[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第六章 新しい同居人はJK⁉︎

第125話: 【現実への帰還】桃色の朝と、鋭き親友の眼光

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【現実への帰還】桃色の朝と、鋭き親友の眼光

 ゲーム内での一日を、結衣、モモ、そしてアイリスという三人の「家族」と共に穏やかに過ごした健太郎は、心地よい疲労感と共にログアウトした。

 ダイブギアを外し、現実の自室に戻る。そこには、ゲーム内での豪華な拠点とは違う、生活感のある静かな空間が広がっていた。

「……ふぅ。さて、現実の仕事も待ってるからな」

 居間へ向かうと、同じくログアウトした結衣が、いつものように落ち着いた笑顔で待っていた。
健太郎は彼女と共に晩飯を囲む。
結衣と共に風呂に入り、昨夜の余韻とこれからの展望を少しだけ語り合ってから、それぞれの眠りについた。

 翌朝。

「健太郎さん、行ってきますね。あまり根を詰めすぎないでくださいよ?」

「ああ、結衣も仕事、気をつけてな」

 結衣はスーツを颯爽と着こなし、仕事へと向かった。そして、もう一人の家族――現実の女子高生である桃子(モモ)もまた、登校の準備を整えていた。

 都内、女子高の教室。

「……おはよぉ、恵梨香ちゃん」

 登校してきた桃子の声は、いつも以上にふわふわとしていて、どこか甘い響きを帯びていた。
席に着く動作すら、どことなくしなやかで、昨夜健太郎に抱かれた悦びが全身から溢れ出しているかのようだ。

「……ちょっと、桃子。あんた、なんかあったやろ」

 鋭いツッコミを入れたのは、桃子の親友、佐々木恵梨香だった。
 金髪のショートカットに、両耳の三連ピアス。
右目の目尻にはセクシーなホクロがあり、褐色の肌に短く着崩した制服のスカートからは、スラリとした脚が伸びている。一見派手なギャルだが、その実は成績優秀な優等生であり、過去のトラウマから自分を守るために強気の鎧を纏っている少女だ。

「えっ? な、何が……?わたし?普通だよぅ?」

 桃子は慌てて否定するが、頬は林檎のように赤くなり、視線は泳いでいる。

「嘘つけ! その、隙だらけのトロンとした目! それになんや、その肌のツヤ。……あんた、これ『恋してる女』の顔やんか。うちは誤魔化せへんで?」

 恵梨香は椅子をガタッと鳴らして桃子に詰め寄った。
目尻のホクロが、彼女の鋭い眼差しをさらに際立たせる。

「あ、あうぅ……。え、恵梨香ちゃん、声が大きいよぉ……っ」

「いいから吐き! あの『Infinite Realm』の中で変な男に捕まったんか? それとも現実の誰かか? 男なんてロクな奴おらへんねんから、変な奴やったらうちがシバいたるわ!」

 恵梨香は強気な関西弁でまくしたてる。男を「下らない」と見下す彼女だが、親友である桃子の変化だけは見逃せない。
桃子の様子は、明らかに「遊び」ではない、本気で誰かに心も体も預けてしまった後のような、深い充足感に満ちていた。

「あ、あのね……その人は、すごく優しくて……職人さんなの。桃子のことを、すごく大事にしてくれるんだよ……?」

 桃子は健太郎の顔を思い浮かべ、トロンとした表情で告白する。
 その「本気」の横顔を見て、恵梨香は眉間に皺を寄せながらも、自分の中に芽生える得体の知れない胸騒ぎを抑えることができなかった。

【日常の工房】革の香りと、変化する役職

 現実世界の朝。
健太郎は都内の片隅にある自身の工房で、心地よい革の匂いに包まれていた。
 最近の彼は、特注の「2wayバッグ」の製作に没頭している。
リュックとしてもトートとしても使える利便性と、一切の妥協を排した堅牢な造り。それがネットの口コミで広がり、注文は数ヶ月待ちという状況だった。

「……よし、ここの厚みはこのくらいか」

 健太郎は、バッグの目立たない裏地部分に「アイリスの意匠」を刻み込む。
ゲーム内での聖霊アイリスを象徴するその紋章を刻む時、彼の指先には微かな熱が宿る。
 ゲーム内での『導きの声』や『慈愛の加工』といった感覚が、ダイブギアを通じて現実の脳にもフィードバックされているのか、革の繊維が「どう縫われたいか」を囁きかけてくるような錯覚さえ覚える。
その精度は、もはやベテラン職人の域を超え、神業に近いものへと変貌していた。

「健太郎さん、おはようございます。今日の分の受注リストと、発送の伝票を持ってきましたよ」

 工房のドアを開けて入ってきたのは、結衣だった。
 彼女が務める「株式会社レザーワークス」でも、健太郎の作品は今や目玉商品だ。
結衣は持ち前の分析力と献身的な働きが認められ、最近では事務や配達だけでなく、新設された「広報担当」に抜擢されていた。

「助かるよ、結衣。広報の方はどうだ? 忙しいだろう」

「はい。でも、健太郎さんの作品の素晴らしさを伝えるのは、私の使命だと思ってますから」

 結衣は健太郎の淹れた珈琲を一口啜り、広報としての戦略を熱心に語る。
その瞳には、仕事への誇りと健太郎への深い信頼が宿っていた。

 一方、その頃。桃子の通う女子高では、放課後の教室で火花が散っていた。

「桃子、あんた何回『おじさん』の話すんねん。そんなにええ男なんか? うちが昔やってた時の『Infinite Realm』には、そんな大層な職人おらんかったけどなぁ」

 親友の佐々木恵梨香が、短くしたスカートから褐色の脚を投げ出し、呆れたように鼻を鳴らした。
 彼女はサービス開始当初にアカウントを作ったものの、ソロプレイの単調さに飽きて早々に引退した「元・プレイヤー」だった。

「恵梨香ちゃん、違うんだよぅ! 今は大型アプデがあって、世界が全部変わっちゃったんだから! みんな『灰色の世界』で、レベルも1からやり直しなんだよ?」

「はあ? せっかく上げたレベルもリセット? 運営、頭沸いてんちゃうか。……でも、桃子がそこまで骨抜きにされる世界か。おもろいやん。うちも久しぶりにログインしたるわ」

 恵梨香は帰宅後、埃を被っていたダイブギアを引っ張り出し、再起動させた。
『Infinite Realm』――再ログイン。

 視界が開けた瞬間、恵梨香は絶句した。
以前、豪華絢爛な石造りの建物が並んでいた「王都」は、今や見る影もない廃墟と化していた。空は灰色の雲に覆われ、地面には正体不明の蔦が這っている。

 ステータスウィンドウを開くと、かつて上げたレベルは確かに「1」になっていた。

「……マジか。ほんまに別ゲーやん」

 恵梨香は、近くで奇妙な形をした小動物を狩っていた二人組のプレイヤーに声をかけた。

「あんなぁ、ちょっとええ? うち、久しぶりにログインしたんやけど、王都ってなんでこんなボロボロなん? 今の拠点ってどこなん?」

 片手剣を構えていたプレイヤーが、驚いたように恵梨香を見た。
「あ、復帰勢の人? ……王都はアプデ直後に崩壊したんだよ。今のメイン拠点はここからずっと南に行った『始まりの街』か、あるいは……」

「あるいは?」
「噂じゃ、北の方にも元火山地帯の街があるらしいな。まあ、俺らみたいなレベル1には縁のない話だけどな」

「幾つかあるんやねぇ……」

 恵梨香は、桃子の言っていた「おじさん」の顔を思い浮かべ、不敵に笑った。
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