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第一章 拠点作り
第23話:最果ての村と、揺れる職人像
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――村長の回想、そして絶望の咆哮――
王都の喧騒が遠い夢のように思えるほど、馬車に揺られること数日。
リサ(早川結衣)は、ついに大陸北端の「最果ての村」ログ・フォレストへと辿り着いた。
吹き抜ける風には冷気が混じり、周囲を囲む山々は峻厳そのもの。
まさに世界の果てと呼ぶに相応しい、静かな寒村である。
「うわ……マジで何もないじゃん。ここからさらに森に入るの? あたしの新作装備への道、ハードすぎ……」
リサは馬車を降り、ムチムチとした健康的な太腿を軽く叩いて気合を入れると、情報収集のために村の広場へと向かった。
■村長バシュの回想:奇妙な「職人」との出会い
村の長老であり、数々の異邦人を見てきた村長バシュは、リサの問いかけに遠い目をして語り始めた。
「……ケンタロウと言ったか。あんな男は、長い村長生活でも初めてじゃったよ」
村長の脳裏に、この物語が始まったばかりの日の光景が鮮明に甦る。
現れたのは、装備こそ貧相だが、その立ち居振る舞いから熟練の気配を隠しきれない中年男だった。
「最初にここへ来た時、あやつはまともな武器すら持っておらなんだ。わしが出してやれるのは、誰も使わなくなった刃の欠けた斧と、弦が伸びきったボロい弓だけでな……。普通の若者なら『こんなゴミで戦えるか』と捨て台詞を吐くような代物じゃった」
しかし、ケンタロウは違った。彼はそのボロ道具を、まるで宝物でも受け取るかのように両手で恭しく受け取ったのだ。
「あやつは、弓の木肌を慈しむように指の腹で撫でてな……。『いい道具だ。手入れをすれば、十分に応えてくれる』と言って、その場で錆を拭い始めたんじゃ。道具ってのは、使い込まれた分だけ手に馴染む余地がある……そんなことを、職人のような目で語りよった」
「あ、それ……。なんか、わかるかも……」
リサの脳裏に、現実世界のレザーワークスで革を愛おしそうに扱っていた三神健太郎の姿が重なる。だが、村長の次の言葉がそのイメージを叩き壊した。
「だがな、お嬢ちゃん。やつが最近たまに村へ顔を出す時、連れている例の『幼女』……あれが問題じゃ。あんなに清らかな目をした男が、背負った弓に向かって『少し窮屈だろうが、我慢しろ。すぐに出してやるからな』と、ゾッとするほど熱を込めて語りかけておるのを見て、わしは自分の目を疑ったよ……」
「……。……。……やっぱり事案じゃん!!」
■深淵の森:王の捕食と絶体絶命
村長から森の地図を(半ば同情されながら)受け取り、リサは一人、深淵の森へと足を踏み入れた。
目的は最高峰の革素材。
だが、彼女は知らなかった。そこが単なる「森」ではなく、このエリアの絶対的支配者――フォレスト・ベアの縄張りであることを。
「……変態おっさんなんて、あたしのギャルパワーで……ひっ!?」
茂みを掻き分けた先、リサは「それ」と遭遇した。
山のように巨大な影。漆黒の剛毛を血で濡らしたフォレスト・ベアが、仕留めたばかりのディア(鹿)を無残に引き裂き、捕食している最中だった。
――目が合った。
圧倒的な殺気がリサを縫い止める。
足がすくみ、一歩も動けない。レベル差がありすぎて【隠密】など最初から意味をなさなかったのだ。
(うそ……何これ。これ、エリアボスじゃない……っ!)
巨大な前足が振り上げられる。リサは反射的に目を閉じた。
デスペナルティの消失感と、またあの長い長い王都からの旅路を繰り返すのかという絶望が脳裏をよぎる。
――シュッ!――
空気を切り裂く鋭い音と共に、一筋の純白の光がリサの視界を横切った。
直後、フォレスト・ベアの眉間が激しく爆ぜる。
断末魔の叫びすら上げられず、巨体はリサの目の前で崩れ落ちた。
「……まったく。威力がありすぎだ……。素材がダメになるだろうが……。」
静かだが重みのある声が響く。
リサが恐る恐る目を開けると、そこには弓を構えたままの中年男――三神健太郎(ケンタロウ)が、実体化した幼女(アイリス)と共に立っていた。
(……えっ? 三神……さん?)
