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一章 ――王家の使命――
ロキ16 『咆哮』
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山が落ちてきた。
そう錯覚する程、巨大で神秘的な存在だった。
白竜は俺とモルドットに向け、大きな口を広げ威嚇を行う。
広大とも言うべき長い翼が広がり、鼓膜が破れそうな程の音の暴力が襲いかかる。
木々は揺れ、衝撃が俺の身体を突き抜ける。
モルドットは自分の十倍はある相手に向かい、両手を広げ咆吼する。
迎え撃つしか無い。そう判断したのだろう。
事実、それは正しく、間違いだった。
バチン、と軽やかな音を立て、モルドットの腹が消え去った。
白竜が尻尾を回し、振り払う――たったそれだけの動作で、モルドットの身体が削り取られたのだ。
突風が木々をなぎ倒していく。
内臓の殆どをを削り取られたモルドットだったが、意に介さずに飛びかかる。どす黒い血をまき散らしながら、白竜の首に鋭い指先を――
瞬きの瞬間、モルドットは大地に沈んでいた。
上半身は白竜の前足に踏まれ潰されている。
飛び出した下半身がバタバタと動き、痙攣している。
モルドットを仕留めた白竜が俺に顔を向け、ゆっくりと近づいてきた。
だが――
そのがら空きの背に、蘇ったモルドットが乗った。
上半身は黒い血反吐に包まれ、脈動を繰り返し急速に回復していく。
長い指先をががむしゃらに白竜の背に突き立てる。
白竜は咆吼し、飛翔した。空で回転した白竜は背から地面に落ち、大地が大きく揺れる。
背に居たモルドットの身体は最早、飛び散る肉塊になっていた。
だが、白竜は最早、油断していなかった。
潰しても復活する。そう白竜が理解した時点で、モルドットの勝ち筋は消え失せていた。
圧倒的で、一方的な戦いだった。
復活するモルドットを食いちぎり、四肢をバラバラにして、激しい炎を吐き、燃やし尽くす。
黒焦げになった物体を、白竜は口の中に入れ、噛みつぶす。
肉が引きちぎれ、骨を砕かれ、モルドットは白竜の喉元を通り過ぎていった。
白竜が放つ、勝利の雄叫びが夜空に広がった。
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