない。
詰んだのか、僕はここでこの世界に別れを告げるのか・・・?
冷や汗が背中を伝った時。
「キャッキャッ。」
今度は赤ん坊の笑い声が、この場の緊張をぶった切った。
「ディアナ!」
叔父がフッと殺気を解いた。
「笑ってる。魔力の火花が好きなの?ディアナ。」
薄れてきた火花の向こう、叔父に抱き上げられた赤ん坊は、手を挙げて振り回している。魔力の火花をつかみたいみたいだ。
消えてしまうと「ふぇ・・・」
と泣き出しそうな声がした。
「あ、どうしましょう、エレオノーレ。また火花を出しましょうか?」
おろおろした叔父の声。なんだ、この変わり様は?もう僕のことなど綺麗さっぱり忘れている。
「馬鹿な事を言うな、アル。さ、おいでディアナ。父さまの魔力は綺麗だったね、さあ、そろそろおうちに帰ろうか?」
さっさと夫の手から赤ん坊を取り返したエレオノーレ様は、立ち上がると、ぐずぐず言い始めた赤ん坊をあやしながら僕と父に、目線だけ向けて、申し訳なさそうに暇を告げた。
僕も挨拶の為に立ち上がる。ふと思って、赤ん坊に近付いた。
赤ん坊が叔父の気を逸らしてくれて本当に助かった。この子に感謝しないと。
「可愛い従妹殿。御機嫌よう。」
エレオノーレ様の腕の中を覗き込んで、一見ただの不機嫌な赤ん坊、でもその実、類まれな存在の女の子に目を合わせにっこりすると。
「だぁ!」
綺麗な黄金の瞳が、僕を捉えた瞬間驚いたように見開かれ、今度は嬉しそうに、にっこり笑ってくれたのだ。
「え、オリヴィエ君、何したの?」「ほう、ディアナ嬢はオリヴィエが気に入ったか。」
驚いたように僕を見たエレオノーレ様や、目をキラッと輝かせた父はこの際置いておいて。
僕はちらっと叔父を確認した。
「!」
声にならない叫びの後、無言で僕を睨みつける叔父。
へえ。
なるほどね。
この子も、執着の対象なんだ。
じゃあさ、、、『最愛』は重くても、僕がこの子の『特別』になったら、叔父はどうするんだろう・・・。
僕は、今までご婦人方に絶大な威力のあったとびっきりの笑み、、、無邪気な年下の男の子の微笑み、、、を浮かべると、エレオノーレ様と赤ん坊、、、ディアナ嬢に向き直った。
「叔母上、この子の笑顔に、僕もグッときました。」
「?・・・そ、そうか。」
たじろぐエレオノーレ様にずいっと詰め寄る。
「『婚約者』になったら身を慎みますから、もし、もしも候補を受け入れる事にするなら、その時は僕も考慮に入れて下さい、ね。」
可愛いこの子のためなら頑張れるかもしれませんから、と訴える。
ここは押しの一手だ。
「あ、ああ?」
「やった!」
この際疑問形でも何でもいい。エレオノーレ様から無理やり言質をもぎ取れば、目ざとい父が上手いことその場を納めてくれた。
ナイス腹黒宰相。
嬉しくてたまらないと言う表情をしながらチラッと叔父を見ると、、、真っ青になっていた。
ざまあみろ。
遊びも担保したまま、叔父の大事なものの『特別』に近づいたぞ。
得意な気分で再び赤ん坊を覗き込む。
彼女は僕を見て、再びキャッキャと笑うと腕を伸ばしてきた。
思い切って抱かせてもらうと、柔らかくて温かい重みが腕に伝わる。
「ディアナ嬢」
顔を近づけてそっと呼びかけると、彼女は僕の頬をペチペチ叩いて笑う。抱いてる腕をずらして、指先で頬っぺたをツンツンしてみると、口元に近づいた指をパクッと咥えられた。
ちうちうと吸われる。
「あ、これはおっぱいと間違えてるな。まだお腹空いてるのか?」
エレオノーレ様は呑気に笑ったけど。
え?