【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (55/100)
• 解体:Lv.13 (10/100)
• 弓術マスタリー:Lv.7 (20/100) [+90] Level Up! ※ボス級の一撃必殺
• 素材との対話:Lv.13 (30/100)
• 魔力感知:Lv.8 (40/100) [+10]
• 聖霊同調:Lv.10 (70/100) [+20] ※進化熟練度 95/100
• 噂の的(最果ての伝説):Lv.3 (20/100)
• 救世主(新規取得):Lv.1 (10/100) [+10]
【リサ(早川結衣)のスキル熟練度】
• 隠密:Lv.15 (20/100)
• 感覚研磨:Lv.12 (10/100)
• 強運:Lv.5 (10/100) [+50] ※死の間際での救出
• 対人警戒(事案警戒):Lv.1 (90/100) [+10]
【設定データ・状況確認】
• 対面: フォレスト・ベアを一撃で仕留めたケンタロウと、腰を抜かしたリサ。
• アイリス: 主人の活躍に満足げだが、救った「女」を品定めするように見つめる。
• リサ: 現実の憧れの人と、噂の変態が一致し、脳内がパニック状態。
――ギャルの仮面と、危うい本名――
目の前で巨体を引き裂き、絶命したフォレスト・ベア。
その圧倒的な破壊力の中心にいたのは、紛れもなく、先日レザーワークスで出会ったばかりのあの人だった。
(嘘……。絶対、三神さんだ。あの落ち着いた声、革を扱う時と同じ、無駄のない動き。……でも、どうして? 現実であんなに素敵だった人が、噂の『変態おっさん』なの!?)
リサ(結衣)の心臓は、死の恐怖とは別の意味で、爆発しそうなほど激しく波打っていた。現実世界での淡い恋心と、ゲーム内での最悪な風評。二つの情報が脳内で混ざり合い、ショート寸前だ。
(ダメ、落ち着け自分! 向こうはあたしが早川結衣だって気づいてない。ここで正体がバレたら、恥ずかしすぎて死んじゃう!)
結衣は深呼吸をし、喉の奥に「リサ」としてのスイッチを無理やり押し込んだ。震える膝を叩き、わざとらしく明るい声を張り上げる。
「あ、あはは……。ま、マジで助かったし! ありがと、おじさん! 今の光の矢、超ヤバくね? 完全に一撃じゃん!」
彼女は、腰を抜かしていた草むらから立ち上がり、ムチムチとした太腿についた土をパンパンと払った。
露出の多いギャル装備、緑のインナーカラー。現実の清楚な結衣とは真逆の姿で、リサは必死に虚勢を張る。
「あたしはリサ! 王都から最高級の皮を求めて来た、超イケてる裁縫師兼冒険者って感じ? おじさんもしかして、この森のヌシ的な人?」
ケンタロウは、弓をゆっくりと下ろし、無表情のままリサをじっと見つめた。その鋭い眼差しに、リサは思わず背筋が凍りそうになる。
「……三神健太郎だ。プレイヤー名はケンタロウ。……最高級の皮か。お前のような初心者が一人で首を突っ込むには、この森は少々『対話』の難易度が高すぎるぞ」
健太郎の口から無造作に放たれた言葉に、リサは思わず素の結衣に戻りそうになり、慌てて声を裏返した。
「ちょ、ちょっとおじさん! 三神健太郎さんなんだ……って、それ本名だよね!? ダメだよ、ゲームで本名バラしたらよくないって! リアルバレとかマジ危ないから、マジで!」
心配のあまりギャル口調が崩れそうになるリサ。だが、ケンタロウはどこ吹く風で、鼻先で軽く笑った。
「隠すような人生も送っていない。それに、この世界で俺が俺であるために、偽名を使う必要を感じなくてな」
「うわ、なんか深いこと言ってるけど、危機感なさすぎ! ……三神健太郎、ね。うん、渋くていいじゃん。あたしが守ってあげたくなるレベル!」
必死に知らないふりをして笑うが、リサの視線は、ケンタロウの隣に立つ幼女――アイリスへと吸い寄せられた。
「……であるじよ。この女、騒がしいのう。それに、この卑猥な格好は何事か。目のやり場に困るわい。あるじを唆そうとしても無駄じゃ、妾(わらわ)というものがありながら!」
アイリスは、ぷいっと顔を背けながらも、リサの豊かな胸元や太腿を「雌」としてのライバル心剥き出しでチェックしている。
「あ、こ、この子は……?」
「俺の武器……聖霊のアイリスだ。……さあ、話は後だ。日が暮れる前に、この獲物を解体して工房に運ばなければならん」
ケンタロウは慣れた手つきで腰のナイフを抜き、フォレスト・ベアの解体に取り掛かった。
その無駄のない指捌き、素材を愛しむような手つき。
それは現実の三神健太郎そのものであり、リサの胸に再び熱い「憧れ」がこみ上げてくる。
(……やっぱり、かっこいい。変態の噂なんて、きっと何かの間違いだよね。……でも、もしそうじゃなかったら、あたしどうすればいいの!?)
