[R18]2度目の人生でスローライフ?ハーレムだっていいじゃないか

白猫 おたこ

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第七章 アイリス進化の兆し

第159話: 【暴君降臨、絶望を喰らう影】

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 地底湖を包む空気は、粘りつくような死の静寂に満ちていた。
 健太郎たちは、漆黒の岩肌を伝い、ついにその場所へと辿り着いた。
広大な地下空洞の中央には、鏡のように静まり返った湖が広がり、その水面は深淵の闇を映して微かに揺れている。

「……いるな。この下に、お前の『過去』が」

 健太郎の声が、岩壁に反響して重く響く。隣に立つアイリスの身体が、目に見えて震えていた。
彼女が握る聖霊の弓は、持ち主の恐怖に呼応するように、か細く頼りない光を放っている。

「主よ……空気が重い。あやつが、妾の魂を啜ろうと待ち構えておるのが分かるのじゃ……。この呪いが、妾の脚を竦ませる……」

 アイリスの瞳には、かつて上位聖霊としてすべてを失い、存在の核すらも削られた屈辱と恐怖が、鮮明な映像となって蘇っていた。魔力を喰らう暴君――その名は、聖霊にとっての「死」そのものだ。

「アイリス、顔を上げろ。俺を見ろ」

 健太郎は、アイリスの震える小さな肩を両手で強く掴んだ。
ダイブギアを通じて、健太郎の体温と、職人としての揺るぎない「意志」が彼女の中に流れ込む。

「設定だの、アプデでの修正だの……そんな安っぽい文字列に、お前の価値を決めさせてたまるか。お前をここまで『加工』し、育ててきたのは俺だ。お前の本当の主(あるじ)は、運営でもシステムでもない。この俺だ。……そうだろ?」

 健太郎の掌が、アイリスの頬を滑り、その耳元で低く囁く。

「お前が『弓』なら、俺がお前という素材を最大限に引き出し、絶頂(最高)の一矢を放たせてやる。お前の恐怖、その影ごと、俺が愛で焼き尽くしてやるよ」

「……主……っ。……ああ、本当に、主は……傲岸不遜で、最低で……そして、最高のお方じゃ」

 アイリスの瞳から、濁った恐怖の影が消える。代わりに宿ったのは、健太郎への狂おしいほどの信頼と、昂ぶる魔力が生む湿った熱だった。

「主よ、妾を……妾を使いこなして見せよ! 妾のすべてを、主に委ねる!」

 アイリスの身体が、まばゆい黄金の光に包まれる。
彼女の意志に応じ、その小さな肉体は形を変え、健太郎の腕の中に収まる巨大な、しかし驚くほどしなやかな『黒鋼樺の長弓』へと姿を変えた。
 その感触は、単なる武器ではない。健太郎の手に伝わるのは、アイリスの鼓動、彼女の熱、そして股間に刻まれた『主従の刻印(霧銀の紐下着)』が、健太郎の指先の動きをシミュレートして彼女を常に愛撫し続けているという、淫靡なほどに生々しい「命」の振動だった。

「行くぞ。……結衣、桃子、恵梨香。家族の絆を見せてやれ!」

「はい、健太郎さん!」

「任せて、健太郎さん……全部叩き潰してくるね」

「健太郎さんのために、ウチが一番槍、貰いに行くわ!」

 三人の返球が響き渡った瞬間、地底湖の中央が、巨大な爆発と共に割れた。

 ――グオォォォォォォォォッ!!

 鼓膜を直接引き裂くような、深淵の咆哮。
 水柱を突き破って現れたのは、漆黒の体毛に覆われた巨大な四足獣。
その体表には魔力を吸収する紫の結晶がびっしりと生え、周囲の空気から魔力そのものを強引に吸い込んでいる。

 【シャドウ・ベヒモス】

 その存在自体が「魔力の空白地帯」であり、あらゆる魔法攻撃を無効化し、近づく者の魂を凍りつかせる暴君。
 ベヒモスがその巨躯を震わせると、周囲の魔力濃度が一気にゼロになった。結衣たちの展開していた補助魔法が、まるで風に舞う塵のように容易く掻き消される。

「くっ……魔力を吸い込む力が、これまでの敵とは桁違いや!」

 恵梨香が片手剣を構えるが、彼女の身体を覆う碧雷のオーラが、ベヒモスの吸引力によって霧散していく。
本来なら、ここでプレイヤーは戦意を喪失する。魔力を糧とするアバターにとって、魔力吸収は死刑宣告に等しいからだ。
 だが、健太郎の口角は、不敵に吊り上がっていた。

「吸われるなら、吸い尽くせないほどの『熱』を叩き込んでやるまでだ」

 健太郎は、弓となったアイリスを力強く引き絞った。
 弓の弦――それはアイリスの魂の琴線そのものだ。健太郎の指先が弦を弾くたび、アイリスの内部にある『主従の刻印』が激しく反応し、彼女の秘所から溢れる魔力の蜜が、矢となって具現化していく。

「アイリス、感じてるか? 俺の指が、お前の奥まで届いているのを」

(あ……あぁ……っ! 主、主よ……! 凄まじい熱量が、妾の中に……っ! 吸い込まれる……妾の魔力が吸われるはずなのに、主が注いでくれる熱が、それ以上に妾を満たしていくのじゃ……!)

