[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

文字の大きさ
96 / 246
第五章 スキルリセット アイリスの再生

第88話: 審判の刻――列強、神域へ

しおりを挟む
3日目:審判の刻――列強、神域へ

 メンテナンス終了の一時間前。
現実世界に潜む「本物の怪物たち」が、それぞれの場所で最後の手入れを終えようとしていた。
運営が強行した「標準化」という名の鎖。それが、彼らという獣を繋ぎ止められるのか、あるいはその牙をより鋭く研ぐことになるのか。


【岐阜・山奥の鍛錬場:刀匠『村正』】

 人間国宝、村正。健太郎が師と仰ぐ老刀匠は、冷え切った鍛錬場の中で一振りの打ち下ろしを眺めていた。彼は最高齢のダイブギア愛好家としても知られているが、その目的は遊びではない。

「……システムの補正が消えるというのか。ようやく、まともな『打ち合い』ができるようになるわけだ」

 彼はVRゴーグルを装着する。彼の「鍛冶マスタリー」は数値こそカンストしていたが、その本質は彼が現実の八十年で培った、鉄の火色を見極める瞳にあった。



【京都・路地裏の古町家:木工細工師『源三(げんぞう)』】

 江戸時代から続く指物師の末裔、源三。彼は、ゲーム内でも数ミリの狂いもない「継ぎ手」で知られる木工職人だ。

「最近の若造は、システムのアシストがないと材の目も読めんらしい。……三神(健太郎)の旦那はどう動くかねぇ」

 彼は愛用のダイブギアを調整しながら、不敵に笑う。彼にとって木材とはデータではなく、生きている魂そのものだった。


【西日本・古都の染物屋:『茉莉(まつり)』】

 神域ヴォルガの隣接エリアを拠点とする、特殊生産職の頂点の一人、茉莉。
 彼女は現実の工房で、伝統的な友禅染の作業を行っていた。布地に筆を置くその迷いのない動きは、ゲーム内での『色彩調律』そのものだ。

「三神の旦那……。あのアプデの内容、あんたを潰しにかかってるわね。でも、あんたがそんなヤワな職人じゃないこと、私が一番知ってるわよ」

 彼女は、健太郎の職人としての熱量に共鳴する数少ない理解者だった。彼女もまた、ダイブギアを手に取り、自慢の色彩(スキル)で世界を塗り直す準備を整える。


【ベルギー・アントワープ:宝石細工師『エレーヌ』】

 世界最高のダイヤモンド・カッターの異名を持つエレーヌ。
彼女は、現実の顕微鏡下で一粒の原石を割り出していた。

「運営は『標準化』で宝石の輝きを一定にすると言っているけれど……。光の屈折は、計算式じゃなくて私の感覚の中にしかないのよ」

 彼女がログインした瞬間に放つ魔宝石の輝きは、運営の想定を遥かに超える「真実の光」を放つことになる。

【アメリカ・ニューヨーク:トップゲーマー『ジャック』】

 米軍のシミュレーターすら制覇したと言われる、戦闘特化型のトッププレイヤー、ジャック。

「OK、運営。バランスを整えたつもりか? だが、俺の『反射神経(フレーム)』までは弄れないだろ。ゴミのような自動追尾が消えた今、この世界は俺の独壇場だ」

 彼は、システムという補助輪を外された世界で、純粋な「暴力」として君臨することだけを考えていた。

【東京の仕事場:『健太郎』】

 そして、三神健太郎。
彼は、自作の革ジャンを羽織り、落ち着いた呼吸で横たわった。
 
「村正さん、源三さん、茉莉、エレーヌ……。あんたたちも多分いるよな……なら、俺も職人の端くれとして、恥ずかしい姿は見せられない」

 健太郎は、脳内でアイリスの姿を強く、鮮明にイメージした。
 彼女は今、プログラムの海でバラバラに解体されそうになっているかもしれない。だが、健太郎がその「核(コア)」さえ見失わなければ、何度でも打ち直せる。

 ログイン・カウントダウン:00:00:01
世界が反転する。
重力から解放され、電子の奔流が五感を上書きしていく。
 眩い白光の先に待っていたのは、かつての賑やかさを失い、冷たい霧に包まれたヴォルガの街――。
 そして、健太郎が降り立ったのは、かつてアイリスと共に笑い、汗を流した、あのアイリス工房の前だった。
「……アイリス、戻ったぞ」

 ■ ログイン待機中の超越者たち
 • 剣鬼『狂気』:システム外の物理挙動で戦う「真の剣士」。

 • 機巧『クロノス』:素材の微細な変化を読み取る「精密の化身」。

 • 『茉莉(まつり)』:健太郎をライバル視しつつ、その技術を認める染色職人。

 • 刀匠『村正』:健太郎の師。鉄の意志を呼び起こす最高峰の鍛冶。

 • 指物師『源三』:木材の「呼吸」を読み、不壊の構造を作る木工の神。

 • 宝石師『エレーヌ』:光の魔力伝導を極限まで引き出す宝石細工。

 • 戦士『ジャック』:システム外の反射速度を持つ、対人・対魔物特化の怪物。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【魔法少女の性事情・1】恥ずかしがり屋の魔法少女16歳が肉欲に溺れる話

TEKKON
恋愛
きっとルンルンに怒られちゃうけど、頑張って大幹部を倒したんだもん。今日は変身したままHしても、良いよね?

あべこべな世界

廣瀬純七
ファンタジー
男女の立場が入れ替わったあべこべな世界で想像を越える不思議な日常を体験した健太の話

ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~

ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。 そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。 そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

処理中です...