リサは、複雑な乙女心をギャルの仮面の下に隠し、獲物を引きずるケンタロウの後を、ふらふらと追いかけていった。
【ケンタロウ(健太郎)のスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (55/100)
• 解体:Lv.13 (50/100) [+40] ※フォレスト・ベアの解体開始
• 弓術マスタリー:Lv.7 (20/100)
• 木工:Lv.13 (60/100)
• 素材との対話:Lv.13 (50/100) [+20]
• 聖霊同調:Lv.10 (80/100) [+10] ※進化熟練度 96/100
• 話術:Lv.3 (20/100) [+50] Level Up!
• 無意識の紳士:Lv.1 (80/100) [+30]
• 包容力:Lv.2 (10/100) [+50] Level Up!
• 正直者の風格(新規取得):Lv.1 (20/100) [+20]
【リサ(早川結衣)のスキル熟練度】
• 演技(ギャル):Lv.1 (80/100) [新規取得]
• ポーカーフェイス:Lv.1 (50/100) [新規取得]
• 裁縫:Lv.18 (50/100)
• 鑑定(素材・所作):Lv.11 (10/100) [+80] Level Up!
• 危機管理アドバイス(新規取得):Lv.1 (30/100) [+30]
• 忍耐(片想い):Lv.1 (40/100) [新規取得]
【新規取得スキル】
• 正直者の風格: 隠し事をせず堂々と振る舞うことで、一部のNPCやプレイヤーからの信頼を強烈に勝ち取る。
• 危機管理アドバイス: 他者の不用心な行動に対し、適切な忠告を行うことで友情や絆を深める。
【設定データ・状況確認】
• リサ(結衣): ギャルを演じ切り、正体隠蔽に成功(今のところ)。
• ケンタロウ: リサが「レザーワークスの早川結衣」であることには微塵も気づいていない。
• アイリス: リサの肉感的な身体に対し、強い対抗意識を燃やしている。
王都の喧騒が遠い夢のように思えるほど、馬車に揺られること数日。
リサ(早川結衣)は、ついに大陸北端の「最果ての村」ログ・フォレストへと辿り着いた。
吹き抜ける風には冷気が混じり、周囲を囲む山々は峻厳そのもの。
まさに世界の果てと呼ぶに相応しい、静かな寒村である。
「うわ……マジで何もないじゃん。ここからさらに森に入るの? あたしの新作装備への道、ハードすぎ……」
リサは馬車を降り、ムチムチとした健康的な太腿を軽く叩いて気合を入れると、情報収集のために村の広場へと向かった。
■村長バシュの回想:奇妙な「職人」との出会い
村の長老であり、数々の異邦人を見てきた村長バシュは、リサの問いかけに遠い目をして語り始めた。
「……ケンタロウと言ったか。あんな男は、長い村長生活でも初めてじゃったよ」
村長の脳裏に、この物語が始まったばかりの日の光景が鮮明に甦る。
現れたのは、装備こそ貧相だが、その立ち居振る舞いから熟練の気配を隠しきれない中年男だった。
「最初にここへ来た時、あやつはまともな武器すら持っておらなんだ。わしが出してやれるのは、誰も使わなくなった刃の欠けた斧と、弦が伸びきったボロい弓だけでな……。普通の若者なら『こんなゴミで戦えるか』と捨て台詞を吐くような代物じゃった」
しかし、ケンタロウは違った。彼はそのボロ道具を、まるで宝物でも受け取るかのように両手で恭しく受け取ったのだ。
「あやつは、弓の木肌を慈しむように指の腹で撫でてな……。『いい道具だ。手入れをすれば、十分に応えてくれる』と言って、その場で錆を拭い始めたんじゃ。道具ってのは、使い込まれた分だけ手に馴染む余地がある……そんなことを、職人のような目で語りよった」
「あ、それ……。なんか、わかるかも……」
リサの脳裏に、現実世界のレザーワークスで革を愛おしそうに扱っていた三神健太郎の姿が重なる。だが、村長の次の言葉がそのイメージを叩き壊した。
「だがな、お嬢ちゃん。やつが最近たまに村へ顔を出す時、連れている例の『幼女』……あれが問題じゃ。あんなに清らかな目をした男が、背負った弓に向かって『少し窮屈だろうが、我慢しろ。すぐに出してやるからな』と、ゾッとするほど熱を込めて語りかけておるのを見て、わしは自分の目を疑ったよ……」
「……。……。……やっぱり事案じゃん!!」
■深淵の森:王の捕食と絶体絶命
村長から森の地図を(半ば同情されながら)受け取り、リサは一人、深淵の森へと足を踏み入れた。
目的は最高峰の革素材。
だが、彼女は知らなかった。そこが単なる「森」ではなく、このエリアの絶対的支配者――フォレスト・ベアの縄張りであることを。
「……変態おっさんなんて、あたしのギャルパワーで……ひっ!?」
茂みを掻き分けた先、リサは「それ」と遭遇した。
山のように巨大な影。漆黒の剛毛を血で濡らしたフォレスト・ベアが、仕留めたばかりのディア(鹿)を無残に引き裂き、捕食している最中だった。
――目が合った。
圧倒的な殺気がリサを縫い止める。
足がすくみ、一歩も動けない。レベル差がありすぎて【隠密】など最初から意味をなさなかったのだ。
(うそ……何これ。これ、エリアボスじゃない……っ!)
