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帝都のひと夏
ついつい聞いてしまいました
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騎士さま方の席から逃げ出した。
取り敢えず人気の無い方に行こうと、バルコニーの突き当りから、建物の角を曲がる。
それだけで一気に人が居なくなり、一息つくことが出来た。
慣れない結界を早く解きたい。でも、姿を現したところに人が来たら驚かれちゃうから、少し離れた木立の陰に隠れる。
結界を解いて、ふうっと息を吐き、木にもたれた。
やっちゃった・・・。
幾らわざとでは無いとは言え、成人していない令嬢が、皇室主催の昼間のお茶会でお酒を飲んだのだ。醜聞には違いない。
「戻るの、気が重いな・・・」
でも、戻らないと、また家族に迷惑かけちゃう。
うじうじ悩んでいると。
「もう陛下へのご挨拶は終わりまして?」
「はい、先ほど。」
「ホッとしますわね。」
女の子の声が聞こえてきた。
気付かれないようそっと木の陰から様子を伺うと、同い年くらいの女の子が二~三人こちらに向かって歩いてきていた。手に飲み物を持って、ちょっと息抜きと言う感じだ。
木立の前のベンチに座ったから、このままでは出られない。まあ、もう一度結界を張ればいいんだけど。
積極的に戻りたい訳では無いし、、、どうしよう。
考えていると、何となく女の子たちのおしゃべりが耳に入って来た。
今日のドレスを褒めあい、最近どんな催しに参加したか報告しあい、、、この間の殿下のお茶会にも出ていたみたい、、、今日は誰と挨拶したとか、誰とはまだとか、、、。
立ち聞きはお行儀が悪い。これは結界を張って出て行こう。
そう思った時。
「・・・例のご令嬢への殿下の挨拶、見ました?」
「ええ、バーベンベルク辺境伯家のディアナ嬢、でしょう?コンラート一門として挨拶するなんて、やりますわね。」
私の話になった。
いけないと分かっていても、つい耳を澄ませてしまう。
「北の果て、バーベンベルク辺境伯家としてなら、まだ対抗しようもあるけれど・・・コンラート公爵家ではね。」
「ディアナ嬢、でしたっけ。宰相閣下の後見では、殿下も無下には出来ないと言う事なんでしょうね、あのご挨拶!」
「わざわざ席を立たれるなんて。彼女以外には、一人もしませんでしたわ。しかも二度も指先に・・・!」
「ずるいですわ!私だってまだ一度しかないのに!」
「・・・まあ、可愛かったですけどね。」
「ええ、遠目に見ても、挨拶する姿も美しかったから、田舎者と馬鹿にするわけにはいきませんわ。」
「ドレスも、素敵でしたわね。あれ、きっとオルロー商会ですわよ。母が先日マダムと話したら、コンラート公爵家発注で、ご令嬢のドレスをマダム自ら作ったと言ってたそうだから。」
「まあ!・・・でも、納得ですわ。白の重ねなんて斬新で。」
「色が白で刺繍が白金と銀でしょう?コンラートの姫君は誰の手も付いてません、ってことですわよね。」
「顔良し、マナー良し、家柄良し・・・羨ましいですわ。」
「それにね、お声も可愛いんですよ、あの方。しかも・・・」
一人がふうっと溜め息を吐いて言うと、他の子たちがざわめいた。
「え?もうご挨拶されたの?」
「ええ、うちは宰相派ですから、陛下の出御の前に。」
そう言えばあの子、挨拶の列の中で見た気もする。
「どんな、どんな子でした?」
「どんな、と分かるほど話したわけでは・・・ただ、あの方、瞳の色が黄金なんです。驚いて見つめてしまいましたわ。」
「それ!私も先ほど耳にしましたけれど・・・本当なんですの?女性には黄金色は出ないって聞いてましたのに?」
「ごく薄い茶色とか、榛色とかでは無くて?」
「・・・溶けた黄金の色でしたわ。宰相閣下と同じ。」
不躾ではありますけれど、思わず閣下の瞳と見比べてしまいましたもの。あれこそ、伝説に聞く、、、
「千年に一人の幻の瞳、ですわ。」
挨拶した覚えのある令嬢が言うと、その場に沈黙が広がった。
いたたまれない。
この瞳の色、そんなに珍しいの?伝説って!
それはね、小さい頃から珍しいとは言われてきたけれど。
でも、私にとっては父さまと同じ色ってだけで。
髪の色は母さま、目の色は父さまに似たのね、くらいのものだから!
思わずしゃがみ込むと、足元の枯れ木を踏んでしまったみたい。
パキッっと小さな音が響いて。
「!」
「どなたかいらっしゃるの?」
まずい!
結界!結界張らなくちゃ!
頭では分かっているのに、焦れば焦るほど、うまくイメージがまとめられない。
「立ち聞きしてる方がいらっしゃるなんて。」
「いやだわ、お行儀の悪い。出ていらして!」
女の子達の立ち上がる衣擦れも聞こえてくる。
やだ、見つかる!