 健太郎とアイリスの間で、ダイブギアの安全装置を無視した、過剰なまでの魔力循環(マナ・サーキュレーション)が開始される。
 ベヒモスが魔力を喰らおうと顎を開く。
しかし、アイリスから放たれる黄金の光矢は、吸引の渦に逆らい、空気を切り裂いて暴君の肩口を貫いた。

 ――ガァァッ!?

 物理耐性すら無視する、魂の熱量。ベヒモスは驚愕に目を剥き、その怒りの矛先を、岸辺に立つ健太郎へと向けた。

「さあ、ここからが本番だ。……結衣、障壁を展開しろ! 桃子、足元を揺らせ! 恵梨香、その隙を突いて影を断て!」

「承知いたしました……。健太郎さん、私を見ていてください!」

 結衣が、王鱗の極光盾を構え、最前線へと踏み出した。
 ベヒモスが放つ、魔力を帯びた衝撃波。それは触れるものすべてを分解する、絶望の波動だ。
 しかし、結衣の身に纏う**『霧銀の聖母法衣』**が、健太郎への純粋な情愛と、彼に「壊されたい」という秘めたる背徳の欲求を吸い上げ、白銀の障壁へと変換する。

 ドォォォォォォォン……!

 障壁が軋み、結衣の華奢な肩に凄まじい圧力がかかる。だが、衝撃が結衣の身体を走るたび、法衣の内側に施された健太郎の『愛撫加工』が、その痛みを痺れるような甘い刺激へと変えていく。

「はぁ……っ、はぁ……! 健太郎さんの……守りが、私を……もっと、強く……!」

 障壁は揺るがない。それどころか、結衣の法悦が高まるほどに、白銀の輝きはその密度を増していく。
 ベヒモスの魔力吸引をもってしても、結衣という「家族」が持つ情愛の重さを吸い尽くすことはできない。
 これが、健太郎が作り上げた究極装備の、そして、彼らが現実世界で育んだ絆の真価だった。

「アイリス、次の矢だ。今度はあいつの『脚』を止める。……お前の弦を、もっと激しく弾いてやるからな」

(あ……あぁぁぁっ、主、もっと……! もっと妾を……壊れるほどに引き絞ってくださいまし……っ!)

 闇の中で、黄金の光と漆黒の咆哮が交錯する。
 地底湖の決戦は、まだ始まったばかり。健太郎たちの魂は、この絶望的な戦いの中で、さらなる高みへと溶け合っていく。

【第白銀の献身、壊れゆく障壁の極致】

 地底湖に轟くベヒモスの咆哮は、物理的な破壊音を超え、精神の深部を揺さぶる絶望の波動となって押し寄せていた。
 結衣が掲げる【王鱗の極光盾】が放つ白銀の障壁は、その波動に晒されるたび、激しい火花を散らして軋んでいる。

「……っ、ふぅ、はぁ……!」

 結衣の額には、大粒の汗が浮かんでいた。
 ベヒモスの「魔力吸引」は、ただ魔法を無効化するだけでなく、展開されている障壁そのものの構成魔力を剥ぎ取ろうとする。本来なら、数秒と持たずに霧散し、結衣の華奢な肉体は影の飛礫に細切れにされるはずだった。
 だが、健太郎の作り上げた【霧銀の聖母法衣】は、その理を根底から覆していた。

「健太郎さん……。私の中に、あなたが……いてくれるから……!」

 法衣の極細繊維が、結衣の肌を常に愛撫し、彼女の情動を吸い上げる。
 結衣の心にあるのは、健太郎への狂おしいほどの献身。
そして、彼の作る装備によって自分を「支配」され、彼のために「盾」として壊されることへの、抗いがたい背徳的な悦び。
 その歪で純粋な「愛」が、健太郎の『慈愛の加工』を通じて、通常の魔力ではあり得ない強度を持つ【情念の障壁】へと変換されていた。

 ドォォォォォン!!