巨大な前足が振り上げられる。リサは反射的に目を閉じた。
デスペナルティの消失感と、またあの長い長い王都からの旅路を繰り返すのかという絶望が脳裏をよぎる。
――シュッ!――
空気を切り裂く鋭い音と共に、一筋の純白の光がリサの視界を横切った。
直後、フォレスト・ベアの眉間が激しく爆ぜる。
断末魔の叫びすら上げられず、巨体はリサの目の前で崩れ落ちた。
「……まったく。威力がありすぎだ……。素材がダメになるだろうが……。」
静かだが重みのある声が響く。
リサが恐る恐る目を開けると、そこには弓を構えたままの中年男――三神健太郎(ケンタロウ)が、実体化した幼女(アイリス)と共に立っていた。
(……えっ? 三神……さん?)
【ケンタロウのスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (55/100)
• 解体:Lv.13 (10/100)
• 弓術マスタリー:Lv.7 (20/100) [+90] Level Up! ※ボス級の一撃必殺
• 素材との対話:Lv.13 (30/100)
• 魔力感知:Lv.8 (40/100) [+10]
• 聖霊同調:Lv.10 (70/100) [+20] ※進化熟練度 95/100
• 噂の的(最果ての伝説):Lv.3 (20/100)
• 救世主(新規取得):Lv.1 (10/100) [+10]
【リサ(早川結衣)のスキル熟練度】
• 隠密:Lv.15 (20/100)
• 感覚研磨:Lv.12 (10/100)
• 強運:Lv.5 (10/100) [+50] ※死の間際での救出
• 対人警戒(事案警戒):Lv.1 (90/100) [+10]
【設定データ・状況確認】
• 対面: フォレスト・ベアを一撃で仕留めたケンタロウと、腰を抜かしたリサ。
• アイリス: 主人の活躍に満足げだが、救った「女」を品定めするように見つめる。
• リサ: 現実の憧れの人と、噂の変態が一致し、脳内がパニック状態。
――ギャルの仮面と、危うい本名――
目の前で巨体を引き裂き、絶命したフォレスト・ベア。
その圧倒的な破壊力の中心にいたのは、紛れもなく、先日レザーワークスで出会ったばかりのあの人だった。
(嘘……。絶対、三神さんだ。あの落ち着いた声、革を扱う時と同じ、無駄のない動き。……でも、どうして? 現実であんなに素敵だった人が、噂の『変態おっさん』なの!?)
リサ(結衣)の心臓は、死の恐怖とは別の意味で、爆発しそうなほど激しく波打っていた。現実世界での淡い恋心と、ゲーム内での最悪な風評。二つの情報が脳内で混ざり合い、ショート寸前だ。
(ダメ、落ち着け自分! 向こうはあたしが早川結衣だって気づいてない。ここで正体がバレたら、恥ずかしすぎて死んじゃう!)