つまり、僕の指を、エレオノーレ様の、、、と間違えてるのか?
思わず羞恥で真っ赤になる僕から、叔父が赤ん坊を奪った。
「お前、それ以上の想像は許さん。存在を消すぞ。」
耳元で囁かれ、思わずゾクっとする隙に。
叔父は挨拶もそこそこ、叔母と赤ん坊を連れて転移してしまった、、、。
あれ?
良い感じで話が途切れた風だけど、、、結局あの赤ん坊の相手の話はどうなるんだ?
僕の疑問は父も共有していたらしい。
オホン、とわざとらしい咳払いの後、叔父夫妻に話しかけた。
「では、他の婚約者候補を出すと言ったら・・・?」
あ、叔父は駄目だ。エレオノーラ様を抱きしめて、使い物にならないオーラを放ってる。
今日は叔父の知らない、知りたくない姿ばかり見るな。
一方でエレオノーレ様はフム、と首を傾げた。
「・・・お話ししたように、出来のいい人物ほど辛い選択となる話なので、利害が絡む政略結婚は実質無理だと。義兄上もアルの時を思い出して頂ければ、ご納得頂けると思うんですが・・・。もし、義兄上がどうしても心配で、せめて相手探しの候補に何人か選ぶ、と言う事になるとしても・・・そうですね、もう少し大きくなって、アルの性質にどの程度似ているか確認してからの相談になると思いますね。」
「分かった。陛下には現状は待機で、と伝えておこう。これからも随時報告を求めるが、構わないか?」
「もちろんです。宰相閣下。」
父は一旦引くことで納得したらしい。僕も重い役割を求められなくてよかった。これでまた心置きなく青春を謳歌出来るぞ。
ホッとして脱力した僕と違い、エレオノーレ様と父はまだ話をしている。
「そうは言っても何か考えはあるんだろう?」
「実はこの子、今のところですが、魔力以外は結構普通な気がするんです。だから心掛けているのは、彼女に家族として出来うる限りの愛情を注ぐこと。それと、誰を好きになっても恥ずかしくない教養や知識を身に着けさせること。そして、大きくなった時に、自由に相手を探す機会をたくさん与えてあげること、くらいでしょうか。」
あれ、意外と普通になってしまいましたね。
首をかしげるエレオノーレ様を見て、僕は思わず笑ってしまった。
うん。
やっぱりこの人、、、
「・・・可愛い」
思わず口をついて出た言葉は、静かな会話をしていた部屋に、意外に響いた。
空気がピリッと帯電する。
「?」
あれ、何この緊張感?
父が息を呑み、エレオノーレ様がギョッとしてる、、、そして、叔父がエレオノーレ様を抱きしめたまま、ブワッと魔力を放出させていた。
「こらっアル!」
慌てるエレオノーレ様の姿が一瞬で見えなくなり、部屋中にキラキラの火花が充満する。
眩しいほどの光の中、静かな声が聞こえた。
「オリヴィエ・・・今なんと?」
「アル!」「止めろ、アルフ!」
エレオノーレ様の声も父の声も、何だか遠く聞こえ、叔父の声だけがはっきりと頭の中に響いてくる。
「例えお前でも、男には変わりない。エレオノーレにこれ以上関心を抱くなら・・・」
あれ?
これ、やばいヤツ?
口調は穏やかなのに、殺気に体が動かない。
詰んだのか、僕はここでこの世界に別れを告げるのか・・・?
