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帝都のひと夏
カレンブルクのお茶会へようこそ(双子君登場)
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「!?」
振り返ると、耳の下辺りまでのサラサラの白金の髪にクリッとした大きな薄い水色の瞳の少年が立っていた。その後ろには、同じ造形で髪の長さが肩の下まである少年が遠慮がちに立っている。
従兄弟の双子君たちだ、、、えっと、短い髪の方がヘイリーさまで、長い方がカーティスさまだっけ?
私が一所懸命思い出しているうちに、ヘイリーさまが口を開いた。
「何だよ、フェリクス殿下の話をしていたんじゃないのか?」
「え?、、、いえ、そのような話は、、、」
言いながらちらっと兄さまとマックス殿下の方を見る。二人はさっきのいがみ合いはうそのように、主人と侍従に戻っていた。ルー兄さまがにこやかに口を開く。
「なに、ロイス侯夫人とロイス卿がさっきまでいらしたので、その時の話をしていただけですよ?」
言いながら、空いてる席を示す。
「ちょうど二つ空いてます。一つはどなたか分からず、もう一つはロイス卿の席ですが、今立たれたばかりなのでしばらくは戻られないでしょう。座られますか?」
「まさか。突然現れた態度のでかい田舎者の従兄弟や瞳の色だけが取り柄の田舎娘に、これ以上僕の人生をかき回されてたまるもんか。僕らはその空いてる席の主から伝言を頼まれただけだ。」
よっぽど嫌われたらしい。嫌そうな態度を隠しもせずそう言うと、ヘイリーさまは後ろを見た。
「ティス、なんでいっつも僕にこういうのやらせるの?繋ぎは付けたから、後はよろしく、兄上。」
「あ、ちょっと待って、リー・・・」
後ろにいたカーティスさまに一方的に告げて、さっさと立ち去るヘイリーさま。直ぐにキャーキャー言う女の子の声が聞こえたから、取り巻きのところへ顔を出したんだろう。
居心地の悪い沈黙の中で、もじもじしていたカーティスさまは、ギュッと手を握りしめると、思い切ったように私の方を見た。
困った顔で、でも恭しく礼をしてくれて。
「突然会話に入ったご無礼をお許しください。ディアナ嬢に、ルーファス様。実は、ディアナ嬢に、その空いてる席の主・・・フェリクス殿下からの伝言を預かっています。ジキスムントが席を外したら渡してくれとの事だったので、不躾ながら今伺った次第です。」
そう言って、懐から例の厚みのある封筒を取り出した。
「この場で確認して欲しいとのことです。それでは、僕はこれで。」
押し付ける様に封筒を渡すとすぐに立ち去ろうとする彼を、私は慌てて引き留めた。
だって、さっきのヘイリーさまの発言がちょっと気になるんだもの。
「少し、少しお話しできませんか?」
言いながらルー兄さまに目線でお願いをすると、兄さまはやれやれと言った風に頷いた。
「手紙の内容によっては殿下にお返事をしなくてはいけないのでは?妹が読むまでの間で良いですから、お座り下さい・・・それに、立っていらっしゃると目立つのです。」
それを聞くと、カーティスさまは慌てて周りを見回し、、、観念したように頷いた。
振り返ると、耳の下辺りまでのサラサラの白金の髪にクリッとした大きな薄い水色の瞳の少年が立っていた。その後ろには、同じ造形で髪の長さが肩の下まである少年が遠慮がちに立っている。
従兄弟の双子君たちだ、、、えっと、短い髪の方がヘイリーさまで、長い方がカーティスさまだっけ?
私が一所懸命思い出しているうちに、ヘイリーさまが口を開いた。
「何だよ、フェリクス殿下の話をしていたんじゃないのか?」
「え?、、、いえ、そのような話は、、、」
言いながらちらっと兄さまとマックス殿下の方を見る。二人はさっきのいがみ合いはうそのように、主人と侍従に戻っていた。ルー兄さまがにこやかに口を開く。
「なに、ロイス侯夫人とロイス卿がさっきまでいらしたので、その時の話をしていただけですよ?」
言いながら、空いてる席を示す。
「ちょうど二つ空いてます。一つはどなたか分からず、もう一つはロイス卿の席ですが、今立たれたばかりなのでしばらくは戻られないでしょう。座られますか?」
「まさか。突然現れた態度のでかい田舎者の従兄弟や瞳の色だけが取り柄の田舎娘に、これ以上僕の人生をかき回されてたまるもんか。僕らはその空いてる席の主から伝言を頼まれただけだ。」
よっぽど嫌われたらしい。嫌そうな態度を隠しもせずそう言うと、ヘイリーさまは後ろを見た。
「ティス、なんでいっつも僕にこういうのやらせるの?繋ぎは付けたから、後はよろしく、兄上。」
「あ、ちょっと待って、リー・・・」
後ろにいたカーティスさまに一方的に告げて、さっさと立ち去るヘイリーさま。直ぐにキャーキャー言う女の子の声が聞こえたから、取り巻きのところへ顔を出したんだろう。
居心地の悪い沈黙の中で、もじもじしていたカーティスさまは、ギュッと手を握りしめると、思い切ったように私の方を見た。
困った顔で、でも恭しく礼をしてくれて。
「突然会話に入ったご無礼をお許しください。ディアナ嬢に、ルーファス様。実は、ディアナ嬢に、その空いてる席の主・・・フェリクス殿下からの伝言を預かっています。ジキスムントが席を外したら渡してくれとの事だったので、不躾ながら今伺った次第です。」
そう言って、懐から例の厚みのある封筒を取り出した。
「この場で確認して欲しいとのことです。それでは、僕はこれで。」
押し付ける様に封筒を渡すとすぐに立ち去ろうとする彼を、私は慌てて引き留めた。
だって、さっきのヘイリーさまの発言がちょっと気になるんだもの。
「少し、少しお話しできませんか?」
言いながらルー兄さまに目線でお願いをすると、兄さまはやれやれと言った風に頷いた。
「手紙の内容によっては殿下にお返事をしなくてはいけないのでは?妹が読むまでの間で良いですから、お座り下さい・・・それに、立っていらっしゃると目立つのです。」
それを聞くと、カーティスさまは慌てて周りを見回し、、、観念したように頷いた。
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