月蝕の令嬢 〜妹の偽りの光を暴き、夜の王に溺愛される〜  嘘つきの妹に成敗を、ざまあ

しょくぱん

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戦争の真実と、星の審判

第31話:断罪の果ての静寂

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白銀の閃光が収まったとき、そこには広大な静寂だけが残されていた。

枢機卿が呼び出した地獄の獣は、私の光に焼かれ、一欠片の塵も残さず消滅していた。そして、その依代となっていたセリナも――。
最後に見た彼女の表情は、苦悶から解放されたような、あるいは何もかもを失った虚無のような、妙に幼い顔だった。

「せ、セリナ……? 枢機卿……? そんな、嘘だろ……」

円卓の隅で、ガタガタと震えながら腰を抜かしている男がいた。
カイル王子だ。
彼は、自らの保身のために切り捨てた婚約者と、縋り付いた教団がいとも容易く消し飛んだ現実を、理解できていないようだった。

「カイル様。これで、あなたを縛る『不浄』も『聖女』もいなくなりましたわ」

私が静かに告げると、カイルは弾かれたように私を見上げた。その瞳には、浅ましい期待が再び宿る。

「え、エレナ! ああ、そうだ……! 私が悪かった、すべてはあの怪物たちが私を惑わせたのだ! 君ならわかってくれるだろう? 私はこの国の王になる男だ、君が隣にいてくれれば、サンクチュアリ王国は――」

「いいえ。あなたは何もわかっていない」

私は、彼の差し出した汚れた手を冷たく一蹴した。

「あなたはこれから、自分一人の力で、あの大地を蝕む澱みと向き合わねばなりません。私が吸い取り、セリナが撒き散らした毒は、今もあなたの国の土壌に深く根を張っています。……誰も、もう助けてはくれませんわ」

「な……っ!? ま、待て! 行かないでくれ、エレナ! 私を一人にしないでくれ!」

カイルの悲鳴にも似た叫びを背に、私はゼノス様の差し出した手を取った。
ゼノス様は、カイルを一瞥することさえせず、慈しむような眼差しを私だけに向けた。

「行こう、エレナ。塵に費やす時間はもうない。我が国の臣下たちが、そして……我らの子が、貴様の帰りを待っている」

「ええ、ゼノス様。……帰りましょう、私たちの『夜』へ」

私たちは、呆然と立ち尽くす各国の王たちを後に、堂々と会場を後にした。

外に出ると、帝都の空には満天の星が輝いていた。
かつて奈落へ突き落とされたあの日、私は世界が終わったのだと思っていた。けれど、絶望の底で私を見つけてくれた人がいた。

今、私の右腕にある紋章は、痛みの象徴ではない。
愛する人を守り、新しい命を育むための、気高い誇りの証。

私たちの戦艦が夜空へと舞い上がる。
遥か眼下で小さくなっていく大陸を見つめながら、私はお腹の小さな鼓動を感じ、優しく微笑んだ。

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