初夜に「快楽の毒」を注がれた身代わり花嫁。〜冷徹な魔公爵は「もう二度と逃がさない」と私の首筋に所有の証を深く刻み込む〜

しょくぱん

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第二章 聖域の露呈と、歪んだ浄化

第8話:妹への引導と、壊れた玩具

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 謁見の間から放り出されたステラは、雪辱に震えていた。 「あんな……あんな無能の身代わりエルシアに、公爵様が跪くなんて、ありえないわ!」彼女は隠し持っていた光の魔導具アーティファクトを握りしめ、城の結界の隙間を探る。ゼノスの魔力がエルシアによって中和されている今なら、その隙を突いて彼を魅了チャームできると信じていたのだ。

 だが、彼女が結界に触れた瞬間――。城全体が、心臓しんぞうの鼓動のような不気味な震動に見舞われた。

「……身の程を知らぬ羽虫が、また俺のにわを汚したか」

 冷徹な声とともに、ゼノスが再び現れる。その腕には、意識を半分飛ばしたように、ゼノスの首筋に顔を埋めるエルシアがいた。ゼノスはエルシアを背後の氷の椅子に座らせると、その首に繋がれた魔力の鎖リードをステラに見せつけるように引いた。

「ひ……っ、あ、あぁ……っ」

 鎖を引かれた刺激で、エルシアの首筋の所有印マーキングが赤黒く疼く。彼女の吐息は熱く、視線は虚ろだ。もはや家族の姿など、彼女の瞳には映っていない。

「公爵様! 見てください、お姉様はもう、魔力に当てられて正気ではありませんわ! 私なら、そんな無様に鳴いたりは――」 「黙れ。その濁った魔力こえで、俺の名を呼ぶな」

 ゼノスが指を弾くと、ステラの手の魔導具が粉々に砕け散った。氷の礫がステラの頬をかすめ、鮮血が舞う。

「エルシア。見ろ。お前を『無能』と呼び、虐げてきた女の、無様な姿だ」

 ゼノスはエルシアの顎を強引に上向かせ、ステラを直視させる。エルシアの瞳に、わずかな理性が戻る。だが、そこにあるのは同情ではなく、深い嫌悪けいおつだった。

「……ステラ。あなたは、何も分かっていないのね」 「な、何を……?」 「この方は、私を『無能』だから愛してくださるの。あなたの光なんて、ここではただの不純物ごみよ」

 エルシアは自ら、ゼノスの大きな手に自分の頬を擦り寄せた。ゼノスが満足げに喉を鳴らし、ステラの目の前で、エルシアの薄いシュミーズの肩紐を乱暴らんぼうに引き下ろした。

「ああああっ! 見ないで、見せないで!」

 ステラが絶叫し、目を覆う。そこには、ゼノスの魔力によって書き換えられた、おびただしい数の愛の呪印アザが刻まれていた。それは、清純だったはずの公爵令嬢が、一人の男の肉欲の器がんぐに成り下がった動かぬ証拠だった。

「連れて行け。この女は、死ぬまで俺の領地の地下深くで、日光を浴びることなく石炭いしを掘り続けさせろ。……光の魔力を持つなら、暗闇の中ではさぞかし輝いて見えるだろうな」

 ゼノスの非情な宣告に、ステラは腰を抜かし、泣き叫びながら騎士たちに引きずられていった。実家という拠り所は、これで完全に潰えた。

 静まり返った城壁の上で、ゼノスはエルシアを再び抱き上げる。冷たい雪が舞い散る中、二人の体温だけが異常なほどに高まっていく。

「……もう、誰もお前を呼ぶ声は聞こえない。お前の中に残る『実家の記憶』も、今ここで俺がすべて塗り潰してやろう」

 ゼノスはエルシアを壁に押し当て、その太ももを高く持ち上げた。足首の金の鈴アンクレットが、悲鳴を上げるようにチリンと激しく鳴る。

「あ、……ゼノス、様……っ。壊れる、……壊れてしまいます……っ!」 「壊れればいい。壊れたお前を、俺の魔力で何度でもにしてやる」

 冷気と熱気が混ざり合う、狂った交わりじかん。エルシアは、遠ざかる妹の叫び声を、ゼノスの濃厚な口づけで塞がれた。彼女はもう、光の世界へ戻る方法も、戻る理由も、すべて失ったのだ。

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