 ベヒモスの前肢が、障壁に叩きつけられる。
 凄まじい衝撃が結衣の全身を駆け抜けるが、その痛みは即座に法衣によって「とろとろとした熱量」へと転換され、彼女の秘所を濡らしていく。

「あ……あぁ……っ! もっと、もっと来なさい! 健太郎さんの愛は……この程度では、破れはしないわ……!」

 結衣の瞳が、トランス状態特有の潤みを帯びて輝く。
 彼女の法悦が昂まるほどに、白銀の障壁は白熱し、その密度を高めていった。
ベヒモスの吸引力を上回る速度で、結衣の情愛が障壁を補填し続けているのだ。
 健太郎は、弓へと姿を変えたアイリスをその腕に抱きながら、背後で結衣の戦いを見つめていた。
 【肉体対話】のスキルを通じて、結衣の心拍、呼吸、そして法衣が吸い上げる情欲の波形が、健太郎の手のひらに直接伝わってくる。

「……結衣、よく耐えている。お前のその熱、俺が確かに受け取ったぞ」

 健太郎は、アイリスの弦を引き絞る。
 その指先は、同時に結衣の障壁の波形とも同期していた。
 結衣が耐え、弾き返したベヒモスの「絶望」が、共鳴の回路を通じてアイリスの矢へと流動する。

「アイリス、結衣の覚悟をお前の『芯』に入れろ。……お前の弦は、もうただの魔力じゃない。俺たち家族の、絆の重さだ」

(あ……あぁ……主! 結衣の……凛とした、でも、あんなに熱い想いが……妾の中に、流れ込んでくる……っ! 弓が、妾の身体が……熱くて、溶けてしまいそうじゃ……!)

 アイリス(弓)の股間に刻まれた『主従の刻印』が、結衣の昂ぶりに呼応して激しく拍動し、最高品質の「魔力の蜜」を溢れ出させる。
 健太郎はその蜜を、自らの指先で弦へと塗り込んだ。

「行くぞ……!」
 健太郎が弦を弾く。
 放たれたのは、黄金と白銀が螺旋を描いて絡み合う、極光の一矢。
 それは結衣の障壁の特性――『拒絶』の概念を宿していた。
 ベヒモスが放つ、あらゆる攻撃を飲み込む「影の渦」。
 しかし、結衣の情愛を宿した一矢は、その渦に飲み込まれることを拒絶し、逆に影の空間を押し広げるようにして突き進む。

 ――グァァァァァッ!!

 ベヒモスの胸元に、一矢が深々と突き刺さる。
 黄金の光が炸裂し、暴君の漆黒の体表に、初めて消えない「白銀の亀裂」が走った。

「やった……っ!」

 恵梨香が叫ぶ。
だが、ベヒモスも黙ってはいない。
 傷口から溢れ出した漆黒の霧が、地底湖の水を一瞬で凍りつかせ、さらに巨大な影の触手となって結衣を全方位から包囲した。

「結衣さん!」

 桃子がハンマーを構えて飛び出そうとするが、結衣は鋭い声でそれを制した。

「来ないで、桃子ちゃん! ……健太郎さん、私を見て。私の、すべてを……捧げるから!」

 結衣が両の短剣を交差させ、盾を自身の身体へと強く引き寄せた。
 それは、防御を捨てた「自己犠牲」の構えではない。
 健太郎への絶対的な信頼を糧に、装備の全リミッターを解除する【家族共鳴】の極致。

「――【霧銀の聖母・絶対守護領域(ヴァージン・バリア)】!」

 結衣の肉体から、眩いばかりの純白の閃光が放たれた。
 襲いかかる影の触手たちが、その光に触れた瞬間に浄化され、雪のように霧散していく。
 同時に、結衣の王鱗シリーズの防具が、彼女の魔力と情熱に焼かれて「進化」の咆哮を上げた。
 カチリ、と。
一つの確かな進化の刻印が刻まれる。

【王鱗の極光小手・ブーツ:第一段階限界突破――『家族の絆(ファミリー・ボンド)』へ進化開始】

 光の中に立つ結衣の姿は、もはや一人の戦士を超え、愛する者を守るための神聖な「柱」そのものだった。

「主……結衣の光が……妾を、勇気づけてくれる。……もう、怖くないのじゃ」

 アイリスの声から、完全に恐怖が消えた。
 健太郎は、白銀に輝く結衣の背中を見つめ、静かに、しかし熱い決意を込めて次の矢を番える。

「ああ、見てるぞ、結衣。お前の輝きが、俺たちの道を照らしてくれている。……次は、恵梨香と桃子の番だ。暴君の足を、完全に叩き折ってやる」

 地底湖の闇は、結衣の放った白銀の輝きによって切り裂かれ始めていた。
 戦いはさらなる激動の渦――碧雷と振動が交錯する。
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