結衣は深呼吸をし、喉の奥に「リサ」としてのスイッチを無理やり押し込んだ。震える膝を叩き、わざとらしく明るい声を張り上げる。
「あ、あはは……。ま、マジで助かったし! ありがと、おじさん! 今の光の矢、超ヤバくね? 完全に一撃じゃん!」
彼女は、腰を抜かしていた草むらから立ち上がり、ムチムチとした太腿についた土をパンパンと払った。
露出の多いギャル装備、緑のインナーカラー。現実の清楚な結衣とは真逆の姿で、リサは必死に虚勢を張る。
「あたしはリサ! 王都から最高級の皮を求めて来た、超イケてる裁縫師兼冒険者って感じ? おじさんもしかして、この森のヌシ的な人?」
ケンタロウは、弓をゆっくりと下ろし、無表情のままリサをじっと見つめた。その鋭い眼差しに、リサは思わず背筋が凍りそうになる。
「……三神健太郎だ。プレイヤー名はケンタロウ。……最高級の皮か。お前のような初心者が一人で首を突っ込むには、この森は少々『対話』の難易度が高すぎるぞ」
健太郎の口から無造作に放たれた言葉に、リサは思わず素の結衣に戻りそうになり、慌てて声を裏返した。
「ちょ、ちょっとおじさん! 三神健太郎さんなんだ……って、それ本名だよね!? ダメだよ、ゲームで本名バラしたらよくないって! リアルバレとかマジ危ないから、マジで!」
心配のあまりギャル口調が崩れそうになるリサ。だが、ケンタロウはどこ吹く風で、鼻先で軽く笑った。
「隠すような人生も送っていない。それに、この世界で俺が俺であるために、偽名を使う必要を感じなくてな」
「うわ、なんか深いこと言ってるけど、危機感なさすぎ! ……三神健太郎、ね。うん、渋くていいじゃん。あたしが守ってあげたくなるレベル!」
必死に知らないふりをして笑うが、リサの視線は、ケンタロウの隣に立つ幼女――アイリスへと吸い寄せられた。
「……であるじよ。この女、騒がしいのう。それに、この卑猥な格好は何事か。目のやり場に困るわい。あるじを唆そうとしても無駄じゃ、妾(わらわ)というものがありながら!」
アイリスは、ぷいっと顔を背けながらも、リサの豊かな胸元や太腿を「雌」としてのライバル心剥き出しでチェックしている。
「あ、こ、この子は……?」
「俺の武器……聖霊のアイリスだ。……さあ、話は後だ。日が暮れる前に、この獲物を解体して工房に運ばなければならん」
ケンタロウは慣れた手つきで腰のナイフを抜き、フォレスト・ベアの解体に取り掛かった。
その無駄のない指捌き、素材を愛しむような手つき。
それは現実の三神健太郎そのものであり、リサの胸に再び熱い「憧れ」がこみ上げてくる。
(……やっぱり、かっこいい。変態の噂なんて、きっと何かの間違いだよね。……でも、もしそうじゃなかったら、あたしどうすればいいの!?)
リサは、複雑な乙女心をギャルの仮面の下に隠し、獲物を引きずるケンタロウの後を、ふらふらと追いかけていった。
【ケンタロウ(健太郎)のスキル熟練度】
• レザークラフト:Lv.21 (55/100)
• 解体:Lv.13 (50/100) [+40] ※フォレスト・ベアの解体開始
• 弓術マスタリー:Lv.7 (20/100)
• 木工:Lv.13 (60/100)
• 素材との対話:Lv.13 (50/100) [+20]
• 聖霊同調:Lv.10 (80/100) [+10] ※進化熟練度 96/100
• 話術:Lv.3 (20/100) [+50] Level Up!
• 無意識の紳士:Lv.1 (80/100) [+30]
• 包容力:Lv.2 (10/100) [+50] Level Up!
• 正直者の風格(新規取得):Lv.1 (20/100) [+20]
【リサ(早川結衣)のスキル熟練度】
• 演技(ギャル):Lv.1 (80/100) [新規取得]
• ポーカーフェイス:Lv.1 (50/100) [新規取得]
• 裁縫:Lv.18 (50/100)
• 鑑定(素材・所作):Lv.11 (10/100) [+80] Level Up!
• 危機管理アドバイス(新規取得):Lv.1 (30/100) [+30]
• 忍耐(片想い):Lv.1 (40/100) [新規取得]
【新規取得スキル】
• 正直者の風格: 隠し事をせず堂々と振る舞うことで、一部のNPCやプレイヤーからの信頼を強烈に勝ち取る。
• 危機管理アドバイス: 他者の不用心な行動に対し、適切な忠告を行うことで友情や絆を深める。
【設定データ・状況確認】
• リサ(結衣): ギャルを演じ切り、正体隠蔽に成功(今のところ)。
• ケンタロウ: リサが「レザーワークスの早川結衣」であることには微塵も気づいていない。
• アイリス: リサの肉感的な身体に対し、強い対抗意識を燃やしている。
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