[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第五章 スキルリセット アイリスの再生

第91話: 【再誕の産声】

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【職人の意地と、刻まれた「天職」】

「……よし。これで最後だ」

 工房の隅、健太郎の低い声が静寂に響いた。
 手元にあるのは、灰色の森から切り出してきたばかりの木材だ。健太郎は一切のシステムコマンドを介さず、ただ手斧と突き鑿(のみ)だけを使い、板の厚みをコンマミリ単位で揃えていた。

 彼が作っているのは、革を鞣すための「樽」だ。
以前の神域であれば、素材を並べて『木工スキル』を発動させれば、瞬時に狂いのない円柱形が出来上がっていただろう。
だが、今の健太郎はそれを拒んでいた。

「健太郎さん、本当に全部手でやるんだね……。見てるこっちまで指先に力が入りそうだよ」

 結衣が、作業台の傍らで感心したように、それでいてどこか楽しそうに笑う。
彼女は採取してきた繊維を丁寧に解き、不純物を取り除く「精練」の作業を行っていた。
現実の素材屋「レザーワークス」での日常を、この過酷なゲーム内へ持ち込んだかのような、奇妙で落ち着いた光景だ。

 健太郎は答えず、板と板の角度を合わせる「側板(がわいた)」を円形に並べていく。接着剤などない。
木の繊維が互いに噛み合い、膨張することで水を漏らさぬ構造にする――それは、彼が現実の修行時代に師匠から叩き込まれた、古臭くも強固な「本物の技術」だった。

 コン、コン、コン。

 木の箍(たが)を打ち込み、全体を締め上げていく。
 乾いた木の音が響くたびに、バラバラだった木材が一つの「器」へと統合されていく。
 最後の一打ちが終わり、健太郎が立ち上がったその瞬間だった。

『条件達成:システムを介さぬ純粋技能による構造物の構築』
『キャラクターレベルが上昇しました。Lv.1 → Lv.2』

 頭の中に響いたのは、感情の欠片もない運営のシステムメッセージだ。だが、それに続いて流れた通知は、二人の「存在」を決定づけるものだった。

『プレイヤーの行動ログに基づき、職業(ジョブ)を確定します』
『健太郎:生産職【レザークラフト(革職人)】 Lv.1』

『結衣:生産職【裁縫師】 Lv.1』

「……はは、やっぱりそうなったか」

 健太郎が自身のステータスを開くと、そこには確かに、現実の職業と同じ名称が刻まれていた。
 かつての「世界樹の主」や「伝説の鍛冶師」といった大層な称号ではない。ただの、一人の革職人。
だが、その文字は以前のどんな称号よりも、健太郎の魂に馴染んでいた。

「健太郎さん! 私、裁縫師だって。レザーワークスの看板娘から、ついに本物の職人にジョブチェンジだね!」

 結衣が嬉しそうに画面を指差す。
 キャラクターレベル、そしてジョブレベル。
運営が導入した新たな物差しは、効率や戦闘力だけでなく、プレイヤーが積み上げた「在り方」を評価するものに変わっていた。

「ああ。どうやら、運営は俺たちに『最初からやり直せ』と言いながら、その実、俺たちの『本質』を測ろうとしているらしい」

 健太郎は、完成したばかりの樽の縁を愛撫した。
 ザラついた木の質感が、手のひらを通して彼の脳に情報を送ってくる。ジョブを得たことで、以前よりも「素材との距離」が近くなった感覚。

「まずはこれからだ、結衣。この樽に渋樫の樹皮と水を満たし、時間をかけてタンニンを煮出す。魔法で時間を飛ばすんじゃない。アイリスの依代を包むための革を、俺たちの手で一から育てるんだ」

「了解、健太郎さん! 私はその間に、この繊維からアイリスの魂を繋ぎ止めるための『聖布』を織り始めるよ」

 灰色の空、枯れた世界樹。
 絶望的な状況であるはずなのに、二人の瞳にはかつてない力が宿っていた。

 レベル2。

それは、運営が作り直したこの世界に対する、二人の小さな、しかし力強い反撃の第一歩だった。

【健太郎(三神健太郎) スキル熟練度】
【キャラクターレベル:2】
【ジョブ:レザークラフト(革職人) Lv.1】
 ■ 生産系(マスタリー)
 • 鍛冶(マスタリー):(5/100)
 • レザークラフト(マスタリー):(15/100) → (25/100) UP
 • 木工(マスタリー):(25/100) → (40/100) UP
 • 土木、建築(マスタリー):(20/100) → (25/100) UP
 • サバイバル(マスタリー):(15/100)
 ■ 特殊生産系
 • 慈愛の加工:(1/-- )
 • 導きの声:(20/-- ) → (25/-- ) UP
 • 愛撫:(8/-- )
 ■ 攻撃系
 • 弓術マスタリー:(1/100)
 • 短剣術:(10/100)
 ■ 真理系
 • 鑑定眼:(8/25) → (12/25) UP

【結衣 スキル熟練度】
【キャラクターレベル:2】
【ジョブ:裁縫師 Lv.1】
 ■ 生産系
 • 裁縫マスタリー:(18/100) → (28/100) UP
 • 農業マスタリー:(1/100)
 • 料理マスタリー:(1/100)
 ■ 戦闘系
 • 双閂の舞踏:(10/100)
 • 短剣マスタリー:(15/100)
 
 • 健太郎と結衣のレベルが2に上昇。
 • ジョブ確定:健太郎は【レザークラフト(革職人)】、結衣は【裁縫師】。
 • 物理的な「樽」の作成が完了し、タンニン液抽出の準備が整った。
 • アイリス(木片)は作業台の上に静かに安置されている。
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