冷や汗が背中を伝った時。
「キャッキャッ。」
今度は赤ん坊の笑い声が、この場の緊張をぶった切った。
「ディアナ!」
叔父がフッと殺気を解いた。
「笑ってる。魔力の火花が好きなの?ディアナ。」
薄れてきた火花の向こう、叔父に抱き上げられた赤ん坊は、手を挙げて振り回している。魔力の火花をつかみたいみたいだ。
消えてしまうと「ふぇ・・・」
と泣き出しそうな声がした。
「あ、どうしましょう、エレオノーレ。また火花を出しましょうか?」
おろおろした叔父の声。なんだ、この変わり様は?もう僕のことなど綺麗さっぱり忘れている。
「馬鹿な事を言うな、アル。さ、おいでディアナ。父さまの魔力は綺麗だったね、さあ、そろそろおうちに帰ろうか?」
さっさと夫の手から赤ん坊を取り返したエレオノーレ様は、立ち上がると、ぐずぐず言い始めた赤ん坊をあやしながら僕と父に、目線だけ向けて、申し訳なさそうに暇を告げた。
僕も挨拶の為に立ち上がる。ふと思って、赤ん坊に近付いた。
赤ん坊が叔父の気を逸らしてくれて本当に助かった。この子に感謝しないと。
「可愛い従妹殿。御機嫌よう。」
エレオノーレ様の腕の中を覗き込んで、一見ただの不機嫌な赤ん坊、でもその実、類まれな存在の女の子に目を合わせにっこりすると。
「だぁ!」
綺麗な黄金の瞳が、僕を捉えた瞬間驚いたように見開かれ、今度は嬉しそうに、にっこり笑ってくれたのだ。
「え、オリヴィエ君、何したの?」「ほう、ディアナ嬢はオリヴィエが気に入ったか。」
驚いたように僕を見たエレオノーレ様や、目をキラッと輝かせた父はこの際置いておいて。
僕はちらっと叔父を確認した。
「!」
声にならない叫びの後、無言で僕を睨みつける叔父。
へえ。
なるほどね。
この子も、執着の対象なんだ。
じゃあさ、、、『最愛』は重くても、僕がこの子の『特別』になったら、叔父はどうするんだろう・・・。
僕は、今までご婦人方に絶大な威力のあったとびっきりの笑み、、、無邪気な年下の男の子の微笑み、、、を浮かべると、エレオノーレ様と赤ん坊、、、ディアナ嬢に向き直った。
「叔母上、この子の笑顔に、僕もグッときました。」
「?・・・そ、そうか。」
たじろぐエレオノーレ様にずいっと詰め寄る。
「『婚約者』になったら身を慎みますから、もし、もしも候補を受け入れる事にするなら、その時は僕も考慮に入れて下さい、ね。」
可愛いこの子のためなら頑張れるかもしれませんから、と訴える。
ここは押しの一手だ。
「あ、ああ?」
「やった!」
この際疑問形でも何でもいい。エレオノーレ様から無理やり言質をもぎ取れば、目ざとい父が上手いことその場を納めてくれた。
ナイス腹黒宰相。
嬉しくてたまらないと言う表情をしながらチラッと叔父を見ると、、、真っ青になっていた。
ざまあみろ。
遊びも担保したまま、叔父の大事なものの『特別』に近づいたぞ。
得意な気分で再び赤ん坊を覗き込む。
彼女は僕を見て、再びキャッキャと笑うと腕を伸ばしてきた。
思い切って抱かせてもらうと、柔らかくて温かい重みが腕に伝わる。
「ディアナ嬢」
顔を近づけてそっと呼びかけると、彼女は僕の頬をペチペチ叩いて笑う。抱いてる腕をずらして、指先で頬っぺたをツンツンしてみると、口元に近づいた指をパクッと咥えられた。
ちうちうと吸われる。
「あ、これはおっぱいと間違えてるな。まだお腹空いてるのか?」
エレオノーレ様は呑気に笑ったけど。
え?
つまり、僕の指を、エレオノーレ様の、、、と間違えてるのか?
思わず羞恥で真っ赤になる僕から、叔父が赤ん坊を奪った。
「お前、それ以上の想像は許さん。存在を消すぞ。」
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