思わずギュッと目を瞑った時。
「やあ、可愛いお嬢さん方に見つかってしまったな。」
突然若い男の人の声がして。
私の横をすっと通り抜ける人影があった。
取り敢えず人気の無い方に行こうと、バルコニーの突き当りから、建物の角を曲がる。
それだけで一気に人が居なくなり、一息つくことが出来た。
慣れない結界を早く解きたい。でも、姿を現したところに人が来たら驚かれちゃうから、少し離れた木立の陰に隠れる。
結界を解いて、ふうっと息を吐き、木にもたれた。
やっちゃった・・・。
幾らわざとでは無いとは言え、成人していない令嬢が、皇室主催の昼間のお茶会でお酒を飲んだのだ。醜聞には違いない。
「戻るの、気が重いな・・・」
でも、戻らないと、また家族に迷惑かけちゃう。
うじうじ悩んでいると。
「もう陛下へのご挨拶は終わりまして?」
「はい、先ほど。」
「ホッとしますわね。」
女の子の声が聞こえてきた。
気付かれないようそっと木の陰から様子を伺うと、同い年くらいの女の子が二~三人こちらに向かって歩いてきていた。手に飲み物を持って、ちょっと息抜きと言う感じだ。
木立の前のベンチに座ったから、このままでは出られない。まあ、もう一度結界を張ればいいんだけど。
積極的に戻りたい訳では無いし、、、どうしよう。
考えていると、何となく女の子たちのおしゃべりが耳に入って来た。
今日のドレスを褒めあい、最近どんな催しに参加したか報告しあい、、、この間の殿下のお茶会にも出ていたみたい、、、今日は誰と挨拶したとか、誰とはまだとか、、、。
立ち聞きはお行儀が悪い。これは結界を張って出て行こう。
そう思った時。
「・・・例のご令嬢への殿下の挨拶、見ました?」
「ええ、バーベンベルク辺境伯家のディアナ嬢、でしょう?コンラート一門として挨拶するなんて、やりますわね。」
私の話になった。
いけないと分かっていても、つい耳を澄ませてしまう。
「北の果て、バーベンベルク辺境伯家としてなら、まだ対抗しようもあるけれど・・・コンラート公爵家ではね。」
「ディアナ嬢、でしたっけ。宰相閣下の後見では、殿下も無下には出来ないと言う事なんでしょうね、あのご挨拶!」
「わざわざ席を立たれるなんて。彼女以外には、一人もしませんでしたわ。しかも二度も指先に・・・!」
「ずるいですわ!私だってまだ一度しかないのに!」
「・・・まあ、可愛かったですけどね。」
「ええ、遠目に見ても、挨拶する姿も美しかったから、田舎者と馬鹿にするわけにはいきませんわ。」
「ドレスも、素敵でしたわね。あれ、きっとオルロー商会ですわよ。母が先日マダムと話したら、コンラート公爵家発注で、ご令嬢のドレスをマダム自ら作ったと言ってたそうだから。」
「まあ!・・・でも、納得ですわ。白の重ねなんて斬新で。」
「色が白で刺繍が白金と銀でしょう?コンラートの姫君は誰の手も付いてません、ってことですわよね。」
「顔良し、マナー良し、家柄良し・・・羨ましいですわ。」
「それにね、お声も可愛いんですよ、あの方。しかも・・・」
一人がふうっと溜め息を吐いて言うと、他の子たちがざわめいた。
「え?もうご挨拶されたの?」
「ええ、うちは宰相派ですから、陛下の出御の前に。」
そう言えばあの子、挨拶の列の中で見た気もする。
「どんな、どんな子でした?」
「どんな、と分かるほど話したわけでは・・・ただ、あの方、瞳の色が黄金なんです。驚いて見つめてしまいましたわ。」
「それ!私も先ほど耳にしましたけれど・・・本当なんですの?女性には黄金色は出ないって聞いてましたのに?」
「ごく薄い茶色とか、榛色とかでは無くて?」
「・・・溶けた黄金の色でしたわ。宰相閣下と同じ。」
不躾ではありますけれど、思わず閣下の瞳と見比べてしまいましたもの。あれこそ、伝説に聞く、、、
「千年に一人の幻の瞳、ですわ。」
挨拶した覚えのある令嬢が言うと、その場に沈黙が広がった。
いたたまれない。
この瞳の色、そんなに珍しいの?伝説って!
それはね、小さい頃から珍しいとは言われてきたけれど。
でも、私にとっては父さまと同じ色ってだけで。
髪の色は母さま、目の色は父さまに似たのね、くらいのものだから!
思わずしゃがみ込むと、足元の枯れ木を踏んでしまったみたい。
パキッっと小さな音が響いて。
「!」
「どなたかいらっしゃるの?」
まずい!
結界!結界張らなくちゃ!
頭では分かっているのに、焦れば焦るほど、うまくイメージがまとめられない。
「立ち聞きしてる方がいらっしゃるなんて。」
「いやだわ、お行儀の悪い。出ていらして!」
女の子達の立ち上がる衣擦れも聞こえてくる。
やだ、見つかる!
思わずギュッと目を瞑った時。
「やあ、可愛いお嬢さん方に見つかってしまったな。」
突然若い男の人の声がして。
私の横をすっと通り抜ける人影